The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

空手至上主義の世界 KG カラテガール

 3月5日は横浜ブルク13という映画館で武田梨奈主演の「KG カラテカール」を鑑賞。年の最初に「スプライス」を観たとき、予告編を見て「これは面白そうだ」というがあって、その後古澤監督の「アベック・パンチ」のエキストラに参加したりした縁ですっかりファンになってしまったのだが、今回は上映終了後に武田梨奈ちゃん来場でトークショーがあると知ってふらふらと観に行ってしまったのであった。

 最初に言っておくと映画自体の出来はいまいち。アクションシーンはノースタント、ノーワイヤー、ノーCGを謳っているだけあってテンポもよく格好よいのだがドラマ部分が安い、タルい、突っ込みどころ多し、の三重苦であった。日本映画特有のもっさり感は健在。折角のアクションをドラマが壊しているような気もする。
 
 ストーリーに沿ってツッコミ。ネタバレになります。
 沖縄、世界最強と歌われた伝説の空手家、紅宗次郎の黒帯を奪うべく、宗次郎の子孫である紅達也に謎の集団が襲い掛かる。全編を巡ってマクガフィンとなるのがこの「紅宗次郎の黒帯」なのだが、どうしてそこまでして手に入れなければならないものなのか良く分からない。敵の首領田川(堀部圭亮)は世界最強の空手家を目指して自分で挑むとかではなく最初から娘達を人質にとって集団で襲いかかるのだ。しかも最後は部下が日本刀で背中から切りつけるのである。そんな経緯で手に入れても意味がないのではないか、と思う。黒帯自体に何か不思議なパワーがあるのかもしれないと予想したのだが最後までただ黒帯であった。オープニングナレーションは山寺宏一なのでここはテンションが上がる。
 達也の娘二人は離れ離れになりひとりは横浜で女子高生、もう一人は田川の下で殺人空手マシンとして育てられていた。姉の紅彩夏(武田梨奈)は横浜ブルグ13(!)でバイトをしていたが、ひょんなことから引ったくりを空手で撃退しその素性がばれてしまう。
 今現在見ているはずの劇場が舞台になるので思わずどよめく。しかしこの引ったくり犯、劇場のロビーとかではなくチケットをもぎったその先でひったくるのである。普通そんな場所でやるか?出口一つしかないじゃないか。置き引きとかならともかく。


 実際にこの辺でアクションが行われたわけですね。
 
 殺人空手の地下道場を主催し、世界中のテロ組織や情報機関などに暗殺者として人材レンタルをしているのが田川の組織なのだが文字通り地下道場しか映らないのでかなりしょぼい組織にしか見えない。そしてその分野(暗殺業界)で名を馳せた理由は「紅宗次郎の黒帯」を所持しているから、というその一点のみなのだ。黒帯どんだけ凄いんだよ。しかし実は田川がもっている黒帯は偽物で本物は彩夏が持っているのだった。キースという外人空手家は本物だと信じていて、組織の幹部内では最初のうちこそ話題に出すの禁止、という感じなのに中盤からは普通に偽物だということを大声で連呼してる。
 で、刺客として差し向けられたのが少年少女の空手家二人。もうお分かりのようにこの少女の方が主人公の妹、紅菜月なんですね。可愛いのではあるが少し亀田兄弟に似ていて「そういやあの三兄弟って妹もいたよなあ」とか思いながら見ていた。
少年の方は梨奈ちゃんに似てると思ったらどうやら実の弟らしい。 
 妹との対決を乗り越え互いに姉妹と認識、組織が妹を人質に取ることで黒帯を持ってこいと脅し、クライマックスが訪れる。先ほどの妹との対決では空手着着用だったのに、なぜかこちらでは制服。ええ!黒帯を着用すんじゃないの?いや、嬉しいけど。程なく、妹も人質から逃れ互いに雑魚を蹴散らす。彩夏も同様。彩夏は父親の直接の敵である木刀使いをヌンチャクで倒すのだった。
 で、先ほどまでは地下だったのだが、唐突に屋上に。ここにキースと妹が合流し、2対1のラストバトルが始まる。このシーンカットによって雨が降ってたり止んでたりするんだけど、地面も乾いてたり濡れてたりする不思議な時間設定。ここでキースも実は田川が持ってたのは偽の黒帯ということが判明するんだけどとりあえず対決。
 苦闘の末キースを倒し車椅子に乗ったままの田川を倒して終了。田川も一応空手のつわもの、という描写もないわけではないんだけどねえ。
 そして二人は沖縄に戻り修行に励むのであった。
 結局黒帯にどのくらいの価値があるのか不明のまま。例えばピンチの時歴代紅流空手の継承者が現れて力を貸すとかそういう描写があれば観客にもその価値が分かるのに。最後まで普通の黒帯。
 多分ね、この世界は「ドラえもん」ののび太もしもボックスで「空手が全てに勝る世界」を実現した結果なんですよ、きっと。
 全体的にビデオ撮りっぽい感じで映画というよりはVシネっぽい印象は拭えない。ラストの「東映ビデオ」の表記が止めを刺す。
 
 アクションは良かったです。タイ辺りを意識しているようで派手さには欠けるけど肝心なシーンはスローで見せてくれたりしてサービス満タン。それだけにドラマのほうが実に惜しい。
 
 さて、上映が終わった後はトークショー、主演の武田梨奈、菜月役の飛松陽菜、敵の幹部で木刀使いだった横山一敏、脚本・アクション監督の西冬彦の4氏が来場。梨奈ちゃんは以前エキストラで見たときより近くで見れた!(調子に乗って前から2番目の席で見ました)
 実際にアクションを披露してもらうとやはりそこは本物だけあってキレがある。飛松陽菜ちゃんも劇中より実物はさらに幼い感じなのに蹴りとか感心しきりだった。
 どうやら写真OKだったらしいのだけど僕は取るチャンスを逃してしまった。
 全体的に残念な映画だとは思うが武田梨奈ちゃんがかっこよく可愛く撮れているという意味ではいいですよ。
 


 関係ないが隣の席に座ったおっさんが上映開始直後に爆睡してしまい少しいびきがうるさかったのだが、上映終了後のトークショーでは前のめりになってかなりノリノリであった!