2016上半期に読んだ本のベスト10冊
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今週のお題「2016上半期」
上半期。光陰矢の如しで、もう本当になにやったか覚えてない。仕事と育児に忙殺された。
ただ、せっかくブログをやっているので、上半期に読んだ本でよかったものでもまとめてみようと思う。
小説とかのフィクションと、それ以外のノンフィクションを5冊ずつ。
ちなみに、作品の前に1.とか2.となってるけど、順位とかじゃなくて単純に読んだのが古い順にナンバリングしただけなのであしからず。
1.『太陽の簒奪者』
Kindleの年末セールで買った小説。
僕は小説のジャンルとしてはSFが一番好きで、ハードだろうがソフトだろうが国内外問わず読む。
そんな僕がこういう有名作品を今更読んだことは少し恥ずかしいことかもしれないが、掛け値なしで面白いものは面白い。読みやすい、かつハードな面もしっかりした骨太のSFを読みたい人におススメ。
2.『太陽・惑星』
またSFだし、タイトルも『太陽』がかぶっているが、これはもう何十年に一度出会えるかどうかというような体験をさせてくれた衝撃的な作品。著者の上田岳弘さんは本書がデビュー作。ちょっと読んだだけで、ああこの人はこういう視点で物語を書くために生まれてきたんじゃないかなと思わせる天才っぷり。好き嫌いの分かれそうな小説だが、SF好きなら一度手に取ってみて損はないと思う。その天才的発想に度肝を抜かれると思う。
3.『ストーナー』
SFと違って、これは純文学的な物語作品。ひとりのしがない大学教授の一生を追った物語なのだが、その不器用でままならない人生に対し孤独に戦い続ける主人公の姿に涙が止まらなくなる。愛とか感動とか悲しさとかそういう涙ではなく、ひとり孤独に戦う主人公に対して「ああ、僕もこうして戦っているんだ…」と、人生の本質に触れられた感覚だ。たくさんの人に読んでほしいが、特に同年代の男性に読んでほしい。
4.『グールド魚類画帳』
- 作者: リチャード・フラナガン,渡辺佐智江
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2005/06/25
- メディア: 単行本
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タスマニアの海水が侵食する独房に囚われた囚人が描いた魚の絵と、その魚にまつわる現実なのか妄想なのかわからない手記。
読書の面白さとは何か?を、深く考えずに味わえる小説。変なこと考えずに読み始めれば、その小説の世界に引きずり込まれてあっという間に終わってしまう。小説の魅力の一つは、別の人生、あり得ないシチュエーションを経験させてくれる点だと思うが、本書はまさにその極み。
5.『タタール人の砂漠』
『ストーナー』を読んだ後、また読みたくなって読み返した一冊。で、僕にとっては生涯ベストのトップ10には必ず食い込む一冊でもある。
僕たちは、「人生は有限だ」ということをよく忘れる。人生という限られた時間を使い切った時、僕たちは必ず死ぬということをよく忘れる。
ダラダラと時の流れに身を任せ、大切な決断や、人生を変えるための行動を先送りにしていると、いつか必ず取り返しがつかなくなる。そういう、手遅れになってしまった後悔を一人の男の人生を通じて学ばせてくれるのが本書だ。
人生を無駄に過ごした男の話を通じて、僕は自分自身の人生をより深く振り返ってみよう、これからの選択をより真剣に捉えようと考えさせられる。そんな小説。
次に、ノンフィクション部門。
1.『男性漂流 男たちは何におびえているか』
理想に踊らされて苦しんでいる男たちのルポ。自分自身の化けの皮がはがれ、現実を突きつけられることにおびえた男たち。仕事、家庭、健康に悩みを抱え始めるであろう、30~40代の男たちを対象にした一冊。他人ごとに思えない悩みと、長期間取材により浮き彫りになる微妙な心理の変化などを感じることができる。読み応えのあるルポばかり。
2.『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』
今の文明が成り立っているのは、遥か昔から人類が築き上げてきた科学と文明の歴史の賜物。
そのノウハウを持った状態で、人類の大半が死滅して電気やガス、ネットワークなどのインフラ、停止してしまった産業などを、いかなる方法でほんのわずか生き残った人類が再建していけばいいかという、ちょっとSFチックな仮想シミュレーションの本。
限られた資源や労力を駆使して、いかに効率よく文明を築き上げるかという方法論が面白い一冊。
3.『虫屋さんの百人一首』
昆虫愛に溢れた、昆虫好きにはたまらない一冊。
昆虫好き100人による、100種類の昆虫の写真、生態データ、そしてエッセイ。昆虫のチョイスと、そのエッセイの内容が素晴らしい。僕の好きなアオスジアゲハ、ルリボシカミキリ、ハンミョウが収録されているだけでもう最高。とりあえず、昆虫好きなら手に取ってみてとしか言えない。
4.『人類を変えた素晴らしき10の材料』
人類を変えた素晴らしき10の材料: その内なる宇宙を探険する
- 作者: マーク・ミーオドヴニク,松井信彦
- 出版社/メーカー: インターシフト
- 発売日: 2015/09/28
- メディア: 単行本
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材料科学への入り口となってくれる本。
普段何気なしに使っているもの、身に着けている服、暮らしている家、それらがなぜこの材料で作られていて、その物質はどのような経緯で用いられるようになり、どのような科学で成り立っているか。地味に見えてとても奥深く、材料科学の面白さを味あわせてくれる。
5.『きょうだいリスク』
きょうだいリスク 無職の弟、非婚の姉の将来は誰がみる? (朝日新書)
- 作者: 平山亮,古川雅子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2016/02/12
- メディア: 新書
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きょうだいというものは不思議な関係だ。親子関係と違い、成人した後は他人並に疎遠になってしまうことも稀ではない。
そんなきょうだい間に格差が生まれ、貧困などで苦しんでいるきょうだいがいた時に、いったいどうやって接すればいいか。さまざまなきょうだい関係に悩む人に対して取材したルポを読むと、明日は我が身かとも感じさせられる。そして、そんな人のための、公的な支援やさまざまな解決策を学ぶこともできる。
本書のような問題を抱える人はこれから確実に増えていくであろうから、その対策としても有用な一冊。
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上半期に読んだ本は35冊くらい。
ベストを選べと言われると、やっぱり『タタール人の砂漠』になりそうだけど、これは再読した本。
なので、それを除いて考えるとフィクションのベストは『ストーナー』で、ノンフィクションのベストは『虫屋さんの百人一首』かな。ジャンルが様々だから一概にベストとか言えないけど。