小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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「フランス24」が年内に仏語のみに?


 英語とフランス語(+アラビア語、スペイン語)で24時間、「フランスから見た世界」のニュースを報道してきた「フランス24」だが、サルコジ仏大統領が、英語版をなくすると表明した。純粋にフランス語放送のみにするそうである。独シュピーゲル・オンライン(英語版)が1月3日付で伝えた。

 フランス24は世界に向けた主に英仏語の24時間ニュース放送で、シラク前大統領が開始に力を入れてきたもの。米国のCNNや英国のBBCに対抗する、という目的だった。グローバルニュースが英語メディアに席巻されていることに、我慢がならない、ということで。

 今回の英語放送停止表明は、嫌・反シラクという意味合いも微妙にあるのかどうか。

 フランス24は2006年12月開始なので、始めてからまだ一年ちょっとしか経っていない。フランス語だけの放送は、「フランス・モンド」と名づけられる。フランス語放送TV5、ラジオ・フランス・インターナショナル、フランス24が協力して作り上げる新体制は、年内には(時期未発表)発足する予定だ。「フランスの視点」を出すためには、フランス語放送に英語、スペイン語、アラビア語の字幕が適宜つくことで「十分」としたようだ。

 フランスのテレビ局が多言語で放送をしていることを「心地よく思わない」と大統領は述べ、「国民の税金を使いながら、フランス語放送ではないチャンネルを放映はしたくない」と会見場で述べたそうだ。

 放送労組のSNJ-CGTは怒りを表明した。AFP通信によると、英語版担当スタッフは、「悲しみにくれ、衝撃を受けている」と語っている。英語・アラビア語放送が消えれば、「フランスが時代に遅れているというイメージを与える」とその一人は話している。

http://www.spiegel.de/international/europe/0,1518,527544,00.html
by polimediauk | 2008-01-13 21:50 | 放送業界