卵の移植・子ガメの放流…ウミガメ保護、役立っている?
米山正寛
日本の砂浜へ産卵に来るアカウミガメは、時に海岸の構造物で行く手をはばまれる。卵はやせた砂浜で波にさらわれたり車に踏まれたりする。保護のためと、卵を移して生まれた子ガメを集めて放す活動もある。
だが、愛知県のNPO法人表浜ネットワークの田中雄二代表は「実際の保護に役立っているのか」と懸念する。子ガメは孵化(ふか)後まもなく「フレンジー」という約24時間の興奮期に入る。砂浜や浅い海には子ガメを狙う捕食者が多い。「危険地帯を早く離れるスタートダッシュのためフレンジーがある」とウミガメに詳しい松沢慶将・四国水族館長。それぞれの母ガメが砂浜のあちこちで産卵するのは、捕食者への危険分散になる。
新しい知見が蓄積されてきた今、卵の移植や子ガメの放流はどこまで許容される行為だろうか。「砂浜の環境を守ることが一番の保護になる」と田中さんは訴えている。
■子どもたちに「砂浜ノート」…