明日、マネージャーがいない

児童養護施設を舞台にした、日本テレビ系のドラマ『明日、ママがいない』は、センセーショナルな内容のため実際の施設関係者から猛烈な抗議を受け、物議を醸しています。


概要はこちらを参照。
日テレのドラマ「明日、ママがいない」への抗議問題。施設の子どもに対する「想像力の欠如」と「加害性」(水島宏明) - 個人 - Yahoo!ニュース 日テレのドラマ「明日、ママがいない」への抗議問題。施設の子どもに対する「想像力の欠如」と「加害性」(水島宏明) - 個人 - Yahoo!ニュース


まぁこの反応は「そらそうよ」としか言いようがありませんが、でも「誰も傷つけてはいけない」とか言ってたらフィクションなんて作れないし(『クロコーチ』に警察が抗議したら、世間は「圧力」と批判するはずである)、難しい問題です。

クロコーチ(1) (ニチブンコミックス)

クロコーチ(1) (ニチブンコミックス)


んで、これに似た構造ですがぐっとみみっちい炎上事案が、こちら。

仙台を舞台にしたアイドルアニメ『Wake Up Girls!』というのが今月から始まったのですが、先行するアイドルアニメの『アイドルマスター』や『ラブライブ』などがキラキラした話になっているのに対し、こちらは社長が金を持って失踪したり、初ライヴでパンツを見せたりするビターな話なので、アニメファンが困惑しました。監督が、何かにつけ炎上することで有名な山本寛だというのも、世知辛いアニオタの反発を助長しているようです。

んで、先日放送されたばかりの第2話では、主人公たちは胡散臭いプロデューサーによって、健康ランドでの営業をやらされます。

ゆるやかな堕落に包まれた空間。

中年男性の空気感にドン引きのアイドルたち。

布の小さな白水着に着替え、持ち歌を披露する。


明らかにアイドルを愛でる客層とは違う、デヘヘ感あふれる反応を示す仙台おじさんたち。


さらには、水着の撮影会と……


宴会のコンパニオンまでやらされる。
この子たち、中高生ですからね。明らかにまずい描写です。


「こんなのってないよ……」と、魔法少女の真実を知ったまどかみたいな反応を示すメンバー。

ついには、王様ゲームまで始まって……

おじさんとキスさせられそうになる。

さすがに「もういやっ」と、ケツをまくるのでありました。


まあストーリー的には、そこに失踪していた社長が帰ってきて、悪徳プロデューサーをタコ殴りにして一件落着するのですが、いたたまれなくなるような話です。ちなみに社長は、持ち逃げした金を全部バクチですって帰ってきたので、そんな人が帰ってきたところで何になるのかわかりません。いちおう新しい仕事はとってきたみたいだけど、ローカル番組のグルメリポーターというから微妙なところです。実際の仙台なら、ストロングスタイル(悲しくなるほどつまらない仙台のローカル芸人コンビ)あたりがやるような仕事やないか。
おじさんの作画も妙に味があって、萌えアニメとしてはどうかと思いますが、実はこの健康ランドは実在するんですよね。


最近のアニメは、実在する地方を舞台にしてロケハンし、ファンが「聖地巡礼」するというビジネスモデルを展開することが多いです。大成功しているのが、大洗を舞台にした『ガールズ&パンツァー』や、金沢を舞台にした『花咲くいろは』などです。


『Wake Up Girls!』も仙台を舞台にしているので、実在するお店がたくさん出てきます。仙台市には「仙台シネマ認定制度」というものがあり、仙台を舞台にした映画を自治体がPRして町おこしにつなげる試みをしています。しかし、これまでは伊坂幸太郎原作の映画しか認定されたことがなかったのですが、今回は初のアニメ、初の非伊坂作品が認定されました。


そういうわけで、地元の施設をたくさん出しているこのアニメ。問題の健康ランドは、仙台市のはずれにある大きな温浴施設「竜泉寺の湯」仙台泉店です。行ったことのある人なら一発でわかりますし、エンディングではちゃんと「撮影協力」としてクレジットが出ています。
http://www.ryusenjinoyu.com/izumi/index.html


ぼくも行ったことがありますが、こんな不健全な施設じゃありませんでしたけどね。


ほんで、これを見た人が、「竜泉寺の湯はこんな場所じゃない」と、ツイッターで山本監督に抗議するという事態に発展しています。

山本監督の返答はこちら。
まぁテンプレ通りですね。

推理作家の芦辺拓先生も、不快感をあらわにしています。

時の審廷

時の審廷


これで竜泉寺の湯からクレームが行ったら、全国ニュースで取り上げられたりするかなぁ。たぶん誰も興味ないだろうなぁ。