アクセス向上99のワザ

#55~#64 メルマガ、リリース、SMO、アクセス解析……新規ユーザーを集めるその他の手法

アクセス向上の基本はやはり新規顧客の獲得。すでにこの特集では検索エンジンマーケティングとネット広告の基本を紹介したが、新規ユーザーを集める手法はまだまだある。メルマガ広告、プレスリリース配信、アフィリエイト、ミクシィ、ソーシャルメディア最適化、オークション、YouTubeなどによる新規ユーザー獲得のノウハウを一気に紹介し、さらに、昔は良かったが今はやるべきではないアクセス向上手法も紹介する。

55メルマガ広告はセグメント化が魅力

数万人以上に配信している人気メールマガジンに広告を出すのも1つの手だ。リーチしたい層に近い読者を多く抱える良質のメルマガを大手のメルマガ発行スタンドで探してみよう。毎回の配信を読者が楽しみにしているようなメルマガならば、リーチできる絶対数は少なくても、確実な効果を得られる可能性が高い。

出稿時にはメルマガの筆者とコミュニケーションをとり、普段の内容にとけ込むような自然な形で読者にメッセージを伝えられるようにしてみると、さらに効果が高まるだろう。また、メルマガは読者が決まっているので、同じメルマガに繰り返し出稿すると、リーチできる対象全体でフリークエンシーが高くなるのが特徴だ。

主なメルマガ配信サービス

56プレスリリースを発行しよう

今やプレスリリースは特別なものではない。たいしたこともない内容を週に何通も送信していても意味がないが、ここぞというときにはプレスリリースを発行するべきだ。

「プレス」リリースというぐらいだから、基本的には報道機関に対して、最近ではメールで送るのが基本だ。多くの場合、広報スタッフが適切なリリース送付先の一覧を管理しているはずだ。

どこに送ればいいかわからない場合や送付先を管理する工数をかけられない場合は、プレスリリース配信サービスを利用するといいだろう。こういったサービスで情報をチェックしているブロガーもいるので、ニュースサイトだけでなく、ブログに記事として書かれる可能性もある。また、出したリリースの分だけ自社へのリンク数が増えるので、SEO効果も出る。

リリースを書くときに注意するべき点としては、次のようなものが代表だろう。

  1. 本文の冒頭を見ただけでどんな内容かわかるようにする
  2. ファイル添付やURLの記載だけにせずに必ずメール本文にも内容を記述する
  3. 価格や発売時期(サービス開始時期)をリリース内に明記する

また、リリースをメールで送る場合、メールの件名は「○○のリリース」といったものにするべきではない。リリース内容の特徴を表すキャッチコピーとしてうまく作れば、さまざまな人の目に留まる可能性が高くなる。件名はリリース本文よりも時間をかけて考えるべきだと言っても過言ではない。見られなければ意味がないのだから。

表 主なプレスリリース配信サービス

News2uhttp://info.news2u.net/
@Presshttp://www.atpress.ne.jp/
ValuePress!http://www.value-press.com/
ZDNet Japan企業情報センターhttp://japan.zdnet.com/company/
アールイープレスサポートhttp://re-pr.com/
共同通信PRワイヤーhttp://prw.kyodonews.jp/

57アフィリエイトならばブロガーが集客してくれる

アフィリエイトというと個人の小遣い稼ぎの印象が強いが、アフィリエイト料を支払う側(マーチャント)としてサービスを利用するのもいいだろう。アフィリエイトを利用する商品と料率などを決めれば、個人ブロガーなどのアフィリエイターが自分のサイトからあなたのサイトにユーザーを誘導してくれる。そのユーザーが商品を購入したり資料請求をしたりすると、誘導元のサイトに成果報酬を支払う仕組みだ。

ただし、アフィリエイターに対して自社の商品を扱ってもらうようにアピールする必要があるため、あくまでも集客ルートの1つとしてとらえるべきだろう。

表 代表的なアフィリエイトサービス

A8.nethttp://www.a8.net/
TGアフィリエイトhttp://www.trafficgate.net/
アクセストレードhttp://www.accesstrade.net/
ジャネットhttp://j-a-net.jp/
電脳卸http://www.d-064.com/
バリューコマースhttp://www.valuecommerce.ne.jp/
リンクシェアhttp://www.linkshare.ne.jp/

