パワハラ対策議論、「トヨタイムズ」では読めない舞台裏

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千葉卓朗 遠藤隆史
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 トヨタ自動車の入社3年目の男性社員(当時28)が自殺したのは上司のパワーハラスメントパワハラ)が原因の労災だとする認定が、2019年秋に報じられてから約1年半。トヨタと遺族側が和解したことが明らかになった。この間、社内の再調査や再発防止を主導したのは、豊田章男社長だった。その過程には、豊田社長の言動を普段は詳報する自社メディア「トヨタイムズ」では読めない社内議論があった。

 20年2月19日、この年1回目のトヨタ春闘交渉の模様を、自社で運営するウェブメディア「トヨタイムズ」が「指定席を立った社長 管理職と向き合う」との見出しで伝えた。

 今も公開されているこの記事によると、交渉は午前9時開始。「いつもと明らかにようすが違う」のが、机の配置だった。労働組合と経営陣が向かい合うのではなく、「管理職」の机が加わり、異例の「三角配置」になっていた。この配置について、豊田社長は「じくじたる想い」と発言。さらに管理職について「私が一番距離を感じている」「私に伝わってくるものは『無関心』」と、厳しい発言を連発した。「人間として尊敬できない」「生き方に魅力を感じない」という言葉まで出た。

 トヨタイムズはこうした様子を「会場は緊迫感に包まれていく」と記している。しかし、豊田社長がなぜここまで管理職に強い不満を持ったのか、その明確な理由は判然としない。

 実は、この日の交渉では、ト…

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この記事を書いた人
遠藤隆史
東京社会部|最高裁担当
専門・関心分野
司法、労働、福祉
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    福田直之
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長=経済)
    2021年6月8日11時0分 投稿
    【視点】

    記事のポイントは二つあります。一つは、トヨタ自動車の自社ウェブメディア「トヨタイムズ」が、豊田章男社長が管理職に発した厳しい発言の背景を報じていなかった点です。この場面は、トヨタがその後打ち出した風土改革の真剣さを伝える上で重要な場面でした

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    澤路毅彦
    (朝日新聞編集委員=労働)
    2021年6月8日11時21分 投稿
    【視点】

     過労死・過労自殺の遺族は、自分たちに起きたようなことが二度と繰り返されてほしくないと強く思っています。そのために、企業トップの謝罪や実効性のある再発防止策を求めます。再発防止策の実効性を高める一つの方法として、防止策の実施状況をモニターす

    …続きを読む