令和の社会・ニュース通信所

社会の出来事やニュースなどをブログに書いて発信していきます。あと、海外のニュースなども書いていきます。

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    カテゴリ:国内 > 皇室


    日本の皇族の減少は、今後の皇位継承問題に深刻な影響を及ぼす事態です。次世代の男子が1人しか存在しないという現状は、皇室の伝統や文化を危うくしています。少子化が進む中で、どのようにして皇族を維持し、未来へとつなげていくのか、早急な議論が求められています。

    皇位継承問題をめぐる官邸と宮内庁の動きは、これまでどのようなものだったのか。『皇室典範 明治の起草の攻防から現代の皇位継承問題まで』(中公新書)を上梓した政治学者の笠原英彦さんは「紀子妃懐妊を経て皇室典範の改正は見送られてきた。親王の誕生によって、多くの国民が皇位継承問題は解決済みと理解したら、それはあまりにも危険」という――。

    ■皇室典範改正が棚上げされた背景

    1990年代後半から宮内庁が取り組んできた皇位継承問題は2005(平成17)年、小泉政権により解決の兆しがみえた。しかし翌06年2月、秋篠宮家の紀子妃懐妊の報に接した小泉首相は、すでに準備されていた皇室典範改正法案の通常国会提出を見送った。

    筆者は当時、こうした政治の動きについて見解を問われてこう答えた。今回もしも男子が誕生し、男子による皇位継承が可能になったとして、それで問題はすべて解決されるのだろうか。仮に女子が誕生したら、そのことを確認してから再び改正に向けた準備を開始するのだろうか。やはり皇室典範の改正を、そうした短期的、表面的な位置づけで論じるべきではない――。

    同年9月に悠仁親王が誕生し、党内保守派を基盤とする第1次安倍内閣が成立したことから、議論は棚上げされた。しかし次世代に皇族男子が1人誕生したといっても、皇位継承資格を男系男子に限定する限り、安定的な皇位継承を確保することは困難であろう(拙稿「紀子さまご懐妊で、大局を見失うな」『中央公論』2006年4月号)。現在なおも、次世代には依然として、成年を迎えた悠仁親王1人の状況に何ら変わりはない。

    せっかくの親王の誕生が、かえって皇位継承の危機を覆い隠しかねない。親王の誕生によって、多くの国民が皇位継承問題は解決済みと理解したら、それはあまりにも危険であろう。象徴天皇制の下で、国民の理解や支持を得ることは大きな比重を占める。皇室制度の改革にも、国民世論の動向が重要な影響をもつようになった。

    ■「女性宮家の創設」をめざした野田政権

    その後、制度改革が進まず、3人の皇族女子が婚姻に伴い皇籍を離脱して、未婚の皇族女子は5人にまで減少した(2024年12月現在)。これまでのところ、皇族の減少に歯止めがかかっていない。このまま対策が講じられることなく手を拱いていれば、さらに皇族女子が減少する事態は避けられない。悠仁親王を支える皇族は払底し、皇位継承や皇室の活動に支障をきたしかねない。

    そこで事態を打開しようと立ち上がったのが、民主党政権3番手の野田佳彦内閣にほかならなかった。2011(平成23)年9月に発足した同内閣は、宮内庁から皇族の減少など皇室の抱える諸課題に関する説明を受け、これを重く受け止めた。野田首相は同問題への着手を決断し、早速官邸の事務方に「女性宮家の創設」を検討するよう指示した。

    しかし、これに対して自民党保守派や保守系の団体は、女性宮家の創設は女系天皇の誕生につながるとして警戒し、これを牽制する運動を展開した。

    野田内閣は内閣の体力を考慮して有識者会議の設置を見送り、有識者ヒアリングを開催して論点整理とパブリックコメントを実施した(拙著『新・皇室論』)。このときは実を結ばなかったが、同氏の熱意は冷めず、今日に至っている。

    ■「女性・女系天皇」に否定的だった安倍政権

    2012(平成24)年末、再び総選挙の結果、第2次安倍内閣が発足すると、またしても皇位継承問題は先送りされた。

    安倍首相は経済再生や安保法制を優先し、少子化対策などその他の中長期課題への着手を先送りした。安倍首相はそもそも自民党保守派を基盤としていたため、女性天皇女系天皇に否定的であったことはよく知られていよう。

    すでに述べたように、安倍政権がしだいに長期安定化の兆しをみせはじめていた2016年7月、明仁天皇により突然、「生前退位」の意向が示された。これが翌8月にビデオメッセージとして国民に伝えられたのである。

    ただ東日本大震災のときのビデオメッセージとは異なり、それは大きな政治性を帯び、天皇の「おことば」が違憲とみなされる危険すらあった。この「平成の玉音放送」とも呼ばれる「おことば」については、すでにその全体像を示したが、いま少しその背景や意義にふれておきたい(拙著『皇室がなくなる日』)。

    ■天皇が宮内庁に問題提起した「生前退位」

    そもそも天皇が内々に「生前退位」の意向を示したのは、いつのことだったのであろうか。筆者は各種の報道から、それは意外に早く2009(平成21)年頃ではなかったかと推測し、政府関係者に尋ねたところ、「まだそこまでは」とはっきりしない返事が返ってきた。

