iPhoneユーザーの8割がLINEを利用、生活密着の情報系アプリも利用者多数
この記事は、ドコモ・ドットコムが発行するモバイルビジネス・マーケティング情報誌「スマートフォンレポート」の一部を、Web担当者Forum向けに特別公開したものです。
今回は2013年9月に発表された「スマートフォンレポート vol.8」から、調査報告2「iPhoneユーザー調査 利用者数と1人当たりの利用回数の観点からユーザーのアプリ利用傾向を探る」の調査レポートをお届けする。
利用者数、利用回数で断トツ人気のLINE
iPhoneユーザーの利用傾向を分析する本コーナーだが、今回は2013年6月の1か月間を調査対象期間として、アプリの利用者数と利用回数の2つの観点から、iPhoneユーザーのアプリ利用傾向を探った。分析にあたっては、横軸を利用者数、縦軸を1人当たりの利用回数とした散布図を用い、アプリの利用傾向を一目で把握できるようにした。つまり、散布図の右上にあればあるほど、利用者数及び1人当たりの利用回数が多く、アクティブユーザーの多いアプリとなる。ちなみに今回は、利用者数が10人以上のアプリを対象とし、利用者が9人以下のアプリについては除外した※1。
※1 アプリ利用回数のカウント方法:24時間を10分毎に区分し、その区分内に通信が発生した場合、1回アプリを利用したとみなすカウント方法にて集計(ex.60分間連続にて通信が発生していた場合は6カウントとなる)。このカウント数を1時間毎に集計し、グラフ化している。
まず全体の散布図を見ると、ほとんどのアプリが利用人数80人未満、平均利用回数40回未満というエリアに集中しており、利用者数と利用回数の双方が多いというアプリは非常に少ない(図1)。
ユーザーの利用が様々なアプリに分散している、もしくは大きな集客に至っていないアプリが多いという状況が想定される。
その中で、突出した利用者数を誇っているのが「LINE」である。利用者数は本調査パネル数の約8割を占め、1人当たりの利用回数も80回と高い。この数値からも、「LINE」人気の高さ、及び高い利用度がわかると言えよう。
同様に、利用者数と1人当たりの利用回数が多いアプリとしては、「パズル&ドラゴンズ」が挙げられる。こちらは、「LINE」程ではないものの、利用者数及び1人当たりの利用回数は他のアプリと比較すると群を抜いており、多くのアクティブユーザーを抱えている様子がうかがえる。
多くの利用者を集める天気、ニュース、乗換案内といった情報系アプリ
次に、利用者数と利用回数が多いアプリにはどういった特徴があるのか見ていきたい。まず、利用者数の多いアプリであるが、80~200人の利用者を記録したアプリに絞って見てみると、「LINE天気」「tenki.jp」といった天気アプリや、「産経新聞」「パーソナルニュースGunosy」といったニュースアプリ、「乗換案内(Jorudan)」「Yahoo!乗換案内」といった乗換案内アプリなど、いわゆる情報系アプリがこのエリアに密集している(図2)。
こうした情報系アプリは生活に密着した情報を取り扱っているため、他のアプリに比べアクセス頻度が高く、且つ幅広い利用者を保有することから、このエリアに集中したと思われる。競合他社とユーザーを奪い合う形で競っていると推測されるが、コンテンツ内容やアプリの使い勝手、価格等でいかに差別化することが出来るかが、今後抜きん出た存在になるための鍵になるであろう。
コアなファンを抱えるアプリの今後の課題は利用者を増やすこと
一方、1人当たりの利用回数が多いアプリとしては、「2chまとめサイトビューア - MT2」「まとめブログリーダー」といった掲示板リーダーアプリや、「ついっぷる for iPhone」「Echofon Pro for Twitter」といった「Twitter」のクライアントアプリが挙げられる。また、「Megapolis」「ハッピーストリート」といったゲームアプリの利用回数も高い。
このエリアに属するアプリには、コアなユーザーを抱えているといった特徴が感じられる。当然ながらコアなユーザーになると課金に対しても積極的になる傾向があるため、現ユーザーを保持しつつ、如何にして利用者を増やすことが出来るかが今後の課題と言えるだろう(図3)。
今回は利用者数と1人当たりの利用回数という2つの軸からアプリの利用傾向を見たが、前述のとおり、利用者数と1人当たりの利用回数共に高い数値を記録しているアプリは稀であることから、大きな成功を収めているアプリは現状まだまだ少ないといえよう。今後の取り組みとして、利用者数及び利用回数共に伸ばす形が理想形ではあるが、サービス内容によって優先的に注力すべき方向は異なるとも考えられる。
売り切り型や広告収益モデルを収益の軸としている場合は、より利用者を伸ばす施策を、反対にアイテム課金などといったフリーミアムモデルを収益モデルとしている場合には、利用回数を伸ばす施策に注力するべきである。
自社サービスの本質を考慮し、まずは収益確保に見合った方向に対して、サービス内容の拡大や広告費の投入などといった様々な手法にて注力し、収益基盤をより強固にして頂きたい。その後、もう一方の軸に対しても拡大に取り組み、より大きな収益確保を実現して頂きたいと思う。
取得データ | iPhoneユーザーのインターネット経由でのサイト・アプリ接触状況データ ※3G(UQ含む)/Wi-Fi経由とも取得 |
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調査対象 | 関東地区在住のiPhoneユーザー 男性 601サンプル/女性 539サンプル |
集計対象期間 | 2013年6月1日(土)~6月30日(日) |
調査実施機関 | ビデオリサーチインタラクティブ |
※本文、散布図に表記されているアプリには、既に配信終了しているものが存在する。
また、App Store上の表記と若干変えているものが存在する。
この記事は、ドコモ・ドットコムが発行するモバイルビジネス・マーケティング情報誌「スマートフォンレポート」の一部を、Web担当者Forum向けに特別公開したものです。
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