「7月の選挙が終われば元通り」 まだ『日本の本気』が認識できない韓国

G20での日韓首脳会談は、スキップすることが確定しました。会談がなくなったことを韓国大統領府が認めた後でも、韓国側からは首脳会談を熱望する声が聞こえてきます。

 

「「安倍首相、文大統領除く首脳19人と会談」…きょうマクロン仏大統領からスタート」
今回のG20首脳会議に参加する各国と欧州連合(EU)などの地域、国際機関の数をすべて合わせると37カ国・機関に達するが、議長国首脳の安倍首相はその半数分以上と個別に首脳会談をするということだ。 
https://japanese.joins.com/article/861/254861.html

G20で19か国と会うってことは、韓国以外の全部の国と会うってことかな? と思ったんですが、実際は37の国と機関なので、韓国とだけ合わないわけでは無さそうです。でもミスリードしそうな数ですよね。なんか意図があったんでしょうか。
さて、韓国と会わないとはっきりしてから、様々な韓国側の反応が出てきてますので見てみましょう。
 
■文大統領は自画自賛 外交関係者はびっくり

まず文大統領のコメントが出てきました。

「「現実的解決策」と自賛=日韓企業拠出案で文大統領-元徴用工問題」
韓国の文在寅大統領は、日韓企業の拠出金で元徴用工らに慰謝料相当額を支払うとする韓国政府案について「現実的な解決策を用意し、日本政府に伝達した」と自賛した。大統領府が26日、聯合ニュースなどとの書面インタビューの内容を公表した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019062600863&g=int

 当ブログでも指摘しているとおり、最初から最後まで理解するのが不可能な政府案でしたが、文大統領は本当に本気だったってことなんですかね? 文大統領、結構天然が入ってる?

まぁ、文大統領が能天気だとしても、外交関係者が事態を把握していれば、今後事態が好転する可能性がありました。さあ、その反応は。

「G20大阪:韓国大統領府「提示した解決策を日本が拒絶」」
最近まで韓日首脳会談は日本がG20大阪サミットの主催国であるため、自然に実現するとみられていた。米国も北朝鮮の核問題と中国けん制のための韓米日による安全保障協力の修復に向け、韓日関係の修復を公に要求してきた。

しかし、韓日政府の綱引きが続き、略式会談すら開かれないという最悪の状況を迎えた。外交関係者は、G20サミットの開催国との首脳会談が実現しなかったこと自体が衝撃的だとの受け止めだ。
https://news.livedoor.com/article/detail/16678537/

 答えは「ほっといても開催されると思ってたのに、ビックリ!」でした。おいこら。

でも、この反応には、ちゃんと理由があるのです。なぜなら今まで、常に日本が韓国とアメリカの意向を汲んで譲歩してきたのですね。だから今回も、「最後は日本が妥協するだろう」と考えてただけなのです。これは民主党政権より前、自民党政権の時からずーっとです。

 

さて、「韓日経済協会」といった経済協力を行ってきた団体のやシンクタンクの人間はどう見ているのでしょう。

「<危機の韓日関係、連続診断5>韓日企業のウィン・ウィン協力、今年突然途絶えた」

鄭在貞(チョン・ジェジョン)ソウル市立大名誉教授=中学・高校の近現代史の教科書を見ると、1945年以前の70年間の歴史の記述が150ページにのぼる。すべてのページに日本が登場する。内容で肯定的なものは一つもないが、それは当然のことだ。一方、1945年以降の70年間の現代史の記述には日本関連の内容が3ページ程度にすぎない。それも独島(ドクト、日本名・竹島)、慰安婦、教科書問題であり、韓日関係の肯定的な内容は一行もない。これが我々の学校教育の実態だ。1965年の国交正常化以降、韓日関係は全体的に見てウィン・ウィン(win-win)関係にある。韓国は日本を学習しながら経済成長し、今は互いに対等な協力関係に発展した。ところが教科書の記述はそうでない。 
https://japanese.joins.com/article/838/254838.html

 つまり日韓併合をちゃんと教えていないし、日韓基本条約がどんな条約で、どんな効果があったかも、若い韓国人は知らないということです。おかげで、今日本との関係改善に動こうとすると、「親日派」のレッテルを貼られて身動きが取れないとか。