    2008(平成20)年の末、天皇は外出先で不調を訴え、直ちに皇居に戻り検査の結果、不整脈と診断された。宮内庁の羽毛田信吾長官は会見で、私見としたうえで天皇の「ご心痛」を指摘、それが「皇統」の問題に起因すると忖度した。長官は、「陛下ご自身のお立場から常にお心を離れることのない将来にわたる皇統の問題をはじめとし、皇室にかかわるもろもろの問題を憂慮のご様子」とした(同年12月12日毎日新聞)。

    その後、「生前退位」の報道やビデオメッセージを機に、天皇周辺の取材が行われ、天皇が初めて「生前退位」(天皇は「譲位」の語を使用)を取り上げたのは、2010(平成22)年7月の参与会議であることがわかった。当時、参与会議のメンバーは、天皇、皇后のほか、羽毛田宮内庁長官、川島裕侍従長、それに3人の宮内庁参与、湯浅利夫前宮内庁長官、栗山尚一元外務事務次官、三谷太一郎東大名誉教授であった(「皇后は退位に反対した」『文藝春秋』2016年10月号)。

    ■典範改正をめぐる宮内庁と官邸の温度差

    席上、天皇が当初「生前退位」の意向を示したとき、皇后以下参与らはこぞってこれに反対し、摂政の設置を進言したとされる。

    おそらく天皇は2008年(平成20)末の体調不良を機に、象徴天皇としての務めが果たせなくなる不安から、こうした発言に及んだにちがいない。しかし関係者は、天皇の高齢化に伴い公務を軽減しても、国民の理解は得られるとして、摂政を勧めた。これに対して、天皇は徹頭徹尾、「摂政ではだめ」として一歩も譲らなかったとされる(前掲記事)。

    退位については、憲法にも皇室典範にも規定がないため、立法措置を講じる必要があった。こうした天皇の意向を踏まえて、宮内庁首脳は大変難しい官邸との交渉を迫られた。当時、密かに風岡典之長官が官邸に杉田和博官房副長官を訪ねる様子が目撃されていた。

    すでに2016(平成28)年以前から、宮内庁と官邸の間でビデオメッセージの製作に向けた協議が進められていたようだ。しかし、その法整備をめぐる調整は思いのほか難航していたようである。そのため、かのNHKによる「生前退位」報道は、宮内庁サイドが痺れを切らしてフライングに至ったのではないかという観測もある。

    官邸事務方幹部から、周囲に天皇の頑固さや宮内庁によるリークを示唆する言動が広まっていたという。官邸は早くから摂政の設置も一つの有力な選択肢と考えていたが、宮内庁はあくまで天皇の意向を受け典範の改正をめざした。やはり双方の温度差は大きく、明仁天皇と宮内庁は明らかに安倍官邸と対立関係にあったとみるべきだろう。

    ■天皇の真意を国民にゆだねた政府

    皇室典範を改正して天皇の「生前退位」を制度化するには、その条件として天皇の意思表示が必要か否かを定めねばならない。

    しかし、天皇の意思表示によって「生前退位」が実現することになれば、それは憲法に抵触しないのであろうか。

    「生前退位」にはこうしたデリケートな側面があり、8月8日のビデオメッセージでも「お気持ちがにじむ」などと婉曲的な表現を工夫することによって、天皇の退位への要望が表明されていた。政府は国民が天皇のビデオメッセージを聞いて、そこから天皇の真意を汲み取り、国民の退位に対する圧倒的支持を受け止める形で法整備を進めようとしたのである。

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    笠原 英彦(かさはら・ひでひこ)
    政治学者、慶應義塾大学名誉教授
    1956年東京都生まれ。1980年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1985年、同大学大学院法学究科博士課程単位取得退学。法学博士。1988~89年、2000~01年、スタンフォード大学(米国)訪問研究員。慶應義塾大学法学部教授を経て、同大学名誉教授。専攻、日本政治史、日本行政史。主な著書に『天皇親政』『歴代天皇総覧 増補版』『明治天皇』(すべて中公新書)、『象徴天皇制と皇位継承』(ちくま新書)、『皇室がなくなる日』(新潮選書)など。

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    三笠宮妃百合子さまの「墓所五十日祭の儀」で墓所へ向かわれる秋篠宮家の長男悠仁さま(=2025年1月3日午後、東京都文京区の豊島岡墓地) - 写真=時事通信フォト


    (出典 news.nicovideo.jp)

    【【社会】皇族の減少に歯止めがかからず次世代男子は1人のみ…皇位継承問題が先送りされ続けてきた背景】の続きを読む


    皇位継承問題は、単なる法律的な視点だけでなく、国民の心情や皇室への敬愛の念とも深く結びついています。皇室研究家の意見をつねに注視しながら、今国会での議論が如何に進展していくのか、その動向に注目したいですね。特に、若い世代がこの問題にどのように関心を持つかも重要です。

    1月24日に始まる通常国会では、皇位継承に関する協議が再開される見通しが出てきている。神道学者で皇室研究家の高森明勅さんは「衆議院議長に額賀福志郎氏が再選されたのは、昨年、頓挫してしまった皇室制度の改正に政府・与党が引き続き取り組む意思を持っていることを示しているのではないか。しかし、そもそも各党協議が挫折したのは、議論の土台となる有識者会議の報告書があまりにもお粗末すぎるためだった」という――。

