「AV出演を強要される被害」など被害とみなさない自民党と池田信夫

「AV出演を強要される被害が続出~ 女子大生が続々食い物になっています。安易に勧誘にのらず早めに相談を」という記事があります。

好奇心で話を聞きに行き、タレント事務所に所属することになり、契約にあたってその条項にAVもOK等と言う項目がついてくることがあります。しかし、有名になるために少しだけならAVも大丈夫、などとサインすると、後々とんでもないことになります。
やめたくてもやめられず、意に反してAVに出演し続け、ほとんどお金ももらえない被害が相次いでいます。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20140816-00038321/

騙されてAV出演を強要され、事実上の強姦・性搾取をされるという人権侵害というか、犯罪行為そのものですね。伊藤和子弁護士がこの記事で指摘していることはもっともです*1。

2011年、未だ高校生であったKさんはX社にスカウトされ、「営業委託契約」なるものをすぐに締結させられてしまいます。
3か月後にはわいせつなビデオの撮影が行われ、とても嫌で屈辱的だったので、Kさんは「仕事をやめさせてほしい」とX社に懇願しました。
しかし、X社は「違約金がかかるぞ」と脅し、同様の撮影を強要します。撮影されたビデオは販売されたのに対価は全く支払われません。
Kさんが20歳になると、X社はいよいよ、AVの撮影を強要してきました。
Kさんが「嫌だ」というと今度は「ここでやめれば違約金は100万円」と脅され、泣く泣く1本だけAV出演させられました(AVの撮影・製造は他社であり、X社から派遣されました)。
そこで行われた撮影は本当にひどいもので数人の男性との性行為を強要されて、Kさんは心身共に傷つき体調も大変悪くなりました。
いよいよKさんは、「もうこれで終わりにしてほしい」と勇気を出して申し出ましたが、X社は、もう「違約金は1000万円にのぼる」と脅して拒絶(撮影前から撮影後、わずかの間に、100万円の違約金が1000万円にはねあがったわけです)。
「あと9本AVの撮影をしたら、違約金は発生しない」等と脅し続け、あと9本出演するよう執拗に要求しました。
困ったKさんは民間団体の支援を得て、「もう出演しない」と宣言するも、メールで脅したり、最寄り駅周辺や自宅まで多人数の男たちが押しかけ、出演を事実上強要しようとしました。Kさんはこうした強要に負けないことを決意。書面で「契約を解除します」と連絡をしました。すると、今度はX社は弁護士をたてて、違約金なんと2400万円以上を請求してきました。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20140816-00038321/

スカウトしたのはX社ですが、AVの撮影をした会社は別会社です。
従軍慰安婦問題で日本軍・政府には何の責任もないと主張する人たちは、もちろん、上記事件でAVを撮影した会社には何の責任もないと主張するでしょうね。

それどころかX社自体も高校生であったKさんを自宅から無理やり暴力で連れ去ったわけではなく、契約を結んだ上での要求です。自民党や池田信夫氏あたりに言わせれば、何の問題もない、こんなことで非難されるなど、いわれなき非難であり、X社の「名誉をしっかりと取り戻す」必要があるということになるでしょうね。

 朝日新聞は、第2次大戦中に、当時、日本の植民地だった朝鮮で数百人の若い女性を強制連行したなどとする男性の証言について虚偽だったと判断し、過去の記事の一部を取り消した。
(略)
 自民党・高市政調会長「私たちがやるべきことは、これから日本国の名誉をしっかりと取り戻すこと。海外に拡散した誤った情報をしっかりとただしていくこと」

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20140815-00000058-nnn-pol

自民党幹事長も、以下のように強制連行さえなければ問題ない、という見解を示していますね。

 「記事によって大勢の人が怒り、苦しみ、悲しんできた。日韓関係にも大きな影響を与えた。朝日は権威ある大新聞。訂正記事が載るまでみんな信じていた」
 自民党の石破茂幹事長は6日夜のBSフジの番組でこう述べ、国