香港紙「リンゴ日報」廃刊 民主派メディア、26年で幕

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香港=奥寺淳
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 中国政府に批判的な香港紙「リンゴ日報」を発行する「壱伝媒(ネクストデジタル)」は23日、24日付朝刊を最後に同紙の新聞発行を終えると発表した。中国共産党が主導して昨年6月末に施行された香港国家安全維持法国安法)による徹底的な弾圧を受け、経営を維持できなくなり、民主派支持を鮮明にしてきたメディアが創刊から26年で幕を下ろす。

 香港は1997年の中国への返還後も、「一国二制度」のもと報道の自由が保障されてきた。しかし、国安法の施行で中国の体制批判を許さない社会となり、リンゴ日報はそうしたなかでもほぼ唯一、民主派支持を鮮明にしてきた。同紙が停刊することで、香港社会から中国政府を正面から批判する報道機関が失われ、言論の自由が壊滅的な状況になることを意味する。

 同社は、今月17日に経営や編集トップら幹部5人が逮捕されて資産凍結されたことを受けて、25日の役員会で廃刊するかを決める予定だった。しかし警察に凍結された会社資産の解除申請が却下。当局が銀行に対してリンゴ日報を支援する行為は国安法違反にあたると警告し、資金繰りが行き詰まっていた。

 さらに23日には中国担当主筆も同法違反容疑で逮捕。記事を執筆する現場の記者らへの摘発リスクが高まり、離職者が相次ぐなかで廃刊に追い込まれた形だ。

ほぼ唯一、正面から中国共産党を批判

 デジタル版によるニュース配…

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この記事を書いた人
奥寺淳
編集委員|米中・国際関係担当
専門・関心分野
米中、日中、国際関係
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    吉岡桂子
    (朝日新聞記者=中国など国際関係)
    2021年6月23日18時10分 投稿
    【視点】

    7月1日は、香港が中国に返還された日であると同時に、今年は中国共産党100年を大々的に祝う式典がある日。祝う声一色にしたい。その日までにリンゴ日報を廃刊に追いやりたかったのでしょう。トップや幹部を逮捕し、銀行からの資金を断ち、会社のみならず

    …続きを読む