ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

TOCfEのクラウド(対立解消図)を実践的なプロセスで使ってみる - 車を買い替えるなら?

tocfebc.doorkeeper.jp


 先週日曜に以前運営に参加していたTOCfE Bootcampのイベントがありました。たまたま近くにいたのでフラッと寄ったんですが、久々に真剣にTOCfEに取り組んでいる人たちの様子をとても興味深く見させてもらいました。


 で、参加者からの質問を聞いていると、以前から知ってる人間からするとやっぱりというか案の定というか、この日のテーマの「クラウド」……「対立解消図」とも呼びますし、オレ個人は「クラウド」と命名された経緯があまりに意味不明なので「対立解消図」の呼称の方をよく使いますが……の使い勝手がイマイチ分からない様子が伝わってきまして。

  • 二項対立なら使えるけど実際には三項対立もあるのでは?そんな時どうやって使うの?
  • 目標がフワッとし過ぎててイメージできない
  • 対立する2つの行動に対して同じ目標が出てこなかったらどうするの?
  • etc...

 その解決の手助けになるかどうかは分からないですが、現時点でオレがどんなふうに「クラウド(対立解消図)」を使っているか、そのプロセスをほぼノンカットで書いてみようかなと思います。



 TOCfEの「クラウド(対立解消図)」というツールは上の図のようなシンプルなものです。
 ここまで「TOCfE」もその源流である「TOC」についても一切説明してきていませんが、以前オレが自身で書いた記事があったのでそちらを参照してください。
 (今見ると「何恥ずかしいこと書いてんだオレは!?」って赤面しますね //// )


takigawa401.hatenablog.com


 さて本題。
 オレが最近悩んでいたのは「車の買い替え」についてでした。その悩んでいたプロセスを「クラウド(対立解消図)」を使ってざっくり紹介します。


 「車を乗り換える」か「乗り続けるか」で悩んでいた、というところからスタートします。
 時系列でいうと、「車を買うか買わないか」みたいな判断もありましたし、もっと言うなら「故郷に帰るか帰らないか」みたいな判断もさらに前にあったわけですが、ここで決定事項を掘り返すのは時間の無駄なのでやめておきます。

 割と近年、生まれ故郷の信州伊那谷に戻ってきたんですが、そのタイミングで中古で車を購入しました。田舎なので車が無いと生きていけない……とまでは言わないがそれなりに不便なので、車を買うのは決めていたんですが、20年以上ペーパードライバーだったのでどうせ散々ぶつけるだろうとクッソ安い中古の車を探したところ、母が懇意にしていたディーラーさんから2003年のスズキパレットが35万円で出てきまして、即決で購入した次第です。ボコボコに乗り潰して1年くらいで新しい車に乗り換えようと思ってたんですが、思ったよりちゃんと走ってくれるし乗っていて楽しくはあるし、何より自由に移動できる足があるのは便利ってなことでなんのかんのと4年も乗っていました。まだ元気に走ってくれていますが、さすがにそろそろ年式的に不安にもなりますし、そこそこぶつけて(だいたい立体駐車場や都会の小さいコインパーキングでやらかす)ところどころ痛んでるし、まぁそろそろ限界かな、と。今年の一月で車検も切れるので、このタイミングで廃車にして新しく車を購入しようと決意したわけです。


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 で、それぞれについて考えるわけですが、新しく乗りたい車があるわけじゃないけど、そもそも今の車に漠然とした不安を持っていてそれが解消できないので、安全に車に乗り続けることができるようにするには新しい車に替えた方が良さそうだ、という判断をオレはしました。
 もしオレが車にもうちょっと詳しかったり車の運転・所有経験がもっとあったら別の決断になったかもしれませんね。

 車を買い替えることは決めました。では次に「買うならどういう車にするか」を決める必要があります。
 色んな基準があると思いますが、車に詳しくないオレに判断材料は少ないので、まずは「今と同じような車にするか」「別の車にするか」で考えることにしました。


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 まず「今と同じような車にするか」について考えるわけですが、そもそも今の車自体に不満があるわけではなく、古くなってしまったことによる漠然とした不安が原因で買い換えを決意したので、同じ車でもまいっかな、とは思う訳です。とはいえ、全く不満がないわけでもない。でもそれが別のタイプの車に変更する決め手にもならない。なんともまぁハッキリしないわけです。 


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 続いて、他のタイプの車を検討してみます。
 沢山荷物を載せられる車はどうだ、とか、沢山人を載せられる車はどうだ、とか、いっそ走ることだけを目的とした車にしてみるか、とか無難オブ無難にしてみるか、とかとか。
 でも想像していくと、ピンポイントで役立つシーンは思いつくんですけど、自分の今の生活の中で乗り続ける時にマッチしなかったり不便だったりとイマイチ自分の中でしっくりこない。

