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行頭及び行末にかかる3字ルビ及び4字ルビ

前の記事の続編として、3字ルビ及び4字ルビが行頭及び行末にかかる場合の、InDesign上での私の方法を……。


行頭及び行末にかかるルビに関しては、『日本語文書の組版方法(JIS X 4051:2004)』では、中付き/モノルビの処理として、親文字列長がルビ文字列長未満の場合(つまりルビがハミ出す3字ルビや4字ルビ)で、「親文字群が行頭(行末)に位置した場合は、ルビ文字列の先頭(最後尾)を行頭(行末)に合わせる」方法を標準としており*1、処理系定義のオプションとして「親文字の先頭(最後尾)とルビ文字列の先頭(最後尾)をそろえて行頭(行末)に合わせてもよい」とされている。

以前に紹介した『基本 日本語文字組版』(ISBN:4888840938)は二つを同列に扱い、『明解 日本語文字組版』(ISBN:4768301045)ではJISではオプション扱いの方法を強く推している*2。


調べたワケではないので感覚的でしかないが、JISではオプション扱いの「親文字の先頭(最後尾)とルビ文字列の先頭(最後尾)をそろえて行頭(行末)に合わせ」る方法が一般的に感じる。
私はといえば……文章モノあるいは短歌など、その内容によって使い分けている。


ルビ設定のオプションによる挙動の違いを見てみる。
まずアプリケーションデフォルトの
「文字かけ処理=ルビ1文字分」「親文字間の調整=1-2-1アキ」の場合は……



JISのオプション扱いの方法としてはほぼ大丈夫だが、3対1(1対3)の熟語のルビに関しては食い込み処理が出来ていない。
これを「文字かけ処理=無制限」とすると……



当然ルビが隣の文字にかかり過ぎる部分が発生するし、やはり3対1(1対3)のルビの食い込み処理が出来ていない。


さらに、JISの標準処理であろうことを期待して、
それぞれ「自動行頭/行末揃え」のチェックをハズした場合は……




一見、大丈夫そうに見える部分も多いが、詳細に親文字とルビ文字列との関係を見るとセンターに位置していない。
OKなのは3対2(2対3)の部分のみ。


一方、「文字かけ処理=ルビ1文字分」のママで「親文字間の調整=調整しない」とすると、「自動行頭/行末揃え」のチェックの有無に関係なく以下のようになる。



見てきたように、ここまでは3対1(1対3)の熟語のルビに関しては食い込み処理が(完全には)出来ていなかったが、「文字かけ処理=無制限」「親文字間の調整=調整しない」として初めて可能となる。



※この場合も「自動行頭/行末揃え」のチェックの有無は関係なし。つまり「親文字間の調整=調整しない」とすることで(親文字の)「自動行頭/行末揃え=オン」の状態となるようだ。


結局、行頭及び行末にかかる3字ルビ及び4字ルビに関しては、それぞれのルールに応じて以下の処理を追加して使わざるを得ないことになる。
(親「文字の前後のアキ量」:■は四分アキ、■は二分アキ)

●JISのオプション扱いの方法としては基本的にはデフォルトでいいが、
3対1(1対3)の熟語のルビに関しては「親文字間の調整=調整しない」にして(「文字かけ処理」はどちらでも可)



※行末に関しては分離して3字ルビを(親文字の)四分上にシフト


●JISの標準の方法としては、
「文字かけ処理=無制限」「親文字間の調整=調整しない」を元に



※行頭で後続文字にルビかけ可能な場合は図左の処理が必要


なお、段落冒頭の字下げ部分にルビがかかるのは一般的に許容とされているようだ。
また、短歌など、1行で完結するモノに関しては行末にスペースを追加してルビをハミ出させる処理をする(もちろん版面内)*3。


●オマケ
「文字かけ処理=無制限」とした場合、段落スタイルの表記では「ルビのぶら下がり:無制限」となるが、実際は「親文字間の調整=調整しない」を併用してはじめて(版面外へ)ぶら下がる。



●当ブログ内関連頁
ルビ_漢字にもルビ半角分かける場合
3字ルビ及び4字ルビの処理
5字ルビの組み見本
熟語ルビ/ルビのぶら下がり etc.

*1:これは行中の中付きルビの処理方法を行頭及び行末にも適用するという考え方だともいえる

*2:『組版原論』は貸出中なので未確認

*3:行末の処理に関しては考えているコトもあるのだが……後日改めて