とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

超小型USB-C SSDをカメラの外部記録メディアとして使ってみた HIKSEMI SYNC C PRO

さて、前回変なエントリを書いたので通常運転に戻ります。
ちょっと試したいものがXのポストで見かけたので早速人柱になってみました。
何のことかというと、けまさんのポストのコレ

要は超絶小さいSSDです。(ハイクセミは信頼あるHIKVISIONのブランドなはずなので、悪い製品ではないものなはずです)
以前にも小さいSSDってのはバッファローから発売されていて下記のポストをしたことがあります。もう一年以上前の話です。

でもこれUSB-Cタイプじゃないので、カメラにつけるにしても結局大きくなる。もっと小さいのないかなぁと、Amazonやアリエクを定期的に探すも見当たらずでした。で、USB-Cタイプの超小型SSDを目にしたのはこれが初めて。(けまさんのこの手のガジェット情報のアンテナってどうなってるんだ。。。)

高速超小型SSDがあればカメラの外部記録やスマホにピッタリじゃね?

ご存知の方も少ないかもしれませんが、LUMIX S5IIX/GH6/GH7/G9PROIIはUSBを介して外部記録が可能です。特にS5IIXとG9PROIIに関してはデュアルSDスロットなので、4KProResフォーマットはその高いビットレートから外部SSD記録でのみ可能な記録方式です。GH7/GH6に関しては高速なCFexpressスロットを備えているので内部での4K ProRes記録が可能です。さらにGH7は内部でのProResRAW記録も可能。
一般的には外部SSD記録としてSamsungのT5/T7あたりを使う人が多いと思いますが、SANDISKのポータブルSSDを好んで使う人も多いかと思います。
でも。。。。ケーブルが邪魔。。。
そう、ケーブルは必要だし、本体も小さいとは言え、何らかの方法でカメラにマウントしてあげないといけません。なので、リグを組んだ場合には使いはしますが、ずっと超小型のUSB-Cで挿せるSSDが出ないかなぁと思っていたのでした。

外部SSD記録できるカメラとメディアコスト

外部SSD記録できるカメラとして有名なのはSIGMA fpやBlackmagic DesignのBMPCCでしょう。いずれの機種でもRAW動画を撮影する際にはSamsung T5にお世話になってきました。前述の様に今のLUMIXの場合、上位機種に関しては外部SSD記録ができるようになっています。それ以外のミラーレスカメラでは外部SSD記録ができるという話は聞いたことがないです。これら機種で外部SSDを使うメリットはSDよりも高いビットレートの高画質記録が可能である点ともう一つあります。それはメディアの単価が安いと言う点です。例えば、SDの最高速V90メディアの値段は256GBで2万円を軽く超えます。実際は3万円近い。。。
SSD記録はバックアップ記録できないですが、256GBで今現在4980円。V90に近い速度が速度が出せるなら圧倒的に安い。欲を言えばこのサイズ感で512GB版がほしいけど。

早速ポチった

で、ソッコーでポチってみました。256GBの方で4980円。もちろん高速なSSDでは無いので、LUMIXの高ビットレート設定でちゃんと使えるとは思っていません。そもそも最大速度なんてのは動画撮影においてあまり意味をなさないからです。動画撮影において必要なのは最低速度保証の値なので、400MB/sが出るからといってGH6/7/G9PROIIやS5IIXの外部SSDに使えるかどうかの保証は全くありません。それに、もしだめだったらTVに挿して録画用途に使うとか、MacBookの拡張容量にするとか、GooglePixelに挿して使うとかいくらでも使い道があるので、とりあえず容量の大きい方を選択。

超絶小さい。。。スマホに挿してもこの収まり感は良い(Google Pixel 9 Proにて動作確認済み)

G9PROIIに装着

で、早速本命のG9PROIIにつけてみます。ぷすっ!

おお!!!これよコレ。私が求めていたコンパクトサイズ。
背面液晶の可動域は狭くなりますが、ローアングル撮影では全く問題ない程度に収まります。
設定ですが、まず儀式として、スパナマークからUSB-SSDをONにします。

ONにすると未フォーマットなので「USB-SSDエラー フォーマットしますか?」の表示になるので「はい」を選択します。

どのフォーマット(コーデック)まで使えるのか?

G9PROIIには超絶高いビットレートの5.7K ProRes422HQフォーマット 1.9Gbpsがありますが、流石にこれはダメ元でRECを開始しました。

REC開始45秒。。。意外と行けている。。いけちゃうのか?????