日本の教科書にイチャモンを付けておきながら、自分の国の教科書のせいで身動きが取れなくなっているわけです。韓国の自業自得でありますね。

この記事には他にも冷静な分析があります。

韓国国内の一部では、極右性向の安倍内閣が票を集めるために嫌韓感情を流布していると理解する。しかし世論調査で韓国を好まない比率は安倍首相の支持率の倍を超えている。安倍政権が交代してもこうした状況に大きな変化はないという意味であり、経済協力の第一線にいる企業関係者の懸念が深刻だ。

 こういう分析がある一方で、相変わらず7月の参院選のためのパフォーマンスとしか見ていない分析もあります。

「元駐日大使「韓日関係が悪い時こそ指導者は会うべき」」

「日本では参議院選挙までそれほど残っていないため、政府が強く出ている側面もあると考える。選挙が終わってこそ韓国問題を扱うにあたって負担がない。

https://japanese.joins.com/article/839/254839.html

 元駐日大使ですら、こんなこと言ってますからね。選挙が終わっても日本側が妥協しなかったら、彼らはまた一歩、「日本の本気」知ることになるでしょう。

 

■ついにかつての「ツートラック外交」が言及される

過去に、日本と韓国がともに「ツートラック外交」を行っていた時期があります。

「歴史問題は棚上げにして、経済交流を進めよう」という考え方です。10年ぐらい前、朴大統領が執権するまでの日韓外交専門家の間では、「ツートラック外交」と言えば、この外交手段を指しました。

そしてようやく、忘れ去られていたこの外交手段が韓国側で復活してきたのです。

「【コラム】解決法のない韓日葛藤の解決法(2)」

韓日関係がオールストップする場合、損害が大きいのは我々のほうだ。両国の不幸な歴史から始まった強制徴用と慰安婦問題は、事実、解決法がない。ない解決策をあえて探そうと無駄な力を使って戦うのではなく、現状態から強制徴用と慰安婦問題の凍結および無期限猶予を両国が宣言すればどうだろうか。風呂敷に包んで棚に上げておこうという話だ。この問題がまるで存在しないように、互いに取り上げないで正常な隣国としてつきあってみるのだ。そのような状態で棚に白く埃が積もる程の歳月が流れたとき、問題はすでに消えてなくなっているかもしれない。

https://japanese.joins.com/article/790/254790.html

 最後の部分の「問題がなくなっているかも」なんて言うのは、ありえませんけどね。もうさすがに日本側も、この聞こえのいいフレーズに引っかからないでしょう。

あ、でも引っかかった人がいましたね。

「日韓会談でレーダー照射「棚上げ」 それでも「信頼回復」道半ばな理由」

岩屋氏は会談後に記者団に明かしたところによると、日本側は自衛隊機の飛行が適切だったことを説明し、再発防止を求めた。これに対して、韓国側は「従来の主張」を展開したという。

「私どもの見解に変わりはないが、未来志向の日韓防衛当局間の関係を作っていくために、一歩前に踏み出したいと思っている」

と答え、事実上棚上げする考えだ。

https://news.livedoor.com/article/detail/16561644/

 この「争いある論点は棚上げにして、交流を進めよう」というのは、正にかつての「ツートラック外交」の考え方です。10年前だったら大して問題にもならなかったでしょう。

岩屋大臣がこんな昔ながらの「ツートラック外交」を言い出したのは、古びた考え方に固執しているのかもしれないし、誰かから吹き込まれたのかもしれません。でもこの外交手段は、韓国側が蹴り倒したのです。水の入った御盆をひっくり返したのです。もう元には戻らないのです。

思えば、募集工(徴用工)裁判判決は、戻れないルビコン川を渡った瞬間でした。「もう日韓関係の破綻は、再構成されるまで止まらない」と、政治家だけでなく、日本人全体が覚悟を持つ時が来たのです。

 

今まで見てきたように、まだ韓国側は『日本の本気』を認識していません。岩屋大臣のように間違ったサインを与える人が、日本の大臣レベルでまだいるのですから、仕方のないことです。

振り返ってみると、韓国が日本に強硬に出てくるようになったのは、経済面で「日本と対等になった」と韓国側が感じてからでした。だいたいソニーよりサムスンの方が時価総額が上になった頃からです。だから韓国の姿勢を改めさせる取っ掛かりは、韓国を経済的に追い込むことでしょうね。そのためには、日本側も傷を負う覚悟が必要です。

韓国の康外相は、「日本が報復措置を取るなら、われわれも黙っているわけにはいかない」と発言しましたが、はっきり言って、日本がそんなことをするとは全く信じていないでしょう。理由は簡単。日本がそんなことをやったことが無いからです。

日韓の健全な関係のために、やるべき時が来たのですね。