 そのうち「車のタイプを決めたら次は新車にするか中古車にするかで悩む羽目になるだろ」とか余計な先回りの悩み(対立)も出てくるわけです。
 冷静に考えればこれは車のタイプを今の車から変えようが変えまいが必ず発生する悩み(対立)なんですが、この時点ではオレは気づいていない訳です。
 で、車のタイプ選びが暗礁に乗り上げてしまう、と。

 車のタイプが決められないのはある意味では当たり前で、どれも最初のモチベーションである「車が古くなったから買い替えなきゃ」から乖離しているわけです。極端言えば乗れればいいけど、より良い体験がしたくてでもその選択肢がいっぱいあって困ってる。

 で、ここで突然目先を変えるんですねオレは。「そういやお袋が『アンタが新しい車買うなら私に新車を買ってくれ。そしたら私の今の車をあげるから』みたいなことを以前言ってたな」と思い出すわけです。この時のオレは「長らく地元を離れていたし、別にそんな交換条件なくても車くらい買ってあげるべきだろうな」くらいのことを考えてたように記憶しているんですが、いざ自分の車を買い替えるというタイミングで思い出すと「それも悪くないか」と思いました。

 で、ここまでの検討事項は一旦捨てて、「自分の車を買い替えるか」「母の車を買い替えて古い車を譲ってもらうか」で対立構造を作り直して再検討します。


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 まずは「母の車を買い替えて古い車を譲ってもらうか」から検討していくんですが、まぁとりあえず問題なさそうだし、なにより親孝行という大義名分ができるので行動しやすい。


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 つづいて「自分の車を買い替えるか」を検討するんですが、ここまでで散々検討してきているのでもうウンザリしてるんですよね。またおんなじプロセスを踏むことになるし、自分の中で車に対する意欲というか動機が少なく要望が小さいので、誰かに半強制的にでも決めてもらいたい気持ちになっちゃってるわけです。

 「え、でも、お母さんの車を選ぶのでも新車か中古車かで悩まなくちゃいけないのは同じでしょ?」と思うかもですが、実はここには裏事情がありまして。母には車を買う時の条件が明確に決まっているんですね。

  • ミニもしくはハイルーフミニ
  • ターボもしくはスーパーチャージャーが付いていること
  • 色が青系統
  • 新車であること

 これが母が車の所有・運転を始めてから数十年、一貫して決まっているので一切悩まなくていいわけです。メーカーと車の種類に希望は無いので、廃車予定のオレの車の車検までに納品できるもので、上記条件をクリアできればOK。


 というわけで、最終的に「母の車を買い替えて古い車を譲ってもらうか」に決まりました。自分で決めきれなくて他人に運命を委ねた感は若干否めなく、多少情けなくもありますが、この際方針が決まればOK!
 今現在、懇意にしているディーラーさんに車を探してもらっていて、ほぼ年内に納車ができそうというところまで話を進めることが出来ました。めでたしめでたし!



 ……と、車を買い替えてめでたし!ではこの記事としては終わることができませんね。元々「クラウド(対立解消図)」をどう使うかを紹介するのがこの記事の目的でした。

 ご覧いただいたら分かったかもしれませんが、割と仮説がガンガン上重ねされますし、そもそも対立するものが変わります。行動の元となる要望が曖昧で書き直すこともありますし(今回のケースではなかったけど)、目的も対立構造を成立させるのにイマイチだと書き直します。ドンドン書き重ねて行って最終的に悩みを解決できればOKです。

 で、オレは今回の車の買い替えを検討したとき、わざわざこの「クラウド(対立解消図)」を紙に書き出していません。全部頭の中だけでやっています。頭の中だけでやってるから、お作法的に読み上げチェックとかもあるんですが、そういうのは全部省略しています。(なので、初心者向けに教える内容として伝えると有識者に怒られる)
 TOCfEのツールは思考の非常にベーシックな部分を担うので、ロジカルシンキングツールとしては適用できるシチュエーションが非常に多いんですが、一方でデタラメにコスパが悪いんですよね。書き出して共有してまた書き直して、をやってるととても労力がかかる。他者と協議したり、書き出さないと把握しきれないほど複雑な問題の場合には仕方ないにしても、そうでなければ基本的に自分の頭の中だけで完結できるのが理想かなと思っています。慣れるまではお作法に則ってちゃんと書いて読み上げた方が良いですが、慣れたら読み上げなくてもいいし書かなくてもいい。イチイチ書いてたら日常使いできないですもんね。

 一方で、頭の中だけでこれらのツールを使えるようになるにはそれなりに訓練が要ります。オレも数年間しっかりやりました。ある程度納得感を以てこれらのツールを使えるようになったら、別のロジカルシンキングツールと併用してもいいと思いますし、型にハマらないで自由に使うべきだとオレは思います。


 あくまで今回はTOCfEの「クラウド(対立解消図)」の使い方の一例として紹介してみました。もっと別の使い方もあるでしょうし、同じ問題でも人やタイミングが変わると結論も変わります。そもそもお作法に完全に則った手順ではなく省略・省力化して使っていますが、フットワークよくテンポよくどんどん考えていくツールとして使っていくのがいいのかな、とオレは思っています。