物理的領域の因果的閉包性

話数単位で選ぶ、2019年TVアニメ10選


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◆ Re:ステージ! ドリームデイズ♪ 第4話 『もう終わりだみぃ』

脚本:加茂靖子 コンテ:名取孝浩 演出:上田慎一郎 
作画監督:手島典子、薮田裕希 総作画監督:原田峰文



もし2019年のベスト百合カップルを選ぶとしたら市杵島瑞葉と長谷川みいの2人になるかもしれません。それくらい印象深い話数になりました。
小悪魔的な頭脳で支配する瑞葉とアイドルの踊りを教えるみい。「嫌よ嫌よも好きのうち」をストレートに描きながらお互いの足りない部分を補い合う。
アイドル部を作ってみんなで踊りたい。形は違っていても考えている事は似ている2人。そこがいいんですよね、根っこの部分は通じ合ってる所が好き。
余談ですが、あまり出番がなくて曲も10話挿入歌の「エンゼルランプ」しか流れなかったトロワアンジュ。実は楽曲と歌唱のクオリティが高いんです。
とくに好きなのが1stアルバムに収録されなかった2ndシングルの「Lumiere/Silent Dystopia」。デレマスに例えるとリステ版トライアドプリムス。
様式美強めですが「なぜこの3人?」という驚きと「これキャラソンじゃないよね」感が良くて、なぜアニメで出番が少なかったのか疑問ですね笑。

◆ 放課後さいころ倶楽部 第1話 『知らない世界』

脚本:前川淳 コンテ:今泉賢一 演出:伊東優一 
作画監督:小澤円、舛館俊秀、和田佳純、井上貴騎 総作画監督:伊部由起子、宮川智恵子



たまゆらシリーズ、いや今までアニメを見てきた中でトップ10に入る話数として、たまゆら~hitotose~第8話『かわらない人かわりゆく時、なので』があり、
主人公:沢渡楓と写真家:志保美りほのお話で、どこに居て、何をしても、時間をどう使おうと、どう切り取ろうと自分で選択できるという話なんですが、
この放課後さいころ倶楽部第1話にも似たようなテーマがあって、主人公の武笠美姫が転校生の高屋敷綾に振り回されながらも新しい世界へと足を踏み入れる。
サイコロを転がしてコマをどう進めるかは自分次第、身勝手ではなく周りの助けを得ながら、影響を受けながら自分の進むべき方向を見つけるようになる。
美姫だけではなく委員長の大野翠もゲーム作りを通して自分の方向性を見出していく様子も後半描かれるので、日常とゲームの相互関係が見ていて気持ち良い。
自分が何を選択するのかは自由、そんなの当たり前なんですが、仕事や家族、友人などいろんなしがらみの中で生きてると優先順位がおかしくなるんですよね。
そういう当たり前の大切さを第1話でしっかり提示しているところがこの話数の魅力ですね。何かにチャレンジしてみようと勇気づけられるエピソードでした。

◆ 私に天使が舞い降りた! 第9話 『私が寝るまでいてくださいね』

脚本:山田由香 コンテ:福田道生 演出:鳥羽聡 
作画監督:渥美智也、西川絵奈、山野雅明、徳永さやか、小田景門、板倉健、中島大智、長尾圭吾、山﨑輝彦、菅原美智代、池添優子、乘冨梓 
総作画監督:原田峰文



星野ひなたが家や学校で見せないデートでのイケメンっぷり。私カワイイだけではない恋する乙女な姫坂乃愛。私にデレ期が舞い降りた白咲花。
料理だけではなく普通に家事もこなせる昔は私も天使だった星野みやこ。第9話はいろんなギャップ萌えが楽しめる回。メガネ花ちゃんポイント高い。
みやこママも昔はみゃー姉を天使のように可愛がって、それを糧にして頑張っていたんでしょうね。今は妹とその友達の為にみゃー姉が頑張ってる。
みゃー姉が頑張る事でみゃー姉自身よりママが助かってる気がします。天使のような子供たちの為に世界は回っているかような表現好きですね。

◆ ガーリー・エアフォース 第10話 『上海奪還作戦』

脚本:吉田伸 コンテ:和田純一 演出:高島大輔 
作画監督:長田好弘、山田真也 総作画監督:長田好弘、今西亨



この話数は以前記事にしているので時間があれば読んでほしいんですが、大沼心監督ならシルエット描写、山田尚子監督なら手や足の細かな描写が特徴。
キャラクターの感情が表に出やすいのは顔だと思っていて、泣いたり叫んだり目を見開いたり眉をひそめたり。そのほとんどは顔のパーツから出てくるもの。
顔を隠す(あえて表現しない)ということはセリフや表情以上に読み取れる感情の幅が広がるという事。それがある意味アニメーションの醍醐味でもある。
極端な事を言えばセリフで全部説明するなら映像は見なくてもいい。顔以外の動きで理解できる事も多いのにやたら顔の描写が多い。省エネ作画あるある。
声優さんの演技にも関係してきますが、言葉が感情に直結しているわけではないので、セリフ以上のものを想像させてくれる演出は見ていて楽しいですね。