と思ったら案の定、その直後に速度不足で停止。まぁ、予想できたことですが。。。
そもそもこのSSDの書き込み速度はスペック上は最大400MB/s (Readは450MB/s)つまり3.2Gbpsが最大書き込み速度ですが、それはあくまで最大の話。少しでも速度低下があれば今回の様に停止します。

とりあえず、実験的にいくつかのフォーマットで記録停止までの時間を測ってみました。被写体は映してませんが、ProResはビットレート固定のコーデックなので被写体は記録時間(停止時間)に依存しないものとして実験しています。
ProRes 5.7K 30p 422 HQ(1.9Gbps):45秒で停止
ProRes 5.7K 30p 422(1.3Gbps): 36秒で停止
ProRes 5.7K 24p 422(1Gbps): 114秒で停止
ProRes C4K 30p 422(648Mbps): SSD容量が無くなるまで記録成功
ProRes C4K 24p 422 HQ(778Mbps): SSD容量が無くなるまで記録成功

Blackmagicdesign Disk Speed Testと独自計測の結果

Blackmagicdesign Disk Speed Testの結果は下記になります。何回か回した後にスクショを取得しています。実は一発目の計測の初期段階は確かに400MB/sを超える書き込み速度が出ていました。が、書き込みを進めるにつれて速度が低下していきました。

テストデータの5GBを書き切る直前までは3.2Gbps(400MB/s)を超えるレートで非常に速いが...

最終的な平均時間は1.2Gbps程度まで落ち込みました。ちなみにBlackmagicdesignのDisk Speed Testは瞬間的な速度の落ち込みを評価するのにはあまり向きません。
なので、ちょっとスクリプトを書いて書き込み速度を詳細に計測してみました。その結果が下記です。書き込みデータは50GBのデータを連続書き込みしました。

上のグラフは1秒毎に書き込みされるデータ量を可視化したものです。わかりにくいので少し範囲を狭めてみます。

確かに書き込みの最高速は400MB/sに迫る数値が確認できますが、速度の落ち込みが激しいことがわかります。書き込みが完了するまでの平均速度は115MB/s(922Mbps)です。速度の落ち込みは長い時で10秒程度。
PCとカメラの書き込み速度が一致するとは限りませんが、高ビットレートの書き込みでこの速度低下が発生しカメラのバッファが枯渇する様でしたら当然RECが止まることになります。
この速度低下の理由はSSDのバッファが貧弱と言うのと、熱による速度低下があると思いますが、いずれにせよ1Gbpsを超えるビットレートのコーデックには使えないと言えるでしょう。
まぁ、これある意味ProRes C4K 30p 422(648Mbps)は安定して書き込みできそうなので、「意味はある」と言えます。また、短時間であればProRes 5.7K 30p 422 HQも記録は可能なので俺はワンカット10秒くらいしか撮らないぜって方には、良い製品なのかもしれません。とにかく、小さくて撮影の邪魔にならず挿すだけ。と言うSSDが出てきたことは喜ばしいことです。まだ撮影現場で実戦投入してないので648Mbpsで完璧に記録できる保証はないですので自己責任で使ってください。
無論、速度の必要ない使い方だったら、これだけ小さなSSDも今現在他に存在しないと思うので本製品は検討の余地があると思います(耐久性、信頼性はまだ評価できてませんが)。一応Google Pixel 9 Pro(+ Blackmagic Cameraで録画可能を確認)や普通にPCで使うのもよいかなと。ちなみにAlliexpressよりも日本のAmazonの方が安いという謎。

AlliexpressよりもAmazon Japanの方が安い。。Amazonは4980円でした。

小さいのでPCに差しっぱなしでも気にならないのが良い(超高速じゃないけど十分使える速度なのも良い)

ちなみに、システムプロファイルを見る限りインターフェースは5Gbps(USB 3.2 Gen1)接続ですが、もともと450MB/s(3.6Gbps)が上限と謳っているストレージなのでインターフェースが律速することは無いですね。

ついでに参考記事

Amazonのサイトを見ると普通に容量偽装品や、どう考えても使い物にならない製品が販売されています。特に外付けSSDはかなり怪しい分野で、よくブログやYoutubeのネタになっています。以前、以下の記事にも書いた通り8TBで7000円とか、30TBで1万円とかは少なくとも今現在はありえない値段なのでSSDを選ぶ場合は注意しましょう。

SIGMA fpでの検証結果

友人の照山さんがSIGMA fpでの検証されてました。

SIGMA fpの12bit DNG記録は2000Mbps(250MB/s)に耐えるSSDが必要なので、今回のSSDの実験結果の平均922Mbps(115MB/s)は当然記録に耐えられるものではないですが、相性的にワンチャンそこそこいけるかも?と言う期待もゼロではありませんでした。が、結果的に一回目はそこそこ回るものの、2回目以降は即停止と言う残念な結果の様です。2回目以降は熱による影響なのか、fp側のバッファの解放がまだ終わっていないかどちらかわかりませんが、後者なら30秒ほど時間を置けば復活するのかも?
ここで、ふと思ったのですが。。。SIGMA fpって1670MbpsをSD記録してもOKな「マジか!」と言う仕様の様です(LUMIXは700Mbps以上のコーデックはSDに記録させない仕様)。でも結局12bitのUHDはSDカードで記録できないので、これで記録できたらいいよねぇ。

すでにコメントでいただいた、以下のLexar GOを使うともしかしたら行けるかもしれません。こちらは1TBで2万円程度。HIKSEMI SYNC C PROよりは大きく値段は高いですが、SAMSUNG T5よりも小さい。カメラに直差しするにはちょっと不安な形状なのですが、もしかするとfpの最適解はこちらかもしれません。ただ、端子形状からしてささらない可能性もあるので誰か人柱になりませんか?

自己紹介
筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人

2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。

 

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