メディアの記者たちの偏向


 かねてから思っていることだが、参議院選挙が近くなってきたこの機会に書いておいて無意味でないであろうことがある。それは、メディアの記者たち、特に(想像にすぎないが)中堅の記者たちにはどうも偏向があるのではないか、という疑念である。


 より具体的に言えば、メディアの中堅の記者たちには、自民党に対する以上に民主党に対して、より強い嫌悪感があるように、かねてから私には思われてならない。例えば、民主党が与党を批判したことが報じられる際には、(ほぼ例外なくと言ってよいと思われるが)民主党の批判はもっぱら政局的な視点から報じられている。つまり、民主党はつねに人気取りをしたいがために与党を批判している(よりはっきり言えば、空疎な批判をしている)と言いたいがごとくなのである。民主党の批判が決してそういう政局的反応に限られないことは、今回の年金問題での長妻議員他の取り組みがこれを証明していると言ってよいが、しかしメディアの伝え方は民主党の言い分を決して十分に伝えていない。


 他方で、例えば次のような記事が目につく。
<「社保庁解体は大変な改革」 小泉前首相が首相にエール>

2007年07月07日20時57分
 小泉前首相は7日、大津市内で講演し、安倍首相の政権運営について、「しっかりやっているが、(小泉政権と違って)抵抗勢力がなくなって、みんなから支持されているから、戦ってないんじゃないかと誤解されている。社会保険庁の解体は、大変な改革だ。よく安倍さんできたなと思う」と語り、支持率が低迷している安倍政権にエールを送った。

 こんなことを報道する意味がいったいどこにあるのか。私に言わせれば(この記事を書いた記者は違う考えかもしれないが)、小泉はもう終わった政治家である。しかも頭も悪い(今でも「抵抗勢力」などという、流行の終わった言葉を一つ覚えで使っている)。法案の中身もよく審議せずに国会を通過させたのを「よくできたな」はないだろう。小泉純一郎という政治家はつくづく最低な政治家だと改めて思う。


 しかも、メディアの伝え方が極めて不十分だが、私の誤解でなければ、今回の社保庁解体法案は、今回の年金問題がクローズアップされる前に作成された法案であり、年金問題の調査という観点からすればむしろ断じてやるべきでないことをやろうとしているのである(社保庁を日本年金機構に変えたなら、給料は税金から支払われるが、国家の機関でなくなるので、責任追及が今よりも困難になるという話である)。


 朝日新聞ですらこういうどうしようもない記事を垂れ流している。まして御用新聞の読売・産経(最近は毎日も政府寄りの姿勢を強めているかに見える)においてをや、である。NHKの報道だって、野党の言い分より与党の言い分を流している時間の方が遥かに長い。どうなっているのかね、日本のメディアは?


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。