The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

SF(大会)と現実 宇宙人ポール

 「ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル」で年内最後と言っていましたが、「宇宙人ポール」を見てきました。とは言えこの作品、すでに輸入盤ブルーレイをとあるところからお借りして鑑賞済みなんですよね。ただ、あの時は日本語字幕も吹き替えもないもの。例によって話しの理解は半分、という感じでしたので改めて鑑賞。

物語

 イギリスからやってきたSFオタクのグレアムとクライブ。サンディエゴのコミコンを満喫した後はレンタルのRVキャンピングカーでネバダからニューメキシコへとUFO関連の土地を観光する予定だった。しかし途中アメリカの田舎白人に喧嘩を売られそうになったりするがなんとかエリア51付近までやってくる。そこに突然目の前で車が事故った!恐る恐る近づくとそこには人間ではなく宇宙人がいたのだ!彼はポールと名乗った・・・
 二人はポールと行動を共にするがそれを追う謎の黒服。そして宿泊施設を経営するキリスト教原理主義の女性ルースもトラブルから一行に加わる。
 こうしてオタクのイギリス人コンビと宇宙人、ファンダメンタリストという奇妙な取り合わせの旅が始まった!

 主演/脚本の二人は「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホットファズ」のサイモン・ペッグニック・フロストサイモン・ペッグは最近はJ・J・エイブラムス組としてメジャーな活躍も著しい。このふたりがイギリスからやって来るSFオタク(作家とイラストレーターということになっているがプロなのかアマチュアなのか不明)を演じている。二人があんまり仲睦まじいのですぐにゲイだ、とか思いつく人がいるだろうけど恋愛的なものよりは明らかに友情の延長線上で、ある意味成長が遅い、要するに女の子と遊ぶより男同士でわいわい騒いでたほうが楽しいお年頃なのだな。この二人の関係は「ショーン〜」の設定とほぼ一緒。サイモン・ペッグの方にだけ彼女ができる、その仲良しさ加減にニックが嫉妬する、というのも「ショーン〜」のまんまですね。
 
 二人はSFの中でも主に「スタートレック」のファンのようでフェーザーとかの単語が出てくる。フェーザーというのは今では普通(?)に使われているが純然たるスタトレ用語で「フェイズ」と「レーザー」を合わせた言葉。さらに二人はクリンゴン語も操る。クリンゴン語も「スタートレック」に出てくる宇宙人クリンゴン人が使う言語で架空言語にしては恐ろしいほどに考えられた言語で劇中での使用頻度から軍事用語に偏っているにも関わらずファンの中には日常会話をこなすものもいるという。もれ聞いた話だと子供の第一言語クリンゴン語にしようとした強者夫婦がアメリカにいたらしいが結局身近なクリンゴン語使用者が両親しかいなかったため結局その子は英語をしゃべるようになったという。カプラ!
 その他二人がカーク船長とゴーンの伝説的な戦いを再現して別の観光客に「何あれ?」という目で見られるシーンなんかもある。

 もちろんその他いろいろなSF映画などのパロディ・オマージュがたくさんなのだけど(と僕は個人的に田舎の酒場でなぜかカンティーナバンドがかかってたのがツボ)、僕自身がスタトレファンなのでやはり目についてしまう。
 で、スタトレとコミコンというと想い出すのはカーク船長役のウィリアム・シャトナーが熱心なファンに対して「現実に帰れ!」と呼びかけたというアレ。その他スポック役のレナード・ニモイがあまりに自分とスポックを混同されることに対して「私はスポックではない」という自伝を書いたりしたことを思い出す*1

わたしはスポック (扶桑社ノンフィクション)

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 という訳でこの映画を見ながらそんなことを思い出していたらやはり別の映画を思い出した。「ギャラクシークエスト」である。この作品は架空のSF番組「ギャラクシークエスト」の役者たちが番組をドキュメンタリーだと信じる宇宙人に連れられ彼らを侵略しようとする宇宙人と戦う、という話だが、前半でオタク性を否定されるがラストはオタク万歳で終わる。これを思い出した。
 サイモンとニックもイギリスからやってくるが、コミコンで憧れのSF作家(ジェフリー・タンバー*2)に冷たくあしらわれ、地元のレッドネックにゲイと勘ぐられ喧嘩を売られ、もしかしたら現実を魅せられて意気消沈して帰国したかもしれない。しかしそこに本物の宇宙人が現れる。
 タイトルでもある宇宙人ポールは今年登場したエイリアンの中では最も知性を感じさせる生物でデザインは今では逆に珍しい典型的なグレイタイプだが、そのキャラクターはむしろアメリカ人のカリカチュアである。声を担当しているのはセス・ローゲン。彼とやはりアメリカ的であるファンダメンタリストのルースを導く。
 
 この映画には3人の長身女優が登場。一人はエイリアン退治はお任せ!ご存知シガニー・ウィーバー。登場自体は早いけどどちらかと言うと最後にアッと驚かす感じですね。そしてもう一人はこれまたご存知「glee」のスー先生ことジェーン・リンチ。UFO目当てに来た観光客相手の飲食店経営者。サイモンとニックにも理解あるところを示し最後はルースにちょっかいを出しもしかしたらレズ?と思わせる(ジェーン・リンチはカミングアウトしたレズビアン)。そしてポールを最初に発見した当時6歳現在おばあちゃんのタラがブライス・ダナー。この人今でもとても綺麗な人で若いころはさぞや美人だったろうなあ、と思わせるがなんとあのグウィネス・パルトロウのお母さん!そりゃ美人なはずだ。もちろんヒロインルースも綺麗でしたよ。
 
 個人的には似た映画として先行する「ギャラクシークエスト」や二人の盟友エドガー・ライトの「スコット・ピルグリム」でも感じたケビン・スミス作品に似てるなあ、と今回も思った。
 
 ちなみに宇宙人でポールというと「ウルトラセブン」に出てきた怪獣ガンダーを操る「ポール星人」を思い出すので字幕で「ポール星人」と呼ばれ「星人っていうな!」という部分は大爆笑しました。
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 年内感想はここまで!最後までグダグダでお送りして申し訳ないです。

*1:現在ではふたりともスタトレに深く関わりシャトナーはオリジナルスタトレ小説を出したりニモイは「わたしはスポック」というさらなる自伝を発表したりしている

*2:最初ジェフリー・ラッシュかと思ってた