口から出まかせ日記【表】

こんな寒かったっけ冬

性格は水面のように。

 

たまーに、たまに、「ほしさんの性格はよく分からないですね」みたいなことを言われます。言い方は人それぞれで、「ほしさんは不思議ですね」とか、「ほしさんは面白いですね」とか、微妙なオブラートの包み加減があるわけです。まあ、それを言われた私も微妙なので、「え、どういうことですか」と毎回聞き返すことになります。


すると、「いやまぁ、ほしさんは特別明るいってわけじゃないんですが、別に暗いってわけでもないし、うーん、まあ、ははは、あはははは」みたいな、これまた微妙な回答ではぐらかされてしまのです。納得がいかないので、「いやいや、明るくも暗くもないんだったら、普通なんじゃないですか」と詰め寄ると、急に相手が真顔になり、「いや、普通じゃないと思いますよ」と言われてしまい、半日ぐらいは神妙な空気が漂います。


最近は自分の性格に興味が無くなってきました。20代前半ぐらいまでは、他の人と比べたりして、けっこうクヨクヨしていた気がします。まだ学生でしたし、30人ぐらいのグループで同じ場所に毎日集まったりなんだりしていると、その中での尺度で自分を見出すのが日常になってしまいがちでした。時間も有り余っていたし、悩むヒマもあったんでしょう。


性格の事で悩んでいた当時から、「人の性格って明るいとか暗いとかじゃないよなぁ」と思ってきました。それは、人を明るいとか暗いとかで評価を二分する人が大嫌いだったので、なんとかそう考えたいという「願い」みたいなものでした。しかし、これをさらに理論武装でもして、きっちりとした主義として主張するほどの才能が自分には無く、安い酒を飲みながら、ひたすらモヤモヤしているしかありませんでした。

 

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それから10年以上たって、今はどうなのかというと、自分にも他人の性格にも、あまり比重を置かなくなったせいもあり、正直どうでもよくなってきましたが、それでも人の性格は明暗で表現できるものじゃないと思います。自分も含めて人生が進展し、それぞれがそれぞれの事情を抱えて複雑化しているので、その人を単なる主観で勝手に眺めて、明暗で表現すること自体、ある種の迂闊さを表現しているように感じられます。


あと、性格は明るさや暗さで表現できないけれど、多少の「濁り」みたいなものはあるような。これは、それなりに長く関係がある人に対して勘づく事ですが、「あれ、今日はなんとなく変だな」と思うことがあります。いつもの印象とは違う印象が散らばっていて、なんとなく精彩を欠いている感じがするような。


そんな時、その人の中で沈殿していたものが浮いてきたんだなと私は考えます。原因はともかく、底に沈んでいた滓が浮かんできて、その人の印象に加えられるから、いつもと比べれば違和感を伴う。でも時間がたてば、その滓も少しずつ沈んでいき、再びその人らしい、澄んだ性格に戻っていく。それは性格が明るいとか暗いではなく、それぞれの色に戻るという事ですね。


考えてみれば、人体の80%は水分でできているんですから、人はみんな水たまりなんですよね。その水たまりがどんな色をしているか、なにが沈んでいるか、それぞれ違う。風が吹けば波紋がなびき、寒すぎると凍ってしまう。そんな自然現象そのものだと考えれば、根本的に人に対しての受け止め方が変えられるんじゃないかと思うんですが、私もまだまだ修行が足りません。


Enya - (1988) Watermark - 01 Watermark

たまに思い出したようにエンヤを聴く。