ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

『英国レディの世界』(『英国レディになる方法』改題版)

先日、お昼休みにふと書店に立ち寄ったところ、『英国レディの世界』というタイトルの本を見つけ、驚きました。明らかに『英国メイドの世界』を意識したタイトル付けだと思ったからです。思わず微笑しました。



図説 英国レディの世界 (ふくろうの本/世界の文化)

図説 英国レディの世界 (ふくろうの本/世界の文化)





英国メイドの世界

英国メイドの世界





実際に手にとって中身を見ると、見覚えのある本でした。2004年に刊行し、今は絶版している?『英国レディになる方法』の改題版だったのです。確か同書はハードカバーで若干、通常の河出書房新社の図説シリーズよりも高かった記憶がありますが、今回はソフトカバーで値段も通常のモノになったようです。



英国レディになる方法

英国レディになる方法





同書は絶版して久しかったかもしれませんので、関心のある方は是非、今回の改題版を。また、『英国レディの世界』は「メイドを雇用した令嬢たちの在り方」を示しており、令嬢たちに雇用されたメイドを扱った『英国メイドの世界』とは対を成しますので、どちらも揃えていただくと楽しみも広がると思います。



英語タイトルも多分、『英国メイド』を意識してと思いますが、"The World Upstairs in the Victorian Household"と、これまでなかった「upstairs」(主人たち雇用主階級を指す言葉。使用人階級は「downstairs」)の文字が入っています。



いずれにせよ、この本が「メイド」のいる時代を意識して再度販売されるということは、19世紀英国あたりへの関心が高まっている一例ともいえるでしょう。ここ数年は執事ブームもあります。



私が調べたところ、執事ブーム関連の書籍では読者が執事に仕えられても恥ずかしくないよう、「お嬢様・令嬢」としてのマナーを教えるコンテンツが見られます。なので、その原型としての「英国レディ」を知る機会として、面白い一冊です。



あと、村上リコさんも近々、図版を多く使った初の単著を出すとのことです。狭い領域なので被らず、相互に補っていきつつ、読者層を広げていけるインフラが増えていくとといいなぁと思います。