韓国衝撃 「中国傾斜論」をふれ回っていた本当の犯人

10月16日まで行われる米韓首脳会談。北朝鮮の核開発問題について、米韓両首脳は「最大限の緊急性と決意」で外交的解決に向けた取り組みを行う共同宣言を出しました。

「米韓首脳会談:北朝鮮非核化へ協力 共同声明を発表」
http://mainichi.jp/select/news/20151017k0000e030248000c.html

まぁ、北朝鮮の核問題に対する共同歩調の宣言なんて、今回の首脳会談の主目的としてはある意味面白みの無い結果です。こんなことは最低限の共有認識で、実際にはもっともっと韓国にはアメリカに要求することが、多々ありました。
 
■米韓首脳会談成績表
1 韓国産戦闘機「KF−X」開発計画の主要技術の移転の合意
2 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への韓国参加の了解
3 従軍慰安婦問題でのアメリカの韓国支持取り付け
4 「中国傾斜論」払拭
ざっとこれだけあった課題。さあどうなったのか。
 
1の戦闘機KF-Xの技術移転は、首脳会談前の国防長官との会談で門前払い。韓国側は欧州のメーカーと交渉を開始するそうですが、技術移転なんて欧州側も了解するかどうか。
2のTPP参加については、首脳会談の議題にもならず、「TPPと関連する韓国の関心に米国側が歓迎の意を表明した」という形でお茶を濁されました。韓国マスコミがどう報道するかはわかりませんが、「韓国の参加を歓迎する」ではありませんからね。「韓国の関心を歓迎する」ですからね。「関心を持ってくれて嬉しいなぁ」ということです。はっきり言って、韓国はアメリカにかなりバカにされてるんじゃないでしょうか?
3の従軍慰安婦問題。「全ての国が協力する未来志向の北東アジアの誕生に期待」というのは、韓国の求める日本への解決圧力には到底足らない言葉でしょう。
また、最近でこそ韓国側も「未来志向」と言及してますが、そもそもは過去の謝罪にこだわることを批判した言葉であります。つまり、アメリカは「未来の利益を見据えるべきだ」と韓国側に注意を促していると言えそうです。
さて、4の「中国傾斜論」の払拭。これはできたのでしょうか?
 
■アメリカは韓国の対中外交をどう見たか
日本人からは、どう考えても中国に傾斜して見える韓国。韓国側はそれが不本意で仕方が無いようです。

「【記者手帳】韓米離間を図る痛ましい日本人記者たち」
国務省の記者会見で日本人記者たちは機会さえあれば韓米関係を疎遠にさせるような意図がうかがえる質問を次々と繰り出している。ワシントンD.C.の各所で開催されるセミナーでも同様のことが相次いでいる。
米国家安全保障会議(NSC)のダニエル・クリテンブリンク・アジア上級部長は、日本人記者たちの執拗(しつよう)な質問に「韓中関係と韓米関係はゼロサム(zero-sum)ではない」と答えた。韓中間の関係発展が韓米の同盟関係を弱体化させることはないという意味だ。質問が相次ぐと、同上級部長は「同じ答えを繰り返すことになるが…」とまで言った。日本人記者たちが痛ましく思えた。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/16/2015101600662.html

単に記者会見で質問しているだけなのですが、「日本人が火の無いところに引火させようとしている」と捉える韓国側。
しかし、今回の米韓首脳会談で、韓国側はその疑惑を払拭することが、まず求められたのは間違いないところです。

会見で朴氏はオバマ氏が「韓米関係と韓中関係は両立可能と述べた」とし、対中政策では支持を得られたとの認識を示した。
ただ、オバマ氏は南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の領有権問題などでの中国の強硬姿勢を念頭に「中国が国際規範を守らなかった場合、韓国が声を上げることを期待する」と、朴氏にクギを刺した。
http://mainichi.jp/select/news/20151017k0000e030248000c.html

記事の通り朴大統領は、韓国の対中政策について「アメリカの了解」は得られた、と宣言しました。がその直後に、「中国が国際規範を守らなかった場合、韓国が声を上げることを期待する」と、オバマ大統領に突っ込まれています。環太平洋の友邦の利益が損なわれそうな場合に、中国側に立つことは許さないということでしょう。
とはいえ、韓国の外交方針について、アメリカ側が理解を示したように見えますし、韓国側はほっと胸を撫で下ろしたはずです。
でも、そんな簡単に片付く問題ではありません。
 
■「中国傾斜論」で韓国を追い詰めるのは誰?

「【寄稿】韓米首脳会談で韓日関係改善の意志を示せ」2015/10/17
9月中旬、筆者は米国のシンクタンクと大学のセミナーに出席してきた。韓国に戻ってすでに3週間が過ぎたが、いまだに後味の悪さが残っている。
ある米国の学者は朴大統領の訪中について、米国にとって不穏な(disturbing)ことだと表現した。その根底にあるのは、韓国が中国に傾倒しているのではないかという懸念だった。韓国は明確なアジェンダ(課題)を持って北京を訪れたのであり、米国との同盟を離脱する考えはみじんもないと説明したにもかかわらず、米国側の出席者はあまり納得していない表情だった。
筆者は、韓国の中国傾倒論を広めているのは日本人だと思っていたが、米国の参加者の一人が「今後、韓国は中国と連携するだろう」という話を中国の学者がしていた、とそっと教えてくれた。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/17/2015101700392.html

そもそも、なぜ「日本が韓国の中国傾斜をでっち上げなければならないのか」という疑問を、韓国側が持たないのでしょうか。そんなことをしても、日本の得になることはほとんど無いことに気付かないというのが、実に不思議であります。むしろ本当に韓国が中国側に行ってしまったら、日本が中国の覇権主義の矢面に立たされるわけで、想像を絶する外交リスクを背負うことになります。従軍慰安婦問題でアメリカが日本側に立ってくれるかもしれないなぁ、なんて程度の利益じゃ到底釣り合いません。
しかし、中国には動機があります。韓国が中国傾斜を強めてると世界が認識し、韓国が孤立すればするほど、中国にとって利益が出ます。韓国の頼るのが中国しかなくなるからです。
この記事を執筆したソウル大のパク教授は、ようやくそれを気付いたようです。
「遅過ぎるよ!」と日本人なら思いますが、中国の怖さを知っているようで、なぜか韓国は中国を信じてます。不思議なお話です。あれだけ日本のことを疑うのに、なぜ中国のことは疑わないのでしょうか。
 
危機感を募らせる日本人記者の質問を「痛ましい」と眺めてる一方で、中国の工作には全く気付かない韓国。このまま中国にオールインしてしまうのか、これから数年の動きが極めて重要になりそうです。