「学問の自由」とホメオパシー
- beta_reverse
- 6695
- 0
- 28
- 1
占い(1)ぼくは10月20日生まれの「てんびん座」である。学生の時、雑誌「ぴあ」の星占いのコーナーを毎号見ていた。別に何の考えもなく、毎回、「おっ、当たっているじゃないか」などと思っていた。
2010-09-19 07:01:38占い(2)ある時、ふと気付いて、他の星座の項も読んでみた。おとめ座を見ると、やっぱりあたっている。ふたご座も自分にあてはまる。おひつじ座もどんぴしゃりである。それで、やっと、ははあ、そういうことかと気付いた。
2010-09-19 07:02:35占い(3)占いは、一つの芸術である。「あなたは酸素を呼吸しています」などという、明らかに誰にでもあてはまることを書けば、そんなことは当たり前だとバカにされる。一見、自分宛だけに書かれたように見えて、実は誰にでもあてはまる文章を書くという絶妙なバランス。そこに「占い」の領域がある。
2010-09-19 07:03:44占い(4)「ぴあ」の占いのコーナーを喜んで読んでいた頃、ぼくはもちろん「因果性」を理解していたし、経験科学の原理もわかっていた。それでも「占い」を読んでよろこんでいるぼくがいたということは、人間が、いかに自分の中の整合性をつけない、いい加減な存在であるかということを示す。
2010-09-19 07:04:52占い(5)同時に、経験からして、「占い」は、それがあるメカニズムに基づいているかどうか、「当たる」か「当たらないか」ということが本質ではないのだと思う。それは、いわば、脳の認識の回路に働きかける、「プラシーボ」のようなものなのだろう。
2010-09-19 07:06:19占い(6)これは薬だと言って、砂糖のかたまりをあげると効く。この「プラシーボ効果」は、脳活動計測によって、脳の自己治癒能力が引き出されるものとわかっている。むろん、限界もある。しかし、限界の中で、効くのだ。占いの効用も、つまりはそのようなものだろう。
2010-09-19 07:07:42占い(7)プラシーボ効果において重要なのは、文脈である。星座占いは、実はどの星座を読んでも同程度に「当たる」。しかし、自分の星座の項目が、まさに自分宛に書かれたものであると信じることによって、何らかの作用が生の現場にもたらされるのだ。
2010-09-19 07:08:35占い(8)たとえば、「今週は素敵な出会いがあります」と言われて、その気になれば、仕事や遊びで会う人、街で通りすがりの人に対する心の開かれ方が変わってくるかもしれない。もともと何の根拠もないものを、信じることで効果が生まれる。つまり、占いは、「鰯の頭も信心から」である。
2010-09-19 07:10:10占い(9)ぼくは、未来をぴたりと当てる霊能力者がいるとは思わない。しかし、信じている人の方が、「占い」のプラシーボ効果が高いかもしれない。ぼく自身は「占い」を積極的にやろうとは思わないが、「占い」好きな人が、そのことによって生きる上で損をすると断定するつもりもない。
2010-09-19 07:11:58占い(10)もっとも、プラシーボ効果には副作用もある。たとえば、ビタミンを摂取すれば簡単に問題が解決するのに、それを拒否するような場合。占いも、参考程度にすれば良いが、それを墨守するようだと生のフレキシブルな力学を大いに阻害するだろう。
2010-09-19 07:13:07占い(11)現代社会を生きる上で、一つの「世界知」として、「占い」には根拠がないことを理解するのは有益だと思う。一方で、「占い」が根強く人気を保っているのは、進化論的にそれを信じる人に一定の利益がもたらされてきたからだと考えられる。あくまでもバランスの範囲において。
2010-09-19 07:15:24科学的根拠を持たない占いが社会でなぜ支持されて生き残っているか、その理由を進化論的利益に求めて説明したのは面白いと思いました。@kenichiromogi
2010-09-19 07:31:36まったくもって同感です。RT @HayakawaYukio: 科学的根拠を持たない占いが社会でなぜ支持されて生き残っているか、その理由を進化論的利益に求めて説明したのは面白いと思いました。@kenichiromogi
2010-09-19 07:34:33臨床医学は科学でなさそうに感じていたが、そういう見方をすると進化論も科学じゃないな。別に、科学でないといけないといってるわけではない。地質学もかなりの部分が科学じゃないと思ってマス。ここでいう科学は物理学みたいな学術のこと。
2010-09-19 07:39:23@HayakawaYukio 前から思っていたのですが、数学や物理学のような科学の王道の様な学術分野こそ、科学全体の中では特殊なのではないかと。これは暴論でなのしょうか?
2010-09-19 07:44:29@HayakawaYukio 臨床医学はわからないのですが、仮説、検証、反証を経て進むものは科学であると思います
2010-09-19 07:50:45@yaguhiro 学術全体のなかで考えればそうだと思います。大学の学部や学科を列挙して御覧なさい。地質学の問題は、理学部の中に存在することです。これが、文学部のなかにあったらどんなに楽か。西日本の大学の自然地理学は文学部のなかにある。けっこううらやましい。
2010-09-19 07:52:08茂木さんの占い連続ツイート、ホメオパシーをきっかけに書かれたようだが、占いとの比較が直接当てはまる「ニセ科学」は血液型性格判断だ。@kenichiromogi
2010-09-19 07:54:50@HayakawaYukio 臨床医学は科学でなさそう...。そうです。仮説が流布し、それが検証されていなことが問題。仮説だけで一人歩きする。20年前の根拠のない標準治療がいかに多かったことか。ただし、それを是正する努力はされています 仮説は大切かつ、臨床医学にカンも大切。
2010-09-19 08:13:18医者って、他人の領分に表立って口出しすることを禁忌している(ようにみえる)。既得権の配分が完全に終わっているからだろう。日本医師会と日本医学会が、会長談話にただ「全面的に賛成」と書いただけの独自内容がないコメントを出したのも、その表れだとおもっている。
2010-09-19 08:41:14臨床医学は物理学のような科学ではないけれども、科学です。科学の理解があやふやなんだから、ニセ科学の理解もあやふやなんだろうね。 http://htn.to/wKWNgs
2010-09-19 09:55:50「医療事故を刑事事件として裁くな」などと法律の領域に口出ししたことはあったけどな。QT @HayakawaYukio :医者って、他人の領分に表立って口出しすることを禁忌している(ようにみえる)。既得権の配分が完全に終わっているからだろう。
2010-09-19 09:58:41