    ■皇室制度の改正に向けた動きが再始動

    1月24日から通常国会が始まる。今回の国会で注目したい一つは、長年の懸案だった皇室制度の改正をめぐり、何らかの進展がある可能性が浮かび上がっている点だ。

    昨年12月27日に衆院の額賀福志郎議長と玄葉光一郎副議長が会談し、今年の通常国会で各政党・会派の意見集約を図り、「立法府の総意」の取りまとめを目指すことで一致したという(朝日新聞DIGITAL令和6年[2024年]12月29日公開「皇位継承の意見集約、来年通常国会目指す 衆院正副議長が一致」)。このテーマで、重い責任を負う衆院の正副議長の考えが一致した事実は小さくない意味を持つ。

    それに加えて、単に正副議長の合意というだけのレベルを超えた、もっと大きな背景を持つはずだ。

    ■正副議長合意の背景

    そもそも昨年の衆院選後に額賀議長が再選されたのは、いささか異例だった。近年では、大島理森元議長が上皇陛下のご退位を可能にする皇室典範特例法制定に向けて立法府の総意の取りまとめを進めるために、選挙後に再選された前例がある。

    それを考えると、額賀氏の議長再選は昨年、頓挫してしまった皇室制度の改正に政府・与党が引き続き取り組む意思を持っていることを示しているのではないか。

    一方、玄葉氏はかつて野田佳彦内閣当時、全期間を通じて閣僚であり続けた政治家だ。その玄葉氏がこの度、野党第1党の指定席と言うべき副議長に就いたのは、立憲民主党の野田代表の強い期待を背負ってのことと考えられる。

    野田氏は、首相在任当時みずから「女性宮家」の創設を検討課題としたように、皇室制度改正への関心が深く、責任感も持っている。

    そのような背後の事情を視野に入れると、正副議長が通常国会での意見集約を目指すことで一致したというのは、政府・与党と立憲民主党が共有しているスケジュール感を映し出しているだろう。

    ■去年の各党協議が挫折した理由

    昨年、衆参両院の正副議長が呼びかけて、皇室制度の改正をめぐり、全政党・会派が一堂に会した協議の場が持たれた。しかしそこでは、ただ各党派がそれぞれ意見を述べ合っただけで、合意形成に向けた歩み寄りはなく、たちまち行き詰まってしまった。

    この時は額賀議長が前のめり過ぎて、参院側との足並みを揃えることができなかったという、失敗もあった。だがそれ以前に、政府・与党が議論の土台に据えようとしている有識者会議の報告書の中身が、以下にも述べるようにあまりにもお粗末すぎるためだった。

    その昨年いったん挫折した各党協議が、月内に再開されるとの報道があった(読売新聞オンライン1月8日公開、「皇位継承巡る与野党協議、月内に再開へ…女性皇族の夫・子の扱いなど各党隔たり」)。

    通常国会が終わる6月末までを、さしあたりゴールと見定める協議のゆくえは、どうなるのか。

    ■危機の原因は「男系男子限定」

    まず目の前の皇室の姿はどうか。

    次の世代を支える皇位継承資格者は、傍系の秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下ただお一方だけ。現に直系の皇女=敬宮(としのみや)(愛子内親王)殿下がおられるにもかかわらず、ただ「女性だから」というだけの理由で皇位継承のラインから除外されてしまう旧時代的なルールが、見直されることなくいたずらに放置されている。

    その結果、皇室から皇族が減るばかりで、悠仁殿下のご結婚まで難しくなりかねない、危うい状態に陥っている。

    この皇室の危機の原因は分かりやすい。明治の旧皇室典範で初めて採用された皇位継承資格を「男系男子」だけに狭く限定するという、そもそも側室制度とセットでしか維持できない“縛り”を、一夫一婦制のもとで少子化が進む社会状況にもかかわらず、そのまま“うっかり”維持していることだ。

    このミスマッチな今の皇室典範の制度設計上の構造的欠陥こそが、最大の原因だ。だから解決策はいたってシンプル。男系男子限定ルールを解除してその欠陥を是正すればよい。それだけの話だ。

    ところが政府も国会も、長年にわたってその是正を怠ってきた。問題の解決策はとっくに明らかになっているのに(「皇室典範に関する有識者会議」報告書、平成17年[2005年])、政治が果たすべき責任を回避し、“先延ばし”し続けてきたのだ。

    本当は、上皇陛下のご退位を可能にした皇室典範特例法を制定した時(平成29年[2017年]6月)に、特例法ではなく皇室典範そのものの本則を改正して、退位という選択肢を恒久制度化するとともに、男系男子限定を解除して、皇位継承の安定化に向けたルールの変更にまで踏み込むべきだった。

    しかし政府・与党は、皇室典範の本則改正を避けて特例法に逃げ込み、大切な安定的皇位継承という課題は、国会での附帯決議に盛り込むだけで、先送りしてしまった。

    ■有識者会議は論点をすり替えた

    その後しばらくしてやっと内閣に設置された有識者会議(清家篤・座長、令和3年[2021年]3月〜12月)は、先の附帯決議で求められていた安定的な皇位継承策をまとめることが、本来の目的だったはずだ。

