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江戸浅草の彫刻師「嶋村源蔵(俊表)」の仕事。「川越氷川神社本殿」を楽しむ!その3の巻

川越氷川神社本殿の彫刻を一気にご紹介しようというシリーズ第3弾 (*^^*) 
江戸浅草の屈指の彫刻師「嶋村源蔵(俊表)」の名品をとくとご覧あれ!


埼玉県指定文化財
川越氷川神社本殿の彫刻 その3
名工 嶋村源蔵(俊表)・飯田岩次郎 作


撮影:2021年10月20日 Canon PowerShot G7X


※仕事帰りに寄らせていただいたため、お気に入りのコンデジ1台での撮影になりました。
望遠倍率が低いので今回はほとんどの写真はトリミングで凌いでいます。
お見苦しいところはご勘弁下さいね。m(__)m (またリベンジします!)


1 本殿向拝下東側の※海老虹梁(えびこうりょう)に彫られた「子引き龍」のうち、大きい「親」の彫刻。
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※弓形に曲がっている虹梁(こうりょう=梁・はり)。本柱と向拝柱など、高さの違った所に多く用い、形がエビに似ているのでいう。鎌倉時代から唐様建築に用いられた。(コトバンクより)

2 同じく「子引き龍」のうち、小さい「子」の彫刻。
7IMG_9131bbc.jpg


3 同じく海老虹梁の全景。
7IMG_9125bb.jpg


4 同じくその裏側。
7IMG_9041bb.jpg


5 向拝西側の海老虹梁に彫られた「子引き龍」の彫刻。
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6 同じくその裏側。
7IMG_9137bbc.jpg


7 向拝下海老虹梁の全景。
7IMG_9137bb.jpg


8 「松と鶴」を彫った※手挟(たばさみ)と桁(けた)隠しに彫られているのは※※「麒麟・きりん」か?
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※日本建築で、水平な床と勾配のある木との合する部分のおさまりをよくするために取り付ける板。向拝柱の組物と垂木との間などに用いる。(コトバンクより)
※※この彫刻の「霊獣」は、翼有、角有一本、牙有、髭なし、蹄有(割れているか不明)



9 同じく西側の手挟と桁隠し。
7IMG_9041bbc.jpg


10 向拝下の向拝柱周辺。
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11 向拝下、中備(なかぞなえ)の彫刻。ここも「子引き龍」が彫られています。
7IMG_9147bb.jpg


12 本殿正面(南面)扉上部の彫刻。
7IMG_9148bb.jpg


13 本殿正面南東方向からの眺め。
IMG_9137bbd.jpg


14 本殿軒下南西方向角、組物などの彫刻。
5IMG_9039bc.jpg


15 本殿軒下北東方向角、組物などの彫刻。
5IMG_9072bb.jpg


16 同上。
5IMG_9080bb.jpg


17 本殿軒下北面、北東方向からの眺め。
5IMG_9110bb.jpg


18 本殿軒下東面、北東方向からの眺め。
5IMG_9109bbc.jpg


19 本殿軒下東面左側、組物間の「龍」の彫刻とその上部の※支輪(しりん)の彫刻。
2IMG_9124bb.jpg
※建築で、軒の斗栱(ときょう)部分や折り上げ天井で、斜めに立ち上がって並列している弧状またはS字状の材。(コトバンクより)


20  同じく東面右側。
2IMG_9139bb.jpg


21 同じく西面左側。組物間は「「親子の虎」の彫刻。支輪上部の板には「鶴」の彫刻。
3IMG_9031bb.jpg


22 同じく北面中央と右側。組物間は「亀・玄武(げんぶ)」の彫刻。
2IMG_9084bb.jpg


23 本殿東面※「脇障子(わきしょうじ)」の正面側彫刻は「孔雀」。
4IMG_9138bb.jpg
※ 神社などで、側面の縁側に立てた仕切りの板障子。(コトバンクより)


24 同背面。
4IMG_9104bb.jpg


25 本殿西側脇障子の背面。(表面は撮影できず)
4IMG_9083bbc.jpg


26 本殿西面の扉※「桟唐戸(さんからと)」の板や框(かまち)の彫刻。
1IMG_9036bb.jpg
※縦横に框 (かまち) を組み,間に薄い板を入れた扉。禅宗様,大仏様建築に用いられた。上部に装飾を入れたものが多い。(コトバンクより)
唐戸: (「からと」とも) 開き戸をいう。古くは妻戸という。普通は板を矧(は)ぎ合わせて作ったもの。縦横に框(かまち)を組み、桟を入れ、中に薄い板を入れたものを桟唐戸という。(日本国語大辞典より)

中世最初期に導入された技術で、これにより戸の重さを軽減することができるようになったそうです
気ままに建築 & 庭園を見るブログさんより教えていただきました!)



27 本殿正面(南面)の扉と柱の彫刻。
1IMG_9039bb.jpg


28 本殿東面の扉。
1IMG_9124bbc.jpg


29 本殿西面「木階」の下の床(浜床?)を支える「組物」間に施された彫刻左側。水辺の鳥で統一されている。
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30 同右側。
3IMG_9047bbc.jpg


31 同東面の右側。(左側は完全にライトの電源コードが被ってしまい撮影していなかった!)
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32 連続8枚でお贈りします。怒涛の「波」彫刻です。この彫刻は、東西北面の腰羽目彫刻の下に彫られていて、全部で10枚ありますが、どれ一つ同じ波は描いていません!(多分?!)川越市の文化財オフィシャルサイトによると「~構造材の見え掛りは50数種におよぶ地彫が施され、その間江戸彫と称する精巧な彫刻を充填し、とくに広重の浮世絵の影響をうけた波や、氷川祭の山車から取材した彫刻はまことに豪壮華麗である。~」と、広重浮世絵の影響を指摘しています。
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※川越市文化財サイト

