「店舗のメディア化」をめざすゲート・ワン FamilyMartVisionのさらなる活用可能性

ファミリーマートのレジ上に設置されているデジタルサイネージ「FamilyMartVision」は、2021年9月にサービス開始してから約3年、全国47都道府県、約1万店舗への設置が完了した。現在増えているのは、コンビニ店頭に商品が並んでいない非配荷商品での広告活用。その戦略と今後の方針について、ゲート・ワンの取締役COOである速水大剛氏に聞いた。
写真 人物 ゲート・ワン 取締役 COO 速水大剛氏

ゲート・ワン 取締役 COO 速水大剛氏

「番組を観たくてファミマに来店」目指すのは三方良しのメディア

全国のファミリーマートに設置されているデジタルサイネージの「FamilyMartVision」。2024年3月末時点での設置店舗数は約1万店舗にまで拡大し、1週間で最大6400万人にリーチが可能になった。2024年5月の調査では認知率は50.4%、さらに「観たことがある」と回答した視聴経験率は43.4%に達した。特に認知率については、10代は69.4%、20代は66.2%と若年層で高い数値を示し、年々メディアとしての価値が高まっている。

こうした状況について、同ビジョンのコンテンツ配信を担うゲート・ワン取締役COOの速水大剛氏は、「『三方よし』を常に意識してきた結果が出始めている」と語る。

「私たちの事業はファミリーマートの店舗を顧客接点として捉え、FamilyMartVisionを活用しながら店舗をメディア化することにあります。広告主のマーケティング課題に対して、どれだけ有効なソリューションを提供できるか。加盟店の売上にどれだけ貢献できるか。そして何より、メディアとしてどれだけ視聴者であるお客さまに楽しんでもらえるか、有益な情報を提供できるか。単にサイネージを設置するのではなく“メディアとしてのおもしろさ”を大切にしているからこそ、広告としての効果が出始めているのだと考えています」(速水氏)。

なかでもオリジナルコンテンツの視聴を目的として来店するといった事例も増え、結果的に店舗側の売上貢献にもつながっている。その効果は当初の想定以上。例えば2022年5月に音楽グループ「ぷらそにか」のオリジナル番組を配信したところ、ファンがその番組を見るために店舗に足を運び、当時公式では公開していなかった設置店舗リストを、自主的にまとめてくれる動きがあったのだという。2022年6月から第3弾まで続いているVTuberとのコラボ番組や、2024年7月に始まったアーティストが時間を知らせる30秒の番組「O!CLOCK (オクロック)」も人気で、SNSでは放映されている画面を撮影し投稿する様子もみられている。

非配荷商品の割合は約6割認知に加え行動変容に寄与

同ビジョンのコンテンツは1枠15秒。10分間で40枠をひとつのブロックとし、うち13枠でオリジナルコンテンツ、27枠で広告を放映している。配信は1日を「朝・昼・夜・深夜」の4つの時間帯に分け、エリアと組み合わせるのが基本で、全国一斉配信はもちろん、首都圏や関西など特定エリアへの限定配信も可能。例えば「理系大学周辺の店舗でリクルーティング広告を配信する」といったさらに細やかな配信も可能で、広告配信の設定が柔軟である点も大きな強みだ。

こうした中で現在増えているのが、コンビニ店頭に商品が並ばない非配荷商品の広告出稿だ。その割合は実に全体の約6割に及ぶ。

「実購買データを取得できる配荷商品はもちろん、非配荷商品に対しても効果や分析結果を提供できるよう、ファミペイのアプリ機能やアンケート機能を活用し、広告認知率やサービス利用意向といった意識変容を調査しています。直近の事例では平均で10人中3人が、公式LINEの友達登録や検索、家族との会話など何らかの行動変容を示しているなど、認知だけでなく行動変容にも寄与していることが分かりました」。

また、ファミリーマートの購買データを基にしたデータ分析を実施するデータ・ワンと、電通が提供する統合マーケティングプラットフォーム「STADIA」との連携により、テレビCMとFamilyMartVisionを使ったクロスメディアの統合リーチ検証も実施した【図表1】。テレビCMではリーチできない層への追加リーチを獲得できることが分かり、特に20代、30代への効果が高かったという。

図表1 認知メディアとしての有効性

図表1 認知メディアとしての有効性

2023年からは売場連動企画を開始。広告放映と店頭ツールの設置を組み合わせて2週間集中して施策を実施したところ、通常の広告出稿では新規顧客獲得率が約55%のところ、売場連動企画では約64%と成果が向上したという。2024年3月からは、これまでファミリーマート本社の管轄だったレジ液晶、カタログラック、店内放送も同社での扱いとなった。「ビジョンとの組み合わせでどのような効果が期待できるか検証していきたい」と速水氏は話す。

さらにリテールメディアの特性上、店頭に訪れた人に注目してもらうにはクリエイティブも重要になってくる。「多くのモノや情報が溢れる店頭で大切なのは“読ませる”というより“見せる”こと」と速水氏。情報量を極力絞り込み、効果的にアテンションを得られるためのクリエイティブになるよう、仮編集の段階でのフィードバックも行う。

社会的インフラであるコンビニ地域密着型コンテンツも拡充予定

設置店舗数の拡大により、1週間で最大6400万人への接触が可能となった同ビジョン。「リーチメディアとしてどこまで認知を拡大できるかが最優先課題」と速水氏は話す。メディア視聴率の全時間帯平均は約64%。今後これを80 ~ 90%に引き上げるべく、さまざまな施策を展開していく予定だ。

例えば10月には、東海エリアでテレビ局の番組とコラボした商品を開発し、特別番組を放映。また番組コンテンツ「わんにゃんお宅訪問」では、視聴者からペット動画を募ったところ、想定以上の投稿があったという。

「コンビニエンスストアは社会のインフラとしての機能も求められています。FamilyMartVisionとしても、地域に密着した取り組みや視聴者参加型のコンテンツを拡充していく方針。いわば“公共性の高いメディア”としての役割も広げながら、番組としての質を高めて、視聴者のエンゲージメントを強化していきたいと考えています。その中で広告主の皆さんと共に、広告メディアとしての活用可能性を広げていけたらと思っています」。

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