    ところが報告書には、そのテーマについての提案がまったく含まれておらず、「白紙回答」だった。その代わりとして、皇族数の減少に目先だけ歯止めをかけるプランに、勝手に論点をすり替えてしまった。

    このゴマカシはさすがに報道機関にも見抜かれているようだ。

    たとえば共同通信1月13日に配信した記事では、見出しに「皇族数確保、国会議論再開へ……」とあって、これまでさまざまな報道で目くらまし的に横並びで使われていた“皇位継承”という言葉が、あえて避けられていた。同記事の詳細版に付記された「皇位継承」の解説では、とくに次のように触れられている。

    「附帯決議は……速やかに安定的な皇位継承を確保するための諸課題などを検討し、国会に報告するよう政府に要請していた。政府の有識者会議は……報告書で『悠仁さま以降の皇位継承を具体的に議論するには機が熟していない』と切り離し、皇族数確保を喫緊の課題とした」

    これまで私が繰り返し強調してきた論点のすり替えをストレートに指摘している(「切り離し」という少し強めの表現も見逃せない)。

    ■報告書のプランは無理があり現実味がない

    しかも論点をすり替えた上で示された報告書のプランは、率直に言ってかなり無理があり、現実味のない内容だった。

    報告書のおもな提案は次の2つのプランだ。

    ①これまで、内親王・女王が結婚されると皇族の身分を離れるルールだった(皇室典範第12条)。それを変更して、ご結婚後も皇族の身分を保持される一方、その配偶者やお子さまは国民(!)とする。
    ②皇室の方々が養子を取ることは禁止されている(皇室典範第9条)。だが、国民の中からいわゆる旧宮家系子孫の男性だけをその血筋・家柄=門地(もんち)を根拠に例外扱いして、特権的に皇族との養子縁組を可能にし、それによって皇族の身分を新しく取得できるようにする。

    以上の2つのほかに③として、旧宮家系子孫男性を法律一本だけで国民から皇族にするという乱暴なプランも、提案されている。だが、昨日まで一般国民だった男性が、今の皇室とまったくつながりがない形で皇族になって、果たして国民にも皇室にも素直に受け入れられるのか、どうか。少しでも常識があれば分かるはずだ。

    報告書自体も「②の方策に比べ、より困難な面がある」としているように、まともに取り上げるに値しない。

    しかし③だけでなく、①②も国会での議論の土台になり得るレベルに達していない。昨年の全党協議が、たちまち暗礁に乗り上げてしまったのも、無理はなかった。

    ■「皇族と国民が一つの家族」という無茶なプラン

    ①は、「皇族と国民」という身分が違う夫婦・親子によって構成される、近代以降まったく前例のない家族を創出するとっぴなプランだ。もしそれが制度化されると、極めて不自然な家族が生まれることになる。

    当たり前ながら、国民の家族はすべて国民であり、皇室の家族なら同じく皇族。つまり国民であれ皇族であれ、「家族は皆、同じ身分」だ。その近代以降の家族の構成原理を、根本から破壊する制度になっている。

    そもそも、憲法は皇室の方々と国民に対して、まったく異なる位置づけをしている。皇室の方々には憲法第1章(天皇)が優先的に適用され、国民には憲法第3章(国民の権利及び義務)が全面的に適用される。

    たとえば、憲法は天皇が国政にかかわる権能を否定しており(第4条)、ほかの皇族方もそれに準じた制約がある。一方、国民にはもちろん選挙権をはじめ、政治活動の自由が保障されている(第15条・第21条)。したがって、内親王・女王の配偶者やお子さまが国民という位置づけなら、その政治活動の自由を制限する根拠はないし、むしろ制限は許されない。

    しかし社会通念上、家族は“一体”と見られがちだ。配偶者やお子さまがみずから自由に政治活動を行ったり、あるいは国民同士として接点を持つ何者かの政治活動に利用されたりした場合、それは内親王・女王ご自身の活動であったり、さらに皇室それ自体の活動と受け取られかねないのではないか。そうなれば、実際上の政治的効果としては、憲法が否定する国政権能を行使するにほぼ等しい。

    かと言って、法的根拠もなく「無言の圧力」などで“国民の”憲法上の自由や権利を抑圧することは、決してあってはならない。よって難しいジレンマに直面する。

    ■憲法の仕組みを揺るがしてしまう

    しかもこれは一例にすぎない。

    憲法上、国民に保障されているその他の自由や権利、すなわち宗教活動の自由、集会・結社の自由、表現の自由、経済活動の自由などは、「国民統合の象徴」(第1条)である天皇およびそれに準じる皇族方のお立場とは、およそ両立できないだろう。

    憲法は、皇族と国民が“1つの家族”を構成する事態を想定していない、と考えられる。①プランは、皇室に優先適用される「第1章」と国民に全面適用される「第3章」を、あえて“別立て”にしている憲法の仕組み自体を揺るがす、と言わねばならない。

    そもそも当事者の内親王・女王殿下方ご本人が、そのようないびつな家族構成を受け入れられるのか、どうか。むしろ皇族の身分を離れて家族一緒に国民として暮らそうとされるとか、ご結婚自体に二の足を踏まれるケースも予想される。

