とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ

ビデオグラファーsumizoonのブログ 一眼動画に関する機材や撮影方法を中心に情報を発信していきます。

LUMIX S9でイルミネーションの動画を撮るレンズと設定

個人的にも動画ってどうやって撮ったらいいの?という質問を受けることがありますが、今回は私なりの撮影方法について紹介したいと思います。

というか、そんな大層なものではありません。

こんな感じで撮ればこうなるよ。程度に考えてください。難しく無いです。

ちなみに、先日訳あって帰省した際に仙台の定禅寺通りで行われているSENDAI光のページェントで撮影した動画です。撮影時間は1時間ほど。素材としては合計20分ほどだと思います。

仙台の友人(というか仙台の巨匠だわな。。)のMakotoさんに仙台いるけどちょっとだけ話しつつ撮りに行かない?と連絡したら行くよ〜ってことになりしばし一緒に撮影しました。

で私が撮った映像を編集したものが下記。

youtu.be

ちなみに一緒に撮影に同行していたMakotoさんは過去にこんな映像とか撮ってるセンス抜群のお方。私の映像を同じページに並べるのが恥ずかしいところです。。。。チャンネル登録しておくと今年の映像がアップされると思います。

※なお、本記事にはアフィリエイトリンクを含んでいます。

使用したカメラ(LUMIX S9)

タイトルにも記載した通り撮影に使用したカメラはLUMIX S9です。フルサイズの中でもトップレベルに小さいこのカメラ。手ブレ補正性能が他のメーカーのカメラよりも圧倒的に優れている点から、人混みの中でも非常に楽に映像が撮れるという利点があります。

LUMIX S9のPanasonicの公式ストア販売リンク

以前書いた以下のビデオサロンの記事(VIDEO SALON 2024年8月号掲載)をご覧いただくと本カメラの高い動画性能に関して理解いただけるかと思います。

videosalon.jp

その際に制作した映像がこちらです。

メカシャッターやEVF、ホットシューを非搭載にする代わりにフルサイズとは思えないサイズを実現しています。動画画質は定評のあるS5IIと同等ですが、AFなどの動画性能に関してはLUMIX S5II以上の性能を有しているカメラです。

撮影に使用したレンズ

今回の撮影で使用したレンズは下記の2本です。

・50mm F2 DG DN | Contemporary

・LUMIX S 14-28mm F4-5.6 MACRO

というか、たまたま帰省するのに持って行ってたレンズがコレだけだったというのもありますが、結果的にこの2本だけで十分でした。この手のイルミネーションを撮る場合はボケを多用した方が印象的な映像が撮りやすい標準域の明るい単焦点が一本と、ワイドが撮れるレンズが一本あればそれなりの映像は簡単に撮れると思います。

例えば、

・LUMIX S 50mm F1.8

・LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 もしくは LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3
の2本でもOKです。

LUMIX S9での動画設定

撮影モード

さて、今回はLUMIX S9を使ったイルミネーション動画をどう撮るかについての話なので、まずは設定について説明したいと思います。

まず私が撮影したモードは大きく分けて3つです。

東日本の場合

①4K30p (マニュアル露出モード シャッタースピード:1/50  ISO:2000:絞り開放)

②4K60p (マニュアル露出モード シャッタースピード:1/100 ISO:4000:絞り開放)

③FHD120p (マニュアル露出モード シャッタースピード:1/125 ISO:4000:絞り開放)

西日本の場合

①4K30p (マニュアル露出モード シャッタースピード:1/30  ISO:2000:絞り開放)

②4K60p (マニュアル露出モード シャッタースピード:1/60 ISO:4000:絞り開放)

③FHD120p (マニュアル露出モード シャッタースピード:1/125 ISO:4000:絞り開放)

撮影したのは仙台ですので前者の東日本のシャッタースピードのセオリーに則って設定します。

 

絞りは明るさに応じて絞ってもいいのですが、夜のイルミネーションの場合、これくらいでも白飛びしないと思います。

マニュアル露出モードが難しければプログラムモードでも良いと思いますが、フリッカーと呼ばれるチラチラを避けたいのであればこれらを守ったほうが吉です。なお③の120pの場合は東日本の場合は光源によってはどうやってもフリッカーは避けられないと思います。(なので、フリッカーが出ても気にしない方がいいかもです。後処理で消す方法もありますが)

実は①、②、③をワンアクションで切り替えて撮影する方法(カスタムダイヤルC1/C2/C3-1に設定をそれぞれ振る方法)があってその方法を使って効率よく撮影したのですが、今回はメインに設定した②について動画撮影の初中級者向けの設定を解説します。

モードダイヤル

設定をするにあたってモードダイヤルは下記の「クリエイティブ動画モード」に設定をして進めます。撮影もこのモードで行うことになります。

ではMENU/SETボタンを押して次からの設定をしていきます。

画質設定(露出・フォトスタイル・記録方式)

まず、画質設定ですが、動画露出設定はM(マニュアル)、フォトスタイルはCineLikeD2に設定します。前述の作例はV-Logで撮影しましたが、カラーグレーディングに馴染みのない方は迷わず「CineLikeD2」にした方が無難です。

 

