AIが導くマーケティングの未来とは Meta×電通デジタル対談

「AI×マーケティングの最先端」をテーマに、Meta日本法人Facebook Japan代表取締役の味澤将宏氏と電通デジタル執行役員データ&AI部門長の山本覚氏が議論を交わした。AIの浸透によってマーケティングの現場はどう変わるか、広告主のメリットは、求められるマーケター像は、といった内容に話が及んだ。

AIで、マーケティングは対話型に変わっていく

味澤:まずはAIの投資についてお話をうかがいたいと思います。我々Metaは、10年以上前からAIの研究開発に多大な投資をしてきており、AIをInstagramやFacebookのコンテンツのレコメンデーション、広告配信の精度向上に取り入れてきました。

山本:我々も、広告の自動生成や効果の予測、さらには広告の企画まで一貫してできるようなシステムをつくるための投資を行ってきました。

ただ、これからは生成AIによって、広告のコミュニケーションはもちろん、オウンドメディアをはじめとする各接点でマーケティングが対話型に変わっていくだろうと考えています。今はそれを最重要領域の一つとして、生活者と企業に関するAIが対話するといった部分に注力していますね。

写真 人物 電通デジタル 執行役員 データ& AI部門長 山本 覚 氏

電通デジタル 執行役員 データ& AI部門長 山本 覚 氏

味澤:なるほど。それが進展していくと、マーケターにとってはどのような未来が待っていると思いますか。

山本:直近では、生活者の声をよりリアルに聞けるようになるだろうと思っています。現時点では、たとえばECでボールペンを1本購入した人がいたとして、購入したという事実しかわかりませんが、マーケティングが対話化すれば、なぜボールペンを購入したのかといった背景を聞くことができるようになると考えています。

どういった意図でその行動をして、その先に何をしたいのかといったジャーニーが本人の声で聞けるので、マーケターはより生活者の求めているものを具体的にイメージし、より最適なマーケティング施策を打てるようになるのではないでしょうか。

味澤:では、AIの活用によって生まれる広告主のメリットについては、どう思われますか。我々Metaは、AIを活用した広告プロダクト「Advantage+(アドバンテージプラス)」を提供し、ターゲティングや配置、クリエイティブの最適化を自動で行うことができるようにしています。直近のデータでは、これによってコンバージョンが20%程度改善するといった結果も出ています。

クリエイティブでもAIの活用が進んでいます。直近のデータでは、1カ月の間に100万以上の広告主が、Metaの生成AIツールを使用して1500万以上の広告を作成しています。

写真 人物 Meta日本法人 Facebook Japan 代表取締役 味澤 将宏 氏

Meta日本法人 Facebook Japan 代表取締役 味澤 将宏 氏

山本:広告主のメリットとしては、やはり広告パフォーマンスが上がるということが大事だと思っています。今後もっと対話AIの活用が進んでいけば、より豊富なインサイトから広告をつくり、プラットフォーマーを介して一人ひとりにしっかりと最適化されて配信されるといった流れがメインになっていくだろうと思います。

あと、これは僕が勝手にMetaに望んでいることなのですが、広告がしゃべるようになってほしいなと思っていて。SNSのいろいろな人の会話に広告主も入っていくというようなイメージで、生活者の声をその場で直接聞きながら一番いいものを勧めるということを広告自体がやるというような、良いコミュニケーションがつくれるのではないかと思っています。

味澤:ありがとうございます。「Meta AI」という我々のコンシューマー向けのAIでは、音声によってプロンプトが投げられるようになってきているので、近い将来には声で対話をするマーケティングソリューションが出てくることも考えられますね。

山本:非常に期待しています。

AI時代に求められる、人間の機微がわかるマーケター

味澤:今後、AI活用においては、どういったことがトレンドになっていくと思われますか。

山本:顧客視点の話としては、体験がどんどんリッチになっていくと思います。AIと話をするといっても、単にAIが無機質な受け答えをするというのではなく、そこにキャラクターやストーリーをつけることで思わず話しかけたくなるような工夫をする、話しかけるタイミングを最適化して会話したくなるようにするといったことが問われていくでしょう。

マーケター視点の話では、真のデータドリブンが始まると考えています。これまではデータ分析に人の手で3カ月かかっていたところを、今はAIにやってほしいことを伝えたらAIが自分自身で解釈し、自分でソースコードを書いて検証するといったことができるようになっています。つまり、人が何かを思いついてから、それを確認するまでの時間がすごく短くなっているわけで、それを私は真のデータドリブンだと認識しています。

そうなったときにマーケターに本当に問われるのは、クリエイティビティです。ロジカルに考えればわかることはすべてAIに任せられるようになるので、それをベースに何をすればいいかを読み解ける人、データには表れない人間の機微を考えられる人が、マーケターとして生き残っていくのではないかなと思いますね。

写真 人物 山本 覚 氏、味澤 将宏 氏

味澤:ありがとうございます。データ活用でいうと、Instagramからあるカテゴリーや商品についてのインサイトをMetaの大規模言語モデルLlamaを用いて抽出するということを日本で実施しています。

Metaとしては、マーケターの皆様に広告の自動化、オートメーションを目標としてAIの開発を行っています。それによってマーケターの皆様には、ブランドづくりや生活者のためにより良い製品をつくること、それを関連性の高い方に届けていくといった本来の重要な仕事に注力していただける未来を目指していきたいと思っています。

本セッションの動画はこちらからご覧いただけます
https://www.facebook.com/business/performance-talks

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Metaビジネスヘルプセンター

Web:https://ja-jp.facebook.com/business/help

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味澤 将宏(あじさわ・まさひろ)

2000年、オグルヴィ・アンド・メイザージャパン⼊社。2008年より⽇本マイクロソフトにて、PC及びモバイルディスプレイ広告ビジネスを統括。2012年4⽉、Twitter Japanに⼊社し、2016年11⽉より上級執⾏役員広告事業担当本部⻑および⽇本・東アジア地域事業開発担当本部⻑を兼任。2020年1⽉6⽇付でFacebook Japanの代表取締役に就任。

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山本覚(やまもと・さとる)

東京大学松尾豊教授のもと人工知能(AI)を専攻。AIとビックデータを活用し、広告の自動生成、広告効果の予測、CROやSEOなど、多数のデジタルマーケティングサービスを提供。『ワールドビジネスサテライト』、『NHK ワールド』など多数メディアに出演。多くのイベントをはじめとして企業や大学などでのセミナー登壇も多数。主な著書『売れるロジックの作り方』、『AI×ビックデータマーケティング』など。


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