    先の報告書には、①について以下のように書き加えてあった。

    「新しい制度とする場合でも、現在の内親王・女王殿下方は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは皇族の身分を離れる制度……のもとで人生を過ごされてきたことに十分留意する必要があります」

    これは制度変更にともなう過渡的な措置として、当事者のお気持ちに配慮すべきことを示唆している。当然のことだろう。

    ■養子になる旧宮家子孫男性、養親になる皇族は実在するのか

    ②は、国民の中から旧宮家系という特定の血筋・家柄=門地の者だけを特別扱いするプランだ。なので、かねて「門地による差別」を禁止する憲法(第14条)に違反する疑いが指摘されている。これに対して、政府はいまだに説得力のある釈明ができないままだ(拙著『愛子さま女性天皇への道』94〜99ページ)。

    しかも、旧宮家系の中で実際に対象になり得るのは、これまでに知られているところでは賀陽家・久邇家・東久邇家・竹田家の4家にとどまる。

    その中に、養子縁組によって皇族になることに同意する人物がいるのか、どうか。いなければ強制できないし、してはならない。平成29年(2017年)当時の話として、政府が水面下で打診した結果だろうが、「いない」というのが安倍晋三元首相の認識だったようだ。

    さらに、養子を受け入れる「養親」になることを同意してくださる皇族が、実際におられるのか。

    こちらの対象になり得るのは、天皇ご一家と秋篠宮家は当然除外されるので、ひとまず“頭の体操”的な引き算の結果として、ご高齢のご夫妻だけの常陸宮家と、今のところ当主が不在で宮邸には瑤子女王殿下だけがお住まいの三笠宮家、久子妃殿下と未婚の承子女王殿下が同居しておられる高円宮家だろう。しかし、それらの方々のどなたかに養親をお願いするのは、普通に考えて無理ではないか。

    ■問題を解決し「愛子天皇」誕生を実現する方法

    このように見ると、政府が国会に検討を委ねているプランは、一般常識に照らしておよそ無理で無茶としか思えない。このプランを土台に議論している限り、いくら各党間の協議を重ねても、失礼ながらまともな制度改正にはつながらないはずだ。

    それよりも本来の課題に立ち返り、安定的な皇位継承を目指した方策を真正面から探るべきではないか。

    こちらのアプローチなら、側室不在で一夫一婦制なのに「男系男子限定」という今の皇室典範が抱えるミスマッチ=構造的欠陥を取り除くことで、たちまち問題を解決できる。

    その欠陥を是正して女性天皇を認めれば、「直系優先」の原則(皇室典範第2条)によって、令和の皇室で唯一の天皇、皇后両陛下のお子さまでいらっしゃる敬宮殿下が「皇太子」になられ、次の時代の天皇になられるという、多くの国民が願っている結論になる。

    もとより、対立する意見がせめぎ合う政治の世界では、残念ながら一挙に百点満点の解決を求めることは難しいだろう。しかしさしあたり、少しでも満点に近い合意と、次の前進に確実につながる決着を望みたい。

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    高森 明勅(たかもり・あきのり)
    神道学者、皇室研究者
    1957年岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。皇位継承儀礼の研究から出発し、日本史全体に関心を持ち現代の問題にも発言。『皇室典範に関する有識者会議』のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを歴任。現在、日本文化総合研究所代表。神道宗教学会理事。国学院大学講師。著書に『「女性天皇」の成立』『天皇「生前退位」の真実』『日本の10大天皇』『歴代天皇辞典』など。ホームページ「明快! 高森型録

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    ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/istock-tonko


    (出典 news.nicovideo.jp)

    【【社会】今国会で皇位継承問題の議論はどこまで進むか…皇室研究家が「何らかの進展が期待できる」と話す根拠】の続きを読む



    日本の皇室の魅力は、愛子さまと雅子さまの存在によってさらに際立っています。彼女たちは、皇室が持つ伝統を守りながらも、新しい時代に即したアプローチを取り入れています。この姿勢は、中国や他の国々においても高く評価され、日本文化の理解を深める手助けとなっていると感じます。

    日本の皇室は世界でどう評価されているのか。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「中世以前からの伝統を現在も維持している王室は世界的に見て非常に珍しい。だからこそ、中国やアメリカ、アフリカだけでなく、王室のある中東やヨーロッパの国々からも特別な存在だと思われている」という――。

    ※本稿は、谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない6』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を再編集したものです。

    ■日本人より詳しい? 中国人の「皇室愛」

    2024年に天皇皇后両陛下が国賓としてイギリスを訪問されました。これはチャールズ国王が戴冠後、国賓としての初訪問になります。

    私は天皇皇后両陛下がバッキンガム宮殿での晩餐会に出席する日に、パレードを見に行きました。

    イギリス政府による宣伝が功を奏したのか、当日はバッキンガム宮殿前の「ザ・マル」はすごい人出で、世界各国の観光客や皇室と王室ファンが集っていました。

    通常イギリス王室のイベントを見に来る外国人観光客は欧州大陸の人が多いのですが、今回は中国やタイなどアジア系の方も多く、熱心に写真を撮影していました。

    日本でのイメージと違い、中国やタイの方々は日本の皇室が大好きです。とくに中国大陸での人気はすごく、中国のニュースサイトやゴシップ雑誌には皇室ネタが頻繁に掲載され、雅子様のご病状や愛子様の勉学のことなどが事細かに報じられています。