◆ グランベルム 第3話 『満月に鐘は鳴る』

脚本:花田十輝 コンテ・演出・作画監督:石田可奈 
総作画監督:今中敬、野田康行 アルマノクス総作画監督:ジミー ストーン



やり直せない「Re:ゼロから始める異世界生活」を女の子だけでやってみたらロボ版「魔法少女まどか☆マギカ」になってしまったオリジナルアニメ。
可愛いキャラクター、先の見えないストーリー展開、声優さんの鬼気迫る演技、どれも他作品に負けない良さがあったのに活かしきれなかった印象。
この3話はとくに手の芝居、頬に手を当てるシーンが印象的に描かれていて、百合みが高く好きな回。土御門九音の謎めいた部分が魅力的で愛らしい。
良い話数もあって、あともう少しだけ工夫すればオリジナリティを出せたのに、という悔しさが残る作品ですが、最終話以外は割と満足しています。

◆ ひとりぼっちの〇〇生活 第11話 『たぷたぷからプリプリまで』

脚本:花田十輝 コンテ:いわもとやすお 演出:宝井俊介 
作画監督:山崎敦子、たなべようこ、今田茜、壽恵理子 総作画監督:田中紀衣



親切にしてもらうばかりで人の役に立つ事がなかなかできない小篠咲真世。一里ぼっちと友達になる事で勇気を出して父親にメールできた話。
ぼっちが、というよりもぼっちをクッションにして仲良くなった砂尾なこと本庄アル、ソトカ・ラキターと本庄アルの関係性が面白かった。
真世もそうですが、みんなきっかけが無かったから友達ができなかった。その心のドアをぼっちが無理矢理こじ開けてるだけなんでしょうね。
この第11話では今まで友達になってくれたなこやアルに手助けをしてもらいながら、ぼっちの友達同士ではなく真世の両親まで想いが広がる。
クラスメイトと友達になる事が目標。でもいずれ真世の両親に会ったり「じいや」とも仲良くなるかもしれない。もっと続きが見たいですね。

◆ どろろ [2019] 第6話 『守小唄の巻・下』

脚本:小林靖子 コンテ:寺岡巌 演出:初見浩一 
作画監督:加藤雅之、若月愛子、首藤武夫、柳瀬譲二 総作画監督:岩瀧智



あとがきで手塚先生が途中から他の連載を抱えて雑な展開になってしまった事を反省してましたが、ストーリー含め改善の余地があった再アニメ化。
百鬼丸の両耳が戻ったあとのミオ回、2019年版独自の喋れない設定が物語とうまく噛み合っていて、この第6話までは良い出来だったと思います。
設定はあるのに登場しなかった魔物も原作にはいたのに、戻る部位と関係のない安直な魔物をオリジナルで登場させたり、第19話おこわ回も謎。
作品として全体を見るとまとまりがなく2クールの尺を活かしきれなかった感は否めませんが、どろろの過去回や寿海の話など、良い話数もあった。

◆ フルーツバスケット [2019] 1st season 第16話 『踏むなっつってんだろが!』

脚本:岸本卓 コンテ:羽原久美子 演出:鈴木孝聡 
作画監督:岩岡優子、小沢久美子、桑原麻衣 総作画監督:金子美咲、竹本佳子、徳永さやか、番由紀子



グランベルムの新月エルネスタ深海、この音とまれ!の鳳月さとわなど、2019年は種﨑敦美さんが際立っていて、この魚谷ありさ役も良かった。
種﨑さんがヤンキー役ってどうなのよ?と思っていたのですが、居場所が無いだけで心根はとても優しい純粋な部分が引き立っていて見事でした。
本田透役の石見舞菜香ちゃんも良かった。大地監督の2001年版も全体的に素晴らしい。でも2019年版もそれなりに良さは出ていた気がします。

◆ まちカドまぞく 第2話 『スポ根ですか!?万物は流転する』

脚本:大知慶一郎 コンテ・演出:岡本英樹 
作画監督:大木良一、伊東葉子、宮口久美、河野直人、中林蘭子、岩崎亮 総作画監督:大木良一



お話が、コンテ・演出が、というより声優さんの演技とシャミ子と桃の関係性が好きで見てた感じですね。独特の言い回しやニュアンスも好き。
ただ振り回されるだけ、焦げつき魔族のまま、で終わらず、無駄な抵抗が無駄に終わらないちょっとした救いがある所が見ていて面白かった。
原作も少し読みましたが、単純にアニメ化しただけの作業ではこういう仕上がりにはならないので、細かい所まで工夫されている部分も高評価。

◆ モブサイコ 100 II 第5話 『不和 ~選択~』

脚本:瀬古浩司 コンテ・演出・作画監督:伍柏諭



モブの葛藤 → 覚醒 → 100%到達 → 限界突破 → 撃破 → 無事救出 → 日常回帰 → 霊幻声高らか。作画含め非常に内容の濃い話数でした。
ジンクスとして本気を出そうとしたのにいまいち盛り上がりに欠ける2期が多い中で、1期はすべて前置きだったんだと思わせてくれる質の高さ。
終盤の爪編になるとモブが精神的に急成長しすぎて違和感があったのですが、モブと霊幻の存在意義を掘り下げている部分はとても良かった。


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