感染者減「期待に至らなかった」 専門家会議の分析は
1日に政府の専門家会議がまとめた提言は新型コロナウイルスの新たな感染者は減っているとしつつも、減り具合が目指したほどではなく、医療体制も逼迫(ひっぱく)していると指摘した。長期の対応を迫られるなか、感染リスクが高い3密を避け、接触機会を減らした「新たな生活様式」の定着を呼びかけた。
感染者減「緩やかに見える」
専門家会議が1日午後に開いた記者会見。尾身茂副座長は「感染者数は減少しているが、そのスピードは我々の期待するまでには至らなかった」と語った。
緊急事態宣言直後の4月11日に全国の新たな感染者数が700人近くになったが、最近は200人ほどの日もある。この日公表した提言は「オーバーシュート(爆発的な患者増加)を免れ、新規感染者数が減少傾向に転じるという一定の成果が現れはじめている」と評価した。
ただ、1日に数十人だった3月上旬~中旬に比べると、まだ多い。減少ペースも「急増のペースに比べると緩やかに見える」と提言は指摘し、「大都市圏から人が移動したことで、地方に感染が拡大した」と分析した。全国平均より減少のスピードが速い東京でも、病院や福祉施設での集団感染や家庭内での感染が多くなっていることで、急激には減っていないとした。
感染が拡大しているかをみる重要な指標の一つが「実効再生産数」だ。感染者1人が何人に感染させるかを示す値で、1より大きければ流行は拡大し、小さいと収束していく。全国で2・0(3月25日時点)、東京で2・6(3月14日時点)だったが、4月10日時点では全国で0・7、東京で0・5まで下がった。
厚生労働省クラスター対策班に参加する西浦博・北海道大教授(理論疫学)は、1を下回ったのは全国も東京も緊急事態宣言が出る前の4月1日ごろだったと説明。そのうえで、「1を割るだけでは感染者数を十分に減らすことには足らない。全国的にみると、8割の接触機会の削減で求めていた水準には達していない」と指摘。目標とする0・5以下になることを確認していく必要があるとした。
■医療現場、負担は続く…
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