    それだけではなく、メディアにあまり登場されない皇室のみなさんのことまでご存じのファンが多いのです。その好奇心や情報量に驚かされる日本人は多いでしょう。

    ■皇室のファッションや上品さに羨望のまなざし

    中国大陸の方々、とくに女性は日本の皇室のファッションやライフスタイルにも興味津々です。自国に王室がないため、伝統と現代が共存している日本の皇室に興味を持つ方は、やはり多いのです。皇室の上品さや自国には存在しない伝統行事などには、羨望の眼差しが注がれています。

    日本の方は「中国人の誰もが反日的な感情を持っている」と思われているかもしれませんが、そういう人々は実はごく一部。一般の人々は、どちらかというと皇室を含め「日本に興味津々な人」だらけです。

    ■「生の天皇皇后両陛下」に感激する人々

    またアメリカやアフリカの方、中東や南アジアの方もおり、きわめて多国籍でした。

    アメリカ人はイギリスの王室が大好きですが、日本の皇室にも大変興味を持っています。やはり自国にはない伝統文化があるので、とても惹かれるものがあるのです。意外に思われるかもしれませんが、中東の方々も日本の皇室や神道に興味があります。

    これは中東の方々が自国の王族や宗教を大事に思っているので、他国の類似の存在にも興味を持ってくださっている、ということでしょう。

    中東や北アフリカの方々は日本に来ると神社や仏閣を熱心に見学される方も多いのです。知的なイスラム教徒の方々は大変心が広く、神道や仏教にむしろオープンなことも多いです。

    私は近くにいたイタリア人の60代のおじ様とその娘さん、息子さんにイタリア語で話しかけ雑談をしたのですが、とくにお父様の皇室に対する興味は大変なものでした。

    天皇陛下のお名前から上皇様、昭和天皇のお名前や「どこに住んでいるか」「雅子様はどんな人か」「京都に旅行したいかどうか」「温泉に行きたいのだが」といった日本旅行の話にまで話題が広がり、パレードを見るよりもおしゃべりのほうが多忙になってしまいました。しかしこのご一家に限らず周りの人々も「天皇皇后両陛下にお目にかかれたこと」に感激していた様子でした。

    ■「王室が現存している国」は実は少ない

    なぜそうなるのかというと、そもそも世界には「王室が現存している国」なんて限られているからです。欧州大陸の場合は革命や社会の変化によりなくなってしまった国が多いですし、そもそも元植民地だったアメリカやカナダには王室がありません。

    アジアや南アジアの場合はやはり政変などで王朝が崩壊してしまっています。南米もアフリカ植民地だらけですから王室がありません。

    つまり数百年~千年近い単位で王室が継続されている国は本当に珍しいのです。

    西洋列強の植民地にならなかった国は、ある意味特殊なのだとわかりますね。

    ■ほかの国では失われた伝統が残っている

    そして日本の皇室は、欧州や中東の王族とはそのあり方がまったく異なります。

    衣装や伝統が西洋社会のものとは別物ですし、宗教も言葉もまったく違います。とにかく異なる文明に属しているのです。

    ほかの地域の人々から見ると大変エキゾチックで、ミステリアスに映ります。そしてその王朝の人々がイギリスにやってくるというのは、やはり大変なことなのです。

    同じ王朝がずっと続いている点からみても、日本の皇室は特別な存在です。王朝は一般に、権力が変われば崩壊するのが当たり前です。政権交代時には関係者は皆殺しになるのが歴史の“定番”です。

    ところが日本の場合、南北朝の争いなどはあったものの、朝廷は長い間継続されており、権力闘争とは異なった位置に属してきました。「皇室の本質=司祭」だとはいえ、それでも王朝が崩壊することなく継続している状態は、特異なのです。

    日本人は気がついていませんが、皇室が中世以前からの伝統を保存している点も大変重要です。ほかの国では王朝崩壊に伴い、文化財や伝統も消えるのが当たり前です。

    ■洗練された文化と長い歴史を誇る皇室

    また意外に聞こえるかもしれませんが、イギリスでは多くの人が日本の皇室にまつわることに大変な興味を持っています。これは王室が徳川幕府や皇室から贈られた品を展示した際、多くの見学者が訪れた事実からもわかります。

    今回の天皇皇后両陛下のイギリスご訪問に関してはかなり前からイギリスのメディアで報じられ、ニュースでも大きく取り上げられていました。広く一般に無料配布される新聞にも、天皇陛下のお写真が掲載されたほどです。

    ほかの国の王族もイギリスを公式訪問することはありますが、メディアにここまで取り上げられることは稀です。

    やはりこれは日本という国がイギリスに限らず欧州全体から見て「非常に特別である」ことの表れでしょう。先ほども述べたように日本には欧州に劣らぬ洗練された文化があり、皇室の歴史は欧州のどの王室よりも長いのです。

