勝手なストーリーで、勝手に追い詰められる韓国 日本の韓国への忖度は逆効果

再開される「日韓局長級輸出管理政策対話」の日程が、急ピッチに整理されつつあります。

 

「韓日の輸出規制巡る協議が来月本格化 首脳会談にらみ突破口開くか」綜合ニュース( 2019.11.29)

韓国産業通商資源部は29日、輸出規制に関する韓日局長級の輸出管理政策対話の開催に向け前日に課長級の準備会合を開いたとしながら、12月4日に局長級の準備会合、同月第3週中(16~20日)に東京で局長級対話を開催することで合意したと発表した。

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20191129001900882

12/4に準備会合、第3週に局長級対話、最終週に日韓首脳会談という流れになりそうです。

 

■自分に都合のいい報道が続く韓国

韓国側の報道は、相変わらずGSOMIA「日韓軍事情報包括保護協定)の「条件付き終了延期」によるものという報道がされており、「GSOMIAが政治的交渉カードになる」という幻想を捨ててません。引用した総合ニュースの記事の中にも、こんな記述があります。

この当局間協議は韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の条件付き終了延期を決めたことに伴うものだが、合意発表の際には日本側の「歪曲(わいきょく)」があった。

梶山弘志経済産業相が11/22の段階で、「GSOMIAは関係ない」と明言しているにも関わらずです。総合ニュースは通信会社なので、この配信記事を元に韓国各紙が一斉に報道します。おかげで韓国国民はずーっと間違い続けるというわけです。

日本側の立場は最初から明確で、局長級対話の開催は「WTO提訴の手続きを中断した」ためとしています。

「日韓、局長級対話再開へ=輸出管理厳格化は継続」(2019.11.22)

政府は22日、輸出管理に関する韓国との局長級対話を再開すると発表した。実現すれば2016年夏以来となる。韓国が日本による半導体材料の輸出管理厳格化に関する世界貿易機関(WTO)提訴の手続きを中断し、問題改善への意欲を示したと判断した。ただ、輸出管理の厳格化措置は当面継続する方針。梶山弘志経済産業相は同日、省内で記者団に対し「(これまで通り)適正な輸出管理をしていく」と述べた。

https://trafficnews.jp/post/91593

なぜ局長級対話が再開することになったのかといいますと、元々韓国とは2年に一度行われることになっていたのですが、これを韓国側が拒否。さらに輸出に不適切な事例がみつかったとされ、韓国をグループA(ホワイト国)から降格させました。韓国側はこれを「不当措置である」として、WTOに提訴していたわけです。

しかしこの度、韓国はWTO提訴を中断し、局長級対話に応じることを宣言しました。一応「不当措置である」という主張を引っ込め、局長級対話を受けるという、日本の要求に応じた形になります。つまりGSOMIAは関係ありません。

これに対して韓国は、GSOMIA延長とタイミングを同じにすることで、意図的に混同させ、韓国世論の非難を回避しようとしたわけです。いや一般市民はともかく、マスコミも揃いも揃って、「WTO手続き中断の意味は何か」と考えないのは、何故なんでしょうね? 不思議だと思わないんでしょうか。

 

■自分に都合のいい言葉が続く韓国政府

「輸出規制撤回以外にGSOMIA延長は無い」と叫んできた韓国政府。それが崩れ猛批判が続いています。たかが局長級対話をやるだけのためにGSOMIAを延長したと言うわけでにはいきませんから、「局長級対話=輸出規制撤廃」と関連付けています。

しかし日本の対応はそうなってません。

 

「韓経:日本「韓国、ホワイト国復帰に数年かかる」…青瓦台「長くは待てない」警告」

日本政府はホワイト国復帰の条件として▼2国間政策対話が開かれていないなど信頼関係が損なわれている▼通常兵器に関する輸出管理の不備▼輸出審査体制、人員の脆弱性--の3点の改善を主張する予定だという。これら条件は日本が持続的に要求してきたものだが、韓国政府は認めなかった内容だ。経済産業省の保坂伸貿易経済協力局長はこの日、自民党の会合で「3つがクリアされない限り、ホワイト国に戻すことはない」と述べたという。

産業通商資源部の関係者は「日本の一部の当局者の発言に関する報道を深刻に受け入れる必要はない」とし「対話をすることにしたので、日本の輸出規制の根拠を確かめ、お互い合意点を見いだす過程が重要だ」と述べた。

https://japanese.joins.com/JArticle/259972

韓国政府側は「日本の一部の当局者」などと言って問題の矮小化を狙ってますが、「政府の姿勢を、経産省の局長が自民党の会合で説明した」という報道なわけですし、発言した保坂伸貿易経済協力局長は、まさに担当者であります。韓国政府の対応は、目と耳を塞いで、「あーあー聞こえないー」とやってる子供みたいです。

とはいえ、さすがにこのまま局長対話に突入したら、何も解決しないと悟ったんでしょう。韓国政府は輸出管理部門の組織拡充に手を付けました。

 

「韓国、輸出管理を強化」日経新聞(2019/11/30)

韓国政府は輸出管理体制を強化する。安全保障にかかわる戦略物資の輸出について、審査を担当する専門部署の職員数を2020年1月1日付で5割増やし45人体制にする。

政策対話の再開と管理体制の拡充で2点は対応が進むが、軍事転用可能な部品や素材を韓国が輸出する際の審査体制である「キャッチオール規制」では見解の相違が残る。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52785000Z21C19A1MM8000/

 45人でもまだ少ないと思いますが、取り組みが始まったことは間違いありません。ただ肝心のキャッチオール規制について、まだ渋っているようです。今までは違反した企業名すら公表していませんからね。もっとも、もし公表が始まったら、日本どころか世界中から行政処分を食らいかねないので、大変な話になるのですが。

 

■日本はやるべきことを淡々とやればいいだけ

現在のところ、日本政府は一貫した態度で、この問題に取り組んでおり、結果的に韓国側がひたすら現実に裏切られる状況が続いています。日本はこのまま姿勢を変えなければいいだけなのですが、自民党内には韓国への配慮を求める声が出始めているようです。

「自民党「旭日旗決議」推進…一部では「韓国のGSOMIAの傷に配慮を」」

自民党内では「日本はGSOMIAで外交的に勝利した。あえて傷口に塩を塗る必要はない」という意見もあり、

https://japanese.joins.com/JArticle/260078/

GSOMIAで勝利したのはアメリカで、日本は勝利も敗北もしてません。頑張ったのもアメリカじゃないですか。

そもそも募集工(徴用工)問題や従軍慰安婦問題、レーダー照射問題などなど、まだ何も解決したものはないんですよ。それどころか募集工(徴用工)問題の現金化措置は今月か来月にも開始されるかもしれないわけで、今まさにこっちに斬り掛かって来ている相手です。そういう変な忖度をしてきたからこそ、今の状況があるのではないでしょうか。

どうも自民党内には、「今のこの状況を導いたのは自分たちだ」という自覚の無い人が残っているようです。政治家が危機感を持たないと、外務省を始めとする役所も動いてくれませんよ。やっと過去の清算ができる環境が整いつつあるのです。足を引っ張らないよう、気を引き締めていって欲しいですね。

 

 

 

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