58mixi公認コミュは新境地のキャンペーン

700万人以上のユーザーを抱えるmixiは、通常のバナー広告以外にも「公認コミュニティ」「公認アカウント」と呼ばれる、ユーザー間や企業とユーザーの間でのコミュニケーションの場所として、企業がコミュニティやアカウントを作るという広告商品も用意されている。利用したい場合はmixiに広告掲載の問い合わせをしよう。

有名な成功事例としては、フレンテ・インターナショナルが公認アカウントとして作った仮想ユーザー「ピンキー・モンキー」がある。マイミク(友達)の申請が上限の1000人に達し、ピンキー・モンキーが日々綴る日記も人気を集めた。大塚製薬ファイブミニの公認コミュニティ「体内怪人ファンコミュ!」「ファイバー美人大学」など公認コミュニティも多数作られ、単なる広告とは異なるユーザーとのコミュニケーションを実現している。公認コミュニティ自体をどうやって多くの人に知ってもらうかという問題はあるが、SNSならではの参加ユーザーの知人を通じて広まるという効果も期待できる。

59SMOを進めてソーシャルメディアで注目されよう

Web 2.0的な仕組みで人気を集めるソーシャルメディア

図1 はてなブックマークの「最近の人気エントリー」に取り上げられれば、1時間あたり1000人以上がサイトに訪れてくれることもある。中小企業のウェブサイトにとっては魅力的だ

はてなブックマークやYahoo!ブックマークのような“ソーシャルブックマーク”や、newsingやECナビのBuzzurlのような“ソーシャルニュース”は、ユーザーがそれぞれ「良い」と思ったページを投稿し、多くのユーザーからの票を集めたページが「いま注目されている情報」として取り上げられる仕組みだ。いわゆる「群衆の英知」によって良い情報を見つけ出すWeb 2.0的なサイトだ。

こういったソーシャルメディアからは効率的に良い情報を得られるため、日々チェックして情報収集しているユーザーも多い。逆にいうと、そこで注目されればアクセス向上の効果を期待できるということだ。こういったソーシャルメディアで取り上げられやすくするための施策を「SMO(ソーシャルメディア最適化)」と呼ぶ。

ソーシャルメディアはアクセス向上の効果に多段的な効果を持つ

ソーシャルメディアで取り上げられると、そこからの直接のアクセス向上効果だけでなく、ソーシャルメディアを見て書かれたブログ記事経由でのアクセス向上、さらにはそれら全体でリンク数が増えることによるSEO効果など、さまざまな好影響がある。人気が出れば出るほど相乗効果が出るのも特徴だ。

ソーシャルメディア最適化にはさまざまな手法が提唱されているが、わかりやすいものとしては次のようなものがある。

  • ページの内容を「あれもこれも」ではなく「これ」というわかりやすいものにする
  • サイト内の各コンテンツに将来にわたって変化しない固定のURLを付ける
  • ソーシャルブックマークするためのリンク(たとえば「はてなブックマークに追加」「newsingに追加」などのボタン)を各ページに設ける
  • コンテンツを他人がある程度自由に再利用できるようにする
  • 今のユーザー層より少しレベルの高いコンテンツやサービスを提供すると、「今は活用しきれないけどメモしておこう」とブックマークされやすくなる
ソーシャルメディアで取り上げられると、さまざまな角度からのアクセス向上が可能だ。

検索エンジンという機械を対象に最適化するSEOと比較すると、SMOは「人」を対象に最適化していることがわかるだろう。そのため、SMOではSEOのように「このHTMLタグをこう変更して」という作業をするというよりも、サイトに来る人やネット上でコンテンツを作る行為をする人の姿を思い浮かべながら、その人たちに自分のコンテンツを知ってもらい、受け入れてもらうには何をすべきかを考えて実践することが中心になる。ある意味では正解のないアクセス向上手法だとも言える。