    ■伝統や権威を重んじる国民性の表れ

    こうして王室や皇室を現在でも維持できている事実は、その国の人々が伝統や権威を重んじており、「受け継いだものを維持していこう」と強く意識してきたことの表れです。

    そしてまた、暴力的な革命や過激な変化を好まないことも示唆しています。イギリスは無血革命をおこなったことで有名なように、実は過激な革命を嫌う土地です。

    資本主義が発達しており、市場経済を信奉する国ですが、そのいっぽうで伝統を維持し穏やかな変化を好みます。イギリスの本質は、実は「保守」です。

    その点、過激な革命を好むフランスイタリアとは異なっています。また現実よりも理念を優先してしまうドイツとも違います。

    そして日本も遠く離れているとはいえ、イギリスに似た部分があります。たとえば明治維新でも内戦はあったものの、徳川家は全員抹殺されたわけではありません。そして皇室も長年、維持されてきており、ここまで長い王朝が保たれている国は非常に珍しいのです。

    ■イギリスが特別な皇室外交を続ける理由

    これはやはり日本がイギリスと同じ島国で、過激な変化を好まない点が要因だと思います。イギリスはそのような日本の歴史に自分たちと似たものを感じているのです。

    イギリスは多様性を重んじる国ですが「あまりに異質な人」はやはり嫌います。「能ある鷹は爪を隠す」というような謙虚さや、中庸や灰色の対応、「行間が読める人」を好みます。

    日本人はそのようなイギリス人の求める資質を持っています。そして伝統や権威をある程度好み、儀式的なものも残そうとします。合理的でありつつ非合理な部分も保とうとする。イギリス人はそんな日本を自分たちと似た部分のある国だととらえています。

    だから日本の皇室を特別扱いするのです。そんなイギリスが皇室外交を通して日本との友好関係を強化しようとするのはやはり東アジアの安定化を望むからです。

    そして東アジアでは「唯一信用できる同盟国」として日本に期待する部分が大きいのです。皇室を歓待することは「日本の有権者にイギリスにとって良いイメージを持ってもらい、関係を強化したい」という気持ちの表れです。そういったイギリスのメッセージを今回の天皇皇后両陛下のご訪問から読み取っていただきたいと思います。

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    谷本 真由美(たにもと・まゆみ)
    著述家、元国連職員
    1975年神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。

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    23歳の誕生日を迎え、上皇ご夫妻にあいさつするため、仙洞御所に入られる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=2024年12月1日午前、東京・元赤坂 - 写真=共同通信社


    (出典 news.nicovideo.jp)

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    悠仁さまの6畳の部屋での寄宿舎生活は、まさに現代の学生像を映し出しています。予算制限の中での自炊やコンビニ飯という選択肢は、多くの学生が日常的に直面する課題です。このライフスタイルがクリエイティブであることを示唆しており、若者たちにインスピレーションを与えることでしょう。

    2 名無しどんぶらこ :2024/12/12(木) 16:21:21.90 ID:ooBRyhGd0
    半島・大陸のからのテロに気を付けてな
    警備しっかりしてくれよ

    【【社会】悠仁さま筑波大学生活は寄宿舎で一人暮らし?月1万9千円の6畳「自炊」「コンビニ飯」生活も】の続きを読む


    女性天皇の実現が、ジェンダー平等や現代のイメージにも大きな変化をもたらすのではないかと感じます。


    国連の「女性差別撤廃委員会」は2024年10月29日、「日本の皇位継承における男女平等を保障する必要がある」とし、男系男子が皇位継承すると定めている「皇室典範」の改正を日本政府に勧告しました。政治問題となっている「選択的夫婦別姓の導入」とともに、「日本における男女不平等のひとつ」とされた皇位継承問題。日本が求められたことは「女性への皇位継承も認める法改正を」――という勧告です。


    けれど、日本政府はこの勧告に猛反発。ジェンダー平等という世界的な価値観のなかで、なぜ政府は男系男子にこだわるのか? 『愛子さま 女性天皇への道』をこのほど上梓した、皇室研究者の高森明勅さん(國學院大學講師)。皇室存続への強い危機感をもっての新刊でもあります。


    ■女性を除外する時代錯誤なルールを今こそ見直す

    今、国民と新政権に問う! 愛子さまが天皇になるべき「5つの理由」――。


    1の理由=女性天皇を排除する現在の皇位継承ルールでは、皇室そのものが存続できなくなる。

    2の理由=天皇は「国民統合の象徴」。その象徴に男性しかなれないルールは、いびつである。

    3の理由=天皇の後継者は、天皇との血縁が最も近く、おそばで感化・薫陶を受けた方がふさわしい。

    4の理由=天皇という地位は「国民の総意」に基づくべき。国民の気持ちを無視してよいのか。

    5の理由=「ジェンダー平等」は、現代における普遍的な価値観である。


    国民から敬愛されている天皇、皇后両陛下には、お健やかでご聡明、しかも優美にして親しみにあふれる敬宮愛子内親王殿下というお子さまがいらっしゃる。にもかかわらず、これまでの皇位継承のルールではただ「女性だから」というだけの理由で、天皇になる可能性があらかじめ除外されています。


