朝日「Journalism」でソーシャル・メディア特集
朝日新聞の月刊メディア雑誌「Journalism(ジャーナリズム)」がソーシャルメディア特集をしている。
メディアあるいはジャーナリストがソーシャルメディアをどう使うか、である。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14106
ツイッター導入に積極的な朝日のソーシャルメディア担当者、毎日新聞やTBSの実践者の話に加え、英国(小林)や米国の活用例が紹介されている。日本に住む方には朝日や毎日の事例が参考になるのではないだろうか。私自身、米国メディアがいかにソーシャルメディアを駆使して報道しているかが興味深かった。
中国事象のエキスパート、ふるまいよしこさんによる「変化する中国メディアの視点 この頃反日デモが起きない理由」も示唆に富むように思った。常々、中国やほかのアジア諸国にかかわる報道で、ついつい私たちはこうした国の政治パフォーマンスに踊らされ(過ぎ)てはいないか?と思っていたからだ。ふるまいさんによると、中国ではどんどん新しい感覚の記者が育っている。こうした記者たちは、
「古い話題ばかりの日本にかまっているヒマ」はないのである。
という箇所があった。ネットを使い、米CNNを見て育った若い記者がぞくぞくと生まれている。こうした世代の意識は、古くからの記者の意識とはかなり違う。
ソーシャルメディアの話に戻るが、朝日のデジタル編集部記者の方の記事で、最後の方に
ツイッターはその発信コストの圧倒的な低さによって、人々の感情を知るセンサーの機能すら持つようになっている。だが日本のメディアはこうした動きに完全に乗り遅れている。
とあった。
この結論とはやや離れるかもしれないが、日本で会った大手メディア勤務者(編集職)の中で、ソーシャルメディアについて「名前だけは知っている」という人が結構多かった。「名前だけ」というのが、なんともさみしい感じがした。私が会った人たちの顔ぶれが40代から50代(+30代)ぐらいだったせいなのだろうか?同時に、「会社での仕事(繰り返すが、ニュース制作が仕事である)が終わると、ニュースをチェックしない」「会社で画面ばかり見ているから、目が疲れるから」と何人かに言われた。「あれはどうなったのだろう?」という野次馬根性はないのかなあと思ったが、なんだか、いろいろなことがのんびりしている(?)のかもしれないし、始終ニュースやメールをチェックしなくても、できてしまう仕事なのかもしれない。いわゆる「デスク」クラスに入る人たちであったが、どことなく、愕然としたことも確かである。
日本では、ソーシャルを含むデジタル世界は、大手メディア勤務者にとっては、結構隔絶した存在なのかなあと思った次第。-どうなのだろう?
紙(の制作)とネット版とを分けて考えない方向に今少なくとも英国は進んでいる。その最大の理由は、社会全体がデジタル化にますますなっているし、広告主とメディア利用者がデジタル界に生息しているからだ。
話が飛ぶが、BBCの経営トップ、マーク・トンプソン氏が、この秋に退任後、米ニューヨークタイムズの最高経営責任者になることが分かった。トンプソン氏はBBCのオンデマンドサービス、アイプレイヤーを推進した人。BBCのデジタル戦略の牽引者。ニューヨークタイムズは生き残り策としてトンプソン氏を選んだようだ。
BBC会長がNYタイムズCEOに(NHK)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120815/k10014294151000.html
NYタイムズCEOにBBC会長(これもNHK.背景が良く分かります。)
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/0816.html
引用(トンプソン氏の)持論は、「テレビやラジオの放送事業者ではなく、視聴者がどこにいても番組を届けることを目指す」。