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<参考> 歌川広重作 浮世絵から
▼「六十余州名所図会 阿波鳴門の風波」 (国会図書館ライブラリーより)

広重六十余州名所図阿波鳴門の風波国会図書館


▼「冨士三十六景駿河薩浦夕之海」 (国会図書館ライブラリーより)
広重冨士三十六景駿河薩浦夕之海国会図書館



40 
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42
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43 あらゆる木材にきめ細かい彫刻を施していて、大変豪華ですね。丁寧に造られていることを感じます。
IMG_9028bb.jpg


44 本殿東面全体。(西陽が入りハレーションを起こしてしまいましたぁ!これ一枚しか撮っていなくて大失敗)
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45 本殿北面全体。
IMG_9095bb.jpg


46 本殿西面全体。
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47 最後に屋根の写真から、本殿屋根正面(南面・向拝側)※「千鳥破風(ちどりはふ)」の※※「懸魚(げぎょ)」は「応龍(おうりゅう)」。奥にある「破風入り」の彫刻は「鶴」だそうだが見えない!残念。
IMG_9155bb.jpg
※屋根の斜面に設けた小さな三角形の破風。狐格子きつねごうしをはめ込み、装飾や通気用に用いる。据え破風。(コトバンクより)
※※屋根の破風板につけ、棟木や桁の木口を隠す飾り。中央のものを本懸魚(おもげぎょ)、左右の下のものをくだり懸魚、脇懸魚あるいは桁隠しなどという。板を各種の形にくりぬいて取り付ける。火災を嫌う意味で、水に関係の深い魚形から出たといわれるが、日本には魚形のものはなく、その形によって梅鉢懸魚、猪目(いのめ)懸魚、鏑(かぶら)懸魚などがある。けんぎょ。げんぎょう。(コトバンクより)



48 同じく本殿屋根正面※「唐破風(からはふ)懸魚」は「鳳凰(ほうおう)」。
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※反転曲線をもった山形の破風。曲線の接点(腰)に茨(いばら)がある。門、玄関などの屋根や社寺の向拝に見られる。同様の反転曲線で屋根全体ができているものを唐様(からよう)という。(コトバンクより)



49 おまけ・手水屋の彫り物も立派な「龍」でした。
IMG_9157bb.jpg


最後までご覧いただいてありがとうございました。
トリミングだらけの写真でお見苦しかったと思います。

機会があればぜひ川越氷川神社までお出かけいただき
参拝して素晴らしい彫刻を、隙間からでもご覧いただければ幸いです。
今年は川越祭りが開催されて、本殿の一般公開がされることを祈っています。


※素人解説ですので、間違いやお気づきの点がありましたら
ご教示くださいね。m(__)m



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コメント

Re: コメントありがとうございます

ぶらっと遡上探索 さん!こんばんは!

それはとても良い事かもしれません。今や環境への配慮ができない企業は融資も含めて将来性がない企業として扱われる。

むしろ、当然の事なのだと思います。持続可能な経営をぜひとも心がけてほしいものです。(*^^*)

コメントありがとうございます

今晩はトリケラさん、拍手コメントありがとうございます。
最近は、環境対応について各社が取り組んでいますね。コカ・コーラ社でも、「植林による森作り・水源管理、使った水は綺麗に浄化してから、自然環境にお返しする」が、全ての工場で実施されているそうです。見えない場所で良い事を行なう、好きです。

Re: お見事です

ぶらっと遡上探索 さん!こんばんは!

本当にそうですね。一人で彫っていたら何年かかっても終わらないかもしれませんね。

記録では「天保 13(1843)年起工、嘉永 2(1849)年に竣工」ということですから約6年かかっています。

名前が分かっている彫刻師は2人(嶋村俊表・飯田岩次郎)紹介されていますが、他にも彫刻師集団がいたのでしょうか。

興味深いですね。(*^^*)

お見事です

今晩はトリケラさん。
隅から隅まで、無負荷材全てに彫刻が見られ、圧巻の一言です。色々なパーツは、分担制になっているんですかね、まさか一人で全て彫ったんですかね。何年掛かるのやら、自分でやったら海老虹梁1本で1年で出来るか?ですね(笑)。

Re: No title

大原かずのり さん!おはようございます!

やはり江戸彫(流)・関東彫(流)というものなのでしょうかね?!

一つ一つの彫刻のち密さや、技巧の見事さ+全体の彫刻密度など、かなり計算された造形です。

西陽がさす夕方の時間の隙間からのコンデジ撮影でしたので、撮影できない場所やピントの甘さなど

露見して恥ずかしのですが、まだまだ修行が足りませぬ(笑)

大原さんに見てもらっていると、いい加減な事書いてもすぐに教えてもらえる「安心感」がありがたいです!

(*^^*)

No title

これはこれは、圧巻の彫刻群ですね!

ここまで圧倒的な彫刻は関西では見たことないです!

特に海老虹梁や手挟や尾垂木尻の凄い彫刻群と、繁垂木の精緻な配置の組み合わせは、見ていて惚れ惚れしますね♪
見事な撮影と詳しい解説、ありがとうございました。

そしてオタクで稚拙なブログを取り上げていただき恐縮致します^^;

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季節の野草や身近な自然の写真のご紹介、トレイルランやポタリング、マウンテンバイクの記事、掘り出しモンCDアルバムなど音楽の話題、美味しい日本酒や蕎麦について、最近は庚申塔・石仏・富士塚・力石など石や塚などにも興味津々!とりとめのない記事ばかりですがよろしくお願いします。

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