さらに記録の項目で記録ファイル形式をMOVにした上で動画画質を4K60p 422もしくは4K60p420 10bitに設定します。

ただし、この記録画質は編集時にPCの負荷が高いので、非力なマシンをお使いの方は下記のようにFHD60pで撮影するのが良いかと思います。

また、FHDの場合は動画撮影をFULLと1.5倍に望遠になるAPS-C記録が選択できます。

 

ホワイトバランス設定

ホワイトバランスはイルミネーションを撮影する場合には結構悩ましい設定です。というのも、夜景は電球色で撮影することが私は多いのですが、今回のような暖色系のイルミネーションを撮影する場合、電球に設定するとかなり寒色系の色になるのです。なので「暖かい色味」にしたいという場合はちょっとやりすぎなのですが「太陽光」に設定して撮影を行いました。

ホワイトバランスは背面ダイヤルの右(WB)を押すことで設定できます。

手ブレ補正設定

LUMIX S9の動画の手ブレ補正の設定幅はかなりあるのですが、3つのケースに分けて説明します。

歩き撮りしない場合かつカメラワークをしたい場合(しっかりカメラを構えられる人向き)

手ブレ補正の設定はブレを止める自信がある方は下記の電子手振れ補正をしない設定で良いかと思います。

 

歩き撮りしない場合かつカメラワークをしない場合(ビタ止まり撮影)

また、カメラを振らずに三脚固定したかの様な撮影をする場合は手ブレ補正ブーストをONにします。

ただし、左右にパンしたり、上下にチルトするようなカメラワークを使う場合は手ブレ補正ブーストの設定はOFFのままの方が良いです。カメラをしっかり構えるなら電子手ブレ補正は必要ないです。

歩き撮りする場合

歩き撮りをするなら電子手ブレ補正(動画)をONした方が良いです。ただし、画角は狭くなりますのでご注意ください。設定には「標準」と「強」がありますが、強烈な手ブレ補正効果が得られる「強」は今回のような映像には不要かと思います。

 

撮影する

さてここまで設定できたらあとは露出です。実際に被写体にカメラを向けて設定をします。まず①のシャッタースピードですが、これは地域によって違います※。
②の絞りですが単純にボケを多用したい場合は数値を小さく、多用したくない場合は数値を大きくしますが、今回は夜景が被写体なので(露出を稼ぐためにも)数値は小さい方が良いです。(ただし、この数値がどこまで小さくできるのかはレンズによって異なります。それが開放F値というやつですが、ズームレンズは大口径ズームレンズであればF2.8ですが、普通のレンズであればF4やF5.6あたりが開放F値になるレンズが多いです。)

 

 

最後に③のISO感度ですが、これはISO感度の左に表示されている露出計を見ながら設定を決めます。±0が標準露出ですが、夜景の場合はこの数値は少し大きい方がぱっと見で綺麗に見えます。私は+1程度にするケースも多いです。

 

※補足:シャッタースピードと地域

https://jp.sharp/

撮影に関して

さて、実際の撮影ですが、いつもイルミネーションを撮る時に思うところがあります。それは。。。

イルミネーションそのものにピントを合わせて動画をとると
なんかイマイチ

という点です。ここで言いたいのはその事と私なりの撮り方に関してです。

もちろんイルミネーションの光源に合わせて撮影しても何ら問題はないのですが、そもそも光源にピントを合わせるとボケがないため光源が非常に貧相に見える傾向にあるのです。(ソフトフィルターやミストフィルタを使って印象的に見せる方法もありますが)

例を見てみます。同じ場所から撮影した2つのカットですが、どちらが印象的に見えるでしょうか?

光源にピントを合わせた場合

手前にピントを合わせた場合

無論、どう見せたいかは人それぞれではありますが、イルミネーションの場合、手前に何らかの被写体があって背景がボケた中に光源があるという撮影をするとより光源が強調されて映るのです。ずっとこの手のカットだけだと飽きますが、逆にイルミネーションばかりにピントを合わせたカットが連続しても結構飽きるものです。

なので、動画撮影をする場合はイルミネーションをボケに使うということも視野に入れて撮影をしてみるのがいいと思います。

イルミネーションい夢中になると、そこにばかりフォーカスを当てがちですが、少し周りをみてその場の雰囲気を作っている被写体にフォーカス当てるという撮影をしています。

というわけで、世間はイルミネーションのシーズン真っ只中。私のこの記事が役に立つかどうかは正直わかりませんが、私なりの解説をしてみました。

実は編集編も書こうと思いましたが、ここで力尽きました。。。実際にやったことは60pを24pの編集フォーマットで40%に速度を落とすということがメインなので大したことはやってませんが、リクエストがあれば書きたいと思います。

 

ではでは
仙台のイルミネーションがやっぱり一番好きだなと。

 

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自己紹介

筆者:SUMIZOON
Facebookグループ一眼動画部主宰
Youtubeチャンネル STUDIO SUMIZOON の人

2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行うビデオグラファー。機材メーカーへの映像提供や映像関係メディアでレビュー執筆等を行う。Youtubeチャンネル「STUDIO SUMIZOON」登録者は1.4万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰。「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。

 

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