もちろん、何よりも「これはおもしろい」と言ってもらえる内容のページ作ることが大切なのは言うまでもない。

手始めに、「はてなブックマークでこの記事をブックマーク」や「Yahoo!ブックマークでこの記事をブックマーク」などのアイコンをページに追加してみてはどうだろうか。ブログツールを使っていれば比較的簡単にできる。

60オークションで集客しよう

Yahoo!オークションなどで「1円オークション」や「他店舗との協同オークション」といったイベントをやってみよう。販売して売上を得るためではなく、そういったオークションイベントで注目を集めることを目的にするのだ。単にプレゼント応募企画にするよりも、参加者にとっては「落札できるかな」のドキドキ感が出るし、落札されると1円だったとしても支払いが発生するため、ユーザー情報を入手でき、次につなげることができる。

61既知のルートでサイトを告知しよう

知人や親類、取引先などにサイトのことを知らせるのはアクセス向上の基本だが、うっかり忘れがちだ。「もし知り合いでこのサイトに興味を持ってそうな人がいたら、その人にも教えていただけるとありがたい」と一言付け加えるのも忘れないようにしよう。もしその人がブログを書いているのならば、「気に入ってもらえればブログなどで取り上げていただけるとうれしい」と頼むのも効果的だ。

既存の顧客や見込み客にとって役に立つサイトならば、保有しているさまざまな顧客リストに対して告知のメールを送るのもいいだろう。ただし、そういったメールを送る許諾を得ていなければ送るべきでないことは当然だ。

62YouTubeなどのビデオ共有サイトにビデオを投稿しよう

グーグルに買収されたYouTubeは、日本からも大アクセスがある巨大なサイトだ。また、YouTubeはブログに簡単にビデオを貼り付ける仕組みも提供しているので、投稿したビデオが注目されれば、YouTube内からの誘導だけでなく、ブログからの誘導が増える可能性もある。

ただし、企業の宣伝ビデオを流しても仕方がない。YouTubeユーザーやブロガーの興味を引くようなおもしろい(すごい)内容のビデオを作れなければ、大きなアクセス向上の効果は望めないだろう。「バイラルマーケティング」という言葉があるように、そういったプロモーションを専門に行う企業も出てきているほど注目を集めている分野だ。

63単純なPVやUUではなくKPIを設定しよう

ページビューやユニークユーザーといった指標は、あくまでも結果だ。あなたのサイトに合ったKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を設定して、そこを重点的に伸ばすようにアクションを考えるべきだ。そういった考え方でウェブサイトを運営するのは、単にアクセス向上という意味だけでなく、ビジネス面でも良い効果を発揮するはずだ。

この特集の別記事でインタビュした伊藤 将雄氏も、「たとえば“24時間以内のログインユーザー数”、“1日のクチコミ投稿件数”、“トラックバック数”、“ブックマーク数”などのKPIを決めて、その値を上げるために、ユーザーのアクションに対して最適化するようにサイトを改善していくのが大切です」と語っている。あなたのサイトのKPIは何だろうか。

64アクセス解析で効果測定してPDCAを回そう

SiteCatalystでは、自分が気になる指標だけを1画面にまとめた「ダッシュボード」を自由に作れる(画面はSiteCatalystのダッシュボード編集画面)
多くのツールでは、資料請求やユーザー登録などをユーザーアクションの目標として設定し、そこに至るまでにどれぐらいのユーザーが脱落したかをステップごとに表示する機能がある(画面はWebTrends)
VisionalistやSiteCatalystでは、定型のレポートを自動的にExcelに出力する機能を持っている(画面はVisionalistの機能で作成したExcelレポート)
多くのモダンなアクセス解析ツールでは、各種の指標をビジュアルにグラフで表示してくれるので非常に見やすい(画面はSiteCensus)

どんなアクセス向上テクニックを使うにしても、それぞれの効果測定を行い、効果のなかったものは見直して効果のあるものを促進していくPDCAサイクルをしっかりとしていくことは、あなたが思っているよりも重要だ。

