大阪の地下街、エレベーターどこ? 表示進まぬ背景
雨風を避けられる快適な地下街。しかし、足などが不自由な障害者にとっては“近くて遠い場所”だ。地上から降りるにはエレベーターが必要だが、どこにあるのか街中で見つけるのは困難だから。「地下街とつながっているビルは、表示を出して」。そんな声を、大阪の障害者たちが上げ始めた。
大阪市中央区の地下鉄御堂筋線なんば駅の地上周辺は、商業施設やオフィスビルが立ち並ぶ繁華街だ。地下街につながる階段は、いくつも目にとまる。障害者支援のNPO法人ちゅうぶ(大阪市東住吉区)によると、60カ所ほどある。
しかし、段差がなく、車いすでも使えるエレベーターは11カ所で、量販店などのビルの中だ。うち7カ所には、ビルの外側に案内表示が無い。
事務局長の石田義典さん(59)は「エレベーターはあっても地下の階が地下街へ通じていないビルも多い。初めて来る人だと、20分ほど探し回る人もいる」と話す。
ちゅうぶを含む複数の障害者団体は昨年、手作りの案内表示を見本として作成した。現在、「ここに案内表示があったら助かる」という資料を作り、ビルの管理会社に提案中だ。大阪市職員が同行することもある。
高額な費用や大きな作業が必要なわけではないが、表示はなかなか進まない。
バリアフリー法施行令には「建築物又(また)はその敷地には、エレベーターの配置を表示した案内板を設けなければならない」とある。しかし、国土交通省によると、「あくまで建物を使う人が対象で、歩道を行き交う人のためではない」(建築指導課)として、エレベーターの案内板を屋外に表示することは想定していないという。
責任主体があいまいなことも…
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