米国、デジタルドルの研究開発を加速 制裁カギ握る金融システム維持

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ワシントン=青山直篤
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 バイデン米大統領は9日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の研究開発の加速や、暗号資産(仮想通貨)を使った不正送金対策の強化などをうたった大統領令に署名する。デジタル金融の技術革新が急速に進むなか、ロシアに対する経済制裁の力の源泉ともなっている米ドルの覇権を保つ狙いがある。

 大統領令では「米国の国益を守る観点」から、政府の各部局にCBDC導入に向けた技術的な課題を検討するよう指示する。「民主主義的価値観に沿うCBDC開発を促すため、米国の国際的な主導権を確立する」ことも目標に掲げた。

 米政権内ではロシアのウクライナ侵攻を機に、安全保障上、米ドルの基軸通貨としての地位を維持することが重要だとの認識が改めて高まっている。ロシアの大手銀行への金融制裁などが力を持つのも、敵対国すら、米ドルやそれを扱う米銀主体の金融システムに頼る現状があるためだ。

 ただ、CBDCの研究開発で…

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この記事を書いた人
青山直篤
国際報道部次長|米州・国連担当
専門・関心分野
国際政治・経済、グローバル化と民主主義、日米関係、歴史と文学
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    吉岡桂子
    (朝日新聞記者=中国など国際関係)
    2022年3月9日22時55分 投稿
    【視点】

    ロシアのウクライナ侵攻に対する先進国による金融制裁は、通貨の「武器化」をあぶりだしました。次世代を担う中央銀行が発行するデジタル通貨の開発競争では、中国が先行しています。北京冬季五輪の会場では外国人も使える仕組みをつくっていました。中国はタ

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