人とか機械とか

デジタルガジェットやコンピュータについてのブログです。

シュレーディンガーのエコ

東京ホタル
http://tokyo-hotaru.jp/index.html

天の川プロジェクト
http://amanogawa-project.com/

去る2012年5月6日、スカイツリーのライトアップと一緒に隅田川にLEDライトを浮かべる「東京ホタル」が開催されたのでいつものオッサンと写真撮影に行った。

「天の川プロジェクト」という、川にライトを流すプロジェクトをあちこちでやっているそうです。LEDライトというのは具体的には、丸い防水のボール状で、日光をあてソーラーパネルで内蔵リチウム電池に充電し、水へ浮かべると光るというもの。

なんというか、エコっぽい技術を使っているから一見エコっぽいのだけども、流したあと回収して再利用するということは、洗浄をしたりするし、製造コストは?!とか、充電するときに晴れたところに並べて充電する人件費は?とか無粋な疑問が浮かんでしまった。こんなロマンチックな場面でそんなこと考えてるから(いちおう)理系なんだなあと思う。

それは本当にエコなのか?ということを検証するのって、それはとっても難しいことだなって。というお話。

(疑問を投げっぱなしにするだけで、あんまり解決ができてない記事です)


IvyBridge

Intelは三次元トランジスタ構造の22nmプロセスのIvyBridgeを発売した。消費電力を低減した。では、その開発に費やしたエネルギーと、低減したぶんのエネルギーとを足し引きして、その結果本当に省エネになるのか?というのが究極的な命題といえる。
しかも、本当にエコなのかどうかを検証すること自体にもエネルギーコストがかかる。だから「シュレディンガーのエコ」みたいな感じで、神のみぞ知る世界になるよねこの場合は。だいたいの推測はできるから、それで十分かも知れないけど。


例えば従来よりも性能が高くて単位時間あたりの消費電力も増えたCPUがあったとする。そんな重い処理をしない人は敬遠するかもしれないが。だがよく考えて欲しい。消費電力とは、電力に時間を掛けたものであり、下記のグラフの面積のことである。

性能が高いということは同じ処理を短時間で終了することができるわけなので、つまり、単純に単位時間あたりの消費電力だけで総合的な消費電力量を評価することはできないと言える。これはCPUだけでなく、たとえばUSB2.0とUSB3.0とで同じデータをコピーするのに必要な時間と消費電力、という関係性にも成立する。



ググるときの消費電力


Googleの電力使用量は2億6000万ワット! 米国の某都市を超えます。さて、どこの都市でしょう?
http://www.gizmodo.jp/2011/09/googlegreeeeen.html

Google検索100件は、60ワットの電球を28分間点灯させるのに等しい電力を使用します。1Googleユーザーの1ヶ月のサーバー使用で60ワットの電球3時間分に等しい電力を使用します。

しかし、いかに電力を使用しようともGoogle、インターネットの活躍でエネルギーの消費量が減っていると考えることもできます。例えば3日間のYouTubeストリーミングは、1枚のDVDを生産して家まで届けるエネルギーとほぼ同じです。

けっこう電気を食ってるみたいです。しかし、Googleで路線を検索することにより無駄な電車に乗ることを避けられることよにり、もし仮にムダに載ってしまっていた電車のモーター駆動や空調にかかる電力消費や、乗り換えるときのエレベータとか、タクシーを使った場合のガソリンとか、そういったエネルギー消費を回避できているかも知れません。できてないかも知れませんが。



いろいろ

蛍光灯は点灯するときに多めの電力を消費するから、節電のために消灯するのは逆効果?

みたいな提案があって、なんかのテレビ番組で検証したところ、20秒以上消すなら省エネになる。みたいな結果が出ていた。細かいことをいうと、インバータかどうか、スターターの性能、何ワットの蛍光灯か、とかあると思うけど。

たとえば30分くらい席を離れるからといって使わないパソコンをシャットダウンして

戻ってきてから起動したとする。しかしパソコンというのは起動するときに電力を多めに食う。なぜならHDDもCPUもフル回転するから。じゃあ何分間消しているなら省電力なのだろうか?それはパソコン次第だろう。

人感センサを内蔵しているLED電球がある。

人が通ると点灯し、いなくなると消灯する。でも人感センサを動かす電力消費もあるよね。たぶんそれは、「1日にn回以上そこを通れば省エネになる」みたいな検証結果になると思う。また、省エネのほかに、スイッチに触らなくて良くなるという付加価値がある。
「マニュアル操作における消し忘れによる無駄な電力消費」と、人感センサの消費電力 [マイナス] マニュアルと比較して削減できた無駄な点灯による電力 を比較して、後者のほうが小さいなら省エネといえる。 エコワットとかでチェックすればいいかも。

人感センサーLED電球の選び方 http://homepage1.nifty.com/samito/LED.sensor.htm

株価みたいなもので、

プラス要素とマイナス要素が複雑に絡んでいて、結果的にプラスなのかマイナスなのか。それが重要になる。たとえばperfumeがライブで電力を食いまくっても、そのライブで省エネを訴えて、観客3万人がそのライブの消費電力以上の節電効果を出したなら結果オーライなわけです。しかしそれを検証するのは難しいですが。
検証できないエコは、ただのエゴである可能性がある。しかし、もしかすると人類が検証できないだけであって、実はエコな可能性もあります。どちらにしろ、それはシュレーディンガーのエコなわけです。



買ってはいけない


この指摘は難癖付けているだけの嫌がらせのような印象を受けられる方もいらっしゃると思いますが、そうではありません。たとえば昨今の道具はデジタル化・モバイル化し、バッテリ駆動になりました。バッテリの寿命を長くするために色々な節電メカニズムを備えています。

たとえば、ものすごくこまめに「使わない回路の電源をOFFするプログラム」を走らせたとします。それによって節電効果が期待されます。しかし電流計で測ったところ、消費電力は減っていませんでした。なぜなら、プログラムをあまりにも細かく動かすためにCPUが眠れなくなったから。回路を遮断して節約できるエネルギー量は、その制御を行うのに必要なCPUのエネルギー量を凌駕しなかったわけです。
わけがわからないよ。

実際、技術的な現場ではそんなオチがあったりします。木を見て森を見ず。トータルで節電できていなければ本末転倒です。発注者(消費者)はその「うそ節電プログラム」を発注するのにかかったコストがムダになり、受注した人間(生産者)がトクをするだけですね。(暗黒微笑)

商人の視点からするなら、本当にエコかどうかなんてどうでもいいわけです。売れればいいんだから。


本当に省エネっぽいもの


wikipediaの精神のように、「トータルエネルギーコストの検証可能性」を持ったエコロジーシステムが、不特定の第三者によってその省エネルギー性能を低コストな検証法によって裏づけられる場合に、「確からしい」真のエコロジーシステムと呼べるのかも知れません。

たとえば倉庫なんかの照明を、電気照明をはずしてダクトによる太陽光照明に変えて、電気代が減ったという事例があるそうです。これは検証が簡単だからエコだとおもう(たぶん)。だってランニングコストがゼロになるから。まあ定期的に掃除が必要だとは思いますが。

エネルギーを変換するときにロスが生じるのだから、変換せずに自然エネルギーをそのままの形で使うのがもっとも効率が良いといえる。そのひとつの例が、太陽光をそのまま屋内照明にすることだ。あとは太陽熱でお湯を沸かすとか。温泉なんかもエネルギーそのまま利用していますね。