ロフトをメディアに若年層の消費者にアプローチ

単に商品やサービスを知らせるだけでなく、いかにプロモーション自体の体験価値を高めるか。それが、一方通行にならない成功する販促のポイントのひとつだ。ロフトはプロモーションの場として店頭を提供し、店舗ならではの演出を行って企業を支援するサービスを、本格的に開始した。すでに「渋谷ロフト」では好事例が生まれているという。その活用ポイントを紹介する。
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ロフト4店にフランスのフルーツマルシェ(くだもの市場)をイメージした売り場をつくり、メイソンジャーでフルーツリキュール「ルジェ」を用いたカクテルの楽しみ方をアピールしたサントリーの「ルジェフルーツジャースタンド」。

10~30代が60%、月間50万人の来店者に訴求

ロフトが、店舗の一角を、商品やサービスをプロモーションするためのメディアとして提供するサービスを本格的に開始した。2月1日、「ブランド営業部」を立ち上げ、セールスに乗り出した。東京・渋谷の大型店「渋谷ロフト」で成功事例が出てきている。「渋谷ロフト」で活用しているのは「間坂(まさか)ステージ」と名付けたスペースだ。

渋谷ロフトには月間平均で、約47万人が来店する。平日は約1万人、休日は約2万人で、年間では570万人に上る計算だ。男女構成比は女性が75%で、平均31歳。全国の店舗の平均年齢は37歳だが、渋谷ロフトのような大型店は若年層が多くなる。来店頻度は月に2.1回で、平均買い上げ率は約47%。来店者のほぼ2人に1人が商品を購入する計算だ。

「間坂ステージ」は、渋谷ロフト店内でも“一等地”と言える特設のイベントスペースで、1階正面入口脇にある約15坪の空間。つまり、女性をメインとした購入意欲の高い若年層に商品をアピールしたり、接点とするにはうってつけの場所なのだ。

「ルジェ」を主役に サントリーはロフトをこう活用した

サントリーは2015年6月、当時話題となったメイソンジャー(保存用ガラスびん)を活用した、フランス産フルーツリキュール「ルジェ」のプロモーション「ルジェフルーツジャースタンド」を「渋谷ロフト」の3階家庭用品売り場で展開した。メイソンジャーは、ネジふたのある広口のガラスびんで、近頃はサラダの器にして楽しむ人も少なくない。

若い女性を中心に「ルジェ」との新たな接点を設けるため、サントリーは、メイソンジャーに生のくだものを皮ごとしぼり入れ、ルジェを合わせた「フルーツジャーカクテル」を考案。2014年10月に商業施設「東京ミッドタウン」(東京・港)でフランスのフルーツマルシェ(くだもの市場)をイメージしたイベントを実施し好評を博した。

一方のロフトでも、メイソンジャーは雑貨商品の中で売れ筋となっていた。渋谷ロフトでは特設の売り場を設け、約100種類のジャーを販売。最大で1カ月に700個も売れるほどの人気だった。

そうしたロフトであれば、「ルジェ」そのものも多く売れるかもしれない─そんな狙いが前述のタイアッププロモーションにつながった。東京ミッドタウン同様にフルーツマルシェを思わせる売り場を用意し、ジャーと共にルジェ全14種あるフレーバーを販売した。

結果は、1日平均10本の売れ行きで、食品スーパーなど一般的な小売店頭では考えられないペースとなった。好評を受け、実施期間を約1カ月から約2カ月半に延長、会場を池袋や横浜、有楽町の各店舗に増やすことになった。

「単に商品を陳列しても、お客さまの心は動きません」と話すのは、ロフトのプロモーション営業を担当する倉田正敏氏だ。「『ルジェ』のプロモーションでうまくいったのは、飲み方とその場面を魅力的に伝えられるメイソンジャーという小物があってこそだったと思います。『フルーツジャーカクテル』というストーリーがうまく伝わると、その軸である商品『ルジェ』も動くんです」(同)。

次ページ 「話題を広めるエンジンとなったのは、「LOFTアプリ」」へ続く


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