    率直に言って、時代錯誤としか思えないルールです。そのようなルールが、令和の日本にいつまでも必要なのでしょうか。


    日本の未来を希望に満ちたものにするためには、古いルールを変更して、なるべく早く「女性天皇」を認めなければならない、と私は考えています。

    ■皇族が誰もいなくなるかもしれない

    日本は今、さまざまな課題を抱えています。しかし、そのなかでもとりわけ重い意味を持つひとつは、皇室が存続の危機に直面していることではないでしょうか。


    日本国の象徴であり日本国民統合の象徴という憲法上、最も大切な意味を持つ「天皇」という地位を継承する皇族が、やがて誰もいなくなってしまうかもしれない、という問題です。これは誇張して言っているのではありません。目の前の皇室の実情を見れば、誰でも気づくはずです。


    若い世代の皇族の中で、天皇として即位する資格を認められている皇族は、いったい何人いらっしゃるか。宮家として筆頭の位置にある秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下たったおひとりだけです。天皇陛下と同じ世代の秋篠宮、同妃両殿下より年齢がお若い皇族は、悠仁殿下以外にも合計で5人いらっしゃいます。しかし、それらの方々は皆さま、内親王(ないしんのう)か、女王(じょおう)。つまり女性です。


    ところが、今の皇位継承のルールでは「女性天皇」は認められていません。ですから、女性の皇族方は皇位継承の資格をお持ちでないのです。それどころか、結婚されると、皇族の身分から離れられて、皇室から出ていかれるルールになっています。すると、どうなるか。厳しい現実が浮かび上がります。


    今後、女性皇族が結婚されるというご慶事があるたびに、皇室から若い女性皇族が次々といなくなってしまう。もしもご独身として皇室に残られても、当然ながらお子さまは生まれません。その結果、今のルールのままだと、いずれ皇室には悠仁殿下おひと方しかおられなくなってしまいます。

    ■皇室典範の改正で危機は乗り越えられる

    この危機を乗り越えるためには、どうすればよいのか。皇位継承資格を「男系男子」だけに限定する今の皇位継承のルールを変更することが欠かせません。そのルールを変えるためには、法律である皇室典範を改正しなければなりません。


    法律を改正する権限を持っているのは国会です。その国会で新しい法律を作ったり、これまでの法律を改正したりする場合に、しばしば主導的な役割を果たすのは政府です。ところが政府も国会も、女性天皇を可能にするための皇室典範の改正に、これまで本気で取り組もうとしないまま、長い歳月が流れてしまいました。


    そもそも国会は、国民を代表する唯一の立法機関という位置づけです。政府は、その国民の代表機関である国会によって指名され、天皇から任命された内閣総理大臣が統率する行政機関です。どちらも、国民の意思を尊重すべき義務を負っているのは、もちろんです。

    世論調査では9割が女性天皇を認めている

    国民の多くは女性天皇を認めようとしています。そのことは、これまでのさまざまな世論調査の結果にもよく表れています。例えば、令和6年2024)の4月28日に共同通信社が公表した調査結果はどうだったか(郵送方式、有効回答数は1966件)。


    《あなたは女性皇族も皇位を継ぐ「女性天皇」を認めることに賛成ですか、反対ですか》という質問への回答を見ると、「賛成」が52%、「どちらかといえば賛成」38%。合計でぴったり90%という数字でした。これは異常に高い比率と言うほかありません。


    これに対して、「どちらかといえば反対」が6%、「反対」が3%。合計でもわずか9%。つまりひとケタにとどまりました(無回答が1%)。


    どのような世論調査でも、価値観の多様さを前提とする社会にあって、賛成でも反対でも100%という結果はありえません。80%を超えたら驚異的な高さと言えるでしょう。それを考えると、多少の温度差はあっても共同通信社調査の90%が賛成という数字は、ほとんど国民の総意の表れと表現しても、決して言いすぎではないでしょう。


    天皇の地位は「国民の総意」に基づくべきことが、憲法の第1条に規定されています。そうであれば、圧倒的多数の国民の意思を尊重して、女性天皇を除外している今の皇位継承ルールは、是非とも見直す必要があるはずです。


    【目次】

    ○第1章 天皇にふさわしい品格――愛子さまに期待が集まる理由

    ○第2章 女性天皇を除外する不思議――欠陥をかかえる皇位継承ルールの是正へ

    ○第3章 歴史の中の女性天皇――日本らしさの証明

    ○第4章 皇太子が不在の令和皇室――欠陥ルールの皇位継承順序を見直す

    ○第5章 これからますます大切になる皇室――未来に向けた存在意義

    ○第6章 皇室典範はこう変える――私の改正案


    【著者プロフィール】

    高森明勅(たかもりあきのり)。皇室研究者、國學院大學講師。専攻は、神道学、日本古代史。1957年岡山県倉敷市に生まれる。國學院大學文学部卒業後、同大学院博士課程単位取得。國學院大學日本文化研究所研究員、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当などを歴任。小泉純一郎内閣当時の「皇室典範に関する有識者会議」において8名の識者、皇室研究の専門家のひとりとしてヒアリングに応じる。


    【商品概要】

    商品名:愛子さま 女性天皇への道

    定価:本体1700円(税別)

    発売日:2024年11月28日

    判型/ページ:四六判/240ページ

    ISBN: 978-4-06-537738-3

    発行:講談社ビーシー/講談社

    Amazon: https://amzn.asia/d/9XqxOCe

    配信元企業:株式会社講談社

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    (出典 news.nicovideo.jp)

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