
歴史上の事件や人物を題材とする歴史小説。
歴史的事実に基づくのが原則ですが、それでいて物語を盛り上げるにはある程度の虚構(フィクション)も必要なことから、「読むのは好きだけど書くのは難しそう」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、初心者の方向けに歴史小説の書き方を解説します。
初めてでもすぐ真似できる、簡単に面白くするためのテクニックも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
歴史小説とは
歴史小説とは、歴史上の事件や人物、風俗を中心に構成される小説のジャンルです。
ストーリーはほぼ史実に即しているのが特徴で、その中に時折虚構(フィクション)を織り交ぜながら物語が展開します。
歴史小説の種類
歴史小説と同じように古い時代を舞台とした小説や、歴史小説に似ているジャンルとしては以下の種類があげられます。
- 軍記
- 人生史
- 架空戦記
- 時代小説
軍記
歴史上の戦争や合戦を題材としたジャンルです。
戦記物語ともよばれ、戦乱の様子や武将の活躍に焦点を当てている点が特徴です。
代表的な作品としては、平家物語や三国志などがあげられます。
人生史
歴史小説の中でも、個人の歴史にフォーカスしたジャンルです。
一人の人物の生涯を追い、その生きざまや周囲との人間関係、知られざる人物像などを描きます。
有名な作品としては、「北条政子」(永井路子・1990年)や「竜馬がゆく」(司馬遼太郎・1998年)などがあげられます。
時代小説
古い時代の事件や人物に題材とした小説です。
歴史小説と同じく過去の時代を背景にするものですが、史実を重んじる歴史小説に対して、時代小説はフィクション性が強いのが特徴です。
時代小説のジャンルには大きく分けて、剣豪を主人公とする「剣豪小説」、江戸時代の犯罪事件を題材とする「捕物帳」(とりものちょう)、平民の暮らしや庶民の人生模様を描いた「市井小説」(しせいしょうせつ)、ファンタジー要素を取り入れた「伝奇小説」などがあります。
有名な作品はそれぞれ、「宮本武蔵」(吉川英治・1939年)や「半七捕物帳」(岡本綺堂・1900年)、「隅田川御用帳」(藤原緋沙子・2002年)、「しゃばけ」(畠中恵・2001年)などです。
架空戦記
架空の歴史や戦争を扱ったジャンルです。
歴史上の事件を題材に「もし◯◯が▲▲していたら」などのパラレルワールドや、史実には存在しない戦争を扱います。
有名な作品としては、「終戦のローレライ」(福井晴敏・2005年)、「征途」(佐藤大輔・1993年)などがあげられます。
初心者向けに歴史小説の書き方を簡単解説!
「読むのは好きだけど書くのは難しそう」という理由から、歴史小説や時代小説を書くのをためらっている人もいるでしょう。
そこでここからは、初心者でも挑戦できる歴史小説の書き方について紹介します。
テーマや切り口を考える
歴史小説では、テーマ決めとアイディアが重要です。
単なる歴史上の事実を追うだけではなく、愛や死生観、人情や悲喜劇など、その作品で何を伝えたいのかテーマを考えましょう。
また、すでに語り尽くされたとされる有名な人物や事件を扱うには、今までにない解釈が生まれるような新たな切り口が求められます。
具体的には、よく主人公とされる人物の部下や家族などにスポットライトを当てたり、あまり知られていない人物の視点で歴史的事件を扱ったりするのがおすすめです。
資料を集める
題材とするテーマを決めたら、それらを扱うのに必要な資料集めに入ります。
テーマとなる歴史上の人物や事件だけでなく、当時の衣食住や制度、人々の考え方などについて理解を深めることで、よりリアリティのある作品に仕上がります。
このように、作中で登場する衣装や道具などが時代に合っているかどうか確かめる作業は時代考証といい、小説に限らず映画や演劇など歴史物を扱う上で重要な要素となっています。
プロットの作成
扱う題材や時代背景について理解が深まったら、ここからは一般的な小説の書き方とほとんど同じです。
まずは、小説のストーリーについて要約したプロットを作成。
その後、物語に必要な登場人物をピックアップしてある程度詳細を作り込んだら、執筆に入っていきます。
歴史小説のプロットは、歴史の流れや人物の生誕〜死没について年表形式で作成するのがおすすめです。
いつ何が起きたか、出来事の時系列が登場人物の心情変化が整理しやすくなるほか、物語の矛盾を防ぐのに役立ちます。
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バランスを整える
歴史小説は史実に基づくのが原則です。
しかし、歴史的事実に忠実すぎると物語として面白みに欠ける、逆に事実との乖離が激しいとリアリティがなくなってしまいます。
このためテーマや作品にもよりますが、事実と虚構(フィクション)のバランスはじゅうぶんに考える必要があります。
ストーリーや人物像は多少脚色しても、社会の様相や小道具でリアリティを出すなど上手に要素を足し引きして、一つの物語として成立させましょう。
すぐ真似できる!歴史小説を面白くするためのテクニック3選
「歴史小説を書きたいけど、アイディアが思いつかない」「書きたいテーマはあるけど、物語の盛り上げ方がいまいちわからない」
そんな風に、歴史小説に挑戦したい気持ちはあるものの、なかなか思うように筆が進まないという方も多いでしょう。
そこでここからは、初めてでも簡単に面白い歴史小説を書くための以下のテクニックについて紹介します。
- 現地取材や資料でイメージを膨らませる
- 歴史に干渉しない人物を作り込む
- 語り手を工夫する
現地取材や資料でイメージを膨らませる
歴史小説を書くには、史実に基づきながらもうまく出来事や登場人物にフィクションを織り交ぜる必要があります。
しかし、なかなか良いアイディアが思い浮かばないという場合は、物語の舞台となる土地に実際に足を運んだり、歴史的資料に触れたりするのがおすすめです。
五感で物語の舞台を感じ取ったり、資料や地図から想像力を膨らませたりすることで、物語を書くパワーやインスピレーションが湧いてきます。
国立国会図書館のデジタルコレクションでは、無料で古典資料や研究論文、地図などを画像やPDFで閲覧できて便利です。
もちろん実物を見に行けるならそれに越したことはありませんが、実際に足を運ぶのが難しい場合はこういったツールも活用し、賢く想像力の翼を広げましょう。
歴史に干渉しない人物を作り込む
歴史小説の難しさは、史実を尊重しつつ、作品にテーマ性やオリジナリティを持たせることにあるといっても過言ではありません。
歴史的な事実を変えずに、話を面白くする虚構(フィクション)を足したいときは、歴史に干渉しないキャラクターを登場させると便利です。
再会を誓った幼なじみや初恋の人、謎の多い僧侶など、主人公の心情に変化をもたらしてくれる人物がいると、大きな歴史的改変なく物語を盛り上げることができます。
語り手を工夫する
読者が歴史小説を楽しむには、当時の情勢を理解する必要があります。
こういった史実の説明が解説的にならないよう、登場人物にストーリーテラーの役割を担わせるというのも歴史小説を読みやすくする手法の一つです。
地の文=作者ではなく、進行役として第三者を用意する、部下や家族など主人公の身近な人物や、複数人の視点から描くなど、語り手を工夫することで物語の印象は大きく変わってきます。
まとめ
面白い歴史小説を書くには、事実と虚構(フィクション)のバランスが鍵を握っています。
物語の舞台に足を運ぶ、資料を読みこむなどしてインスピレーションを膨らませ、テーマや史実に沿って物語を盛り上げる工夫をしましょう。
しかし、プロットの作成段階や、実際に物語を書き進めているうちに「この設定ってどうだろう?」「フィクション要素が強いけど、この方が盛り上がる気がする…。」など、迷うこともあるかもしれませんね。
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