昔のアクセス解析はシステム管理者向けの「アクセス集計ツール」と言ってもいいようなレベルのものだったが、ここ数年でアクセス解析ツールは劇的に進化している。特に、マーケティング目的に開発されたアクセス解析ツールが増えてきたのが特徴だ。

どのサイトの広告が良かったのか、ソーシャルブックマークでいつ上位に表示されたのかといった基本的なことだけでなく、このサイトから来てこのページを見た人は、次にどのページを見たのか、それとも単一ページだけ見て帰ってしまったのかなどまで調べられるアクセス解析にならば、予算を確保する意味は大きいぞ。

もしあなたがこれまでシンプルなページビューを調べるだけの“アクセス集計”ツールしか使ったことがなければ、または、ユーザーがサイト上でどんな行動をしているのか把握できることを知らなかったのならば、表に示すようなモダンなアクセス解析ツールを試してみてほしい。目から鱗が落ちるはずだ。


代表的なアクセス解析サービス
Google Analytics
(グーグルアナリティクス)
http://www.google.com/analytics/ja-JP/
無料なのに何から何までデータが出てくる魔法の箱
BizMark
(ビズマーク)
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/bizmark/
解析データの見える化&ビジュアル表現に定評あり
ClickTracks
(クリックトラックス)
https://www.clicktracks.jp/
とにかくビジュアルにこだわったツール
Sibulla
(シビラ)
http://www.sibulla.com/
シンプル一番、ウェブサイトの意思決定ツール
SiteCatalyst
(サイトカタリスト)
http://www.omniture.jp/products/web_analytics
思いつくことはなんでもできるアクセス解析ツールの王様
SiteCensus
(サイトセンサス)
http://www.netratings.co.jp/sc/
広告主ランキングに載るような会社なら導入の価値あり
sitegram
(サイトグラム)
http://www.sitegram.com/
ログを預かって解析する独自サービス
SiteTracker
(サイトトラッカー)
http://www.sitetracker.jp/
日本で一番売れている解析ツールのデパート
Urchin
(アーチン)
http://www.proton.co.jp/products/urchin/
最速のアクセス解析ツール
Visionalist
(ビジョナリスト)
http://www.visionalist.com/
日本のマーケティング風土にあったアクセス解析ツール
WebTrends Analytics
(ウェブトレンドアナリティクス)
http://sirius.itfrontier.co.jp/webtrends/
世界で一番売れているアクセス解析ツール

効果が期待できないアクセス向上に手を出すな

アクセス向上の手法の中には、昔は効果があると言われていたが今はそうではない手法や、場合によっては逆効果になってしまう手法もある。また、時間をいくらでもかけられる個人サイト向けにはいいが、有限の時間でビジネスを進めなければいけないビジネスサイト向けではないものも多い。ここではそういった手法を紹介する。

×掲示板やブログのコメントにURLを書き込む宣伝
この手法が非常に効果的だとされていた時代もあったが、個人が運営しているサイトの掲示板やブログのコメント欄で宣伝をするのは、今や迷惑行為以外の何物でもない。アクセス向上が見込めるどころか、ブランドイメージが低下するのは間違いないだろう。同様に、メールを送る許諾を得ていないメールアドレスに対して宣伝メールを送る行為も、受け取った側の視点で考えれば迷惑メール以外の何物でもない。

×相手の素性がわからない相互リンク
リンクを張る相手がどんなサイトでどんな訪問者がいるのかわかって相互リンクするのならば問題ないのだが、入会すれば自動的に相互リンクの枠に入るタイプの相互リンクは要注意だ。効果が少ないだけでなく、場合によっては検索エンジンから悪質なリンクファームに参加しているとみなされて検索エンジンでの順位が大幅に下がってしまう場合もある。

×アクセスアップ目的のランキングシステム
いくらかはアクセス数がアップするかもしれないが、そのランキングを見ている人の中に、あなたがターゲットにしたい層のユーザーがどれだけ含まれているのだろうか。アクセスアップをねらって自分の順位をこまめにチェックしている個人サイトの運営者しか見ていないようなランキングシステムならば、そこを気にする時間や貴重なページ上のスペースをランキングシステムに使うことは無駄になる。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.4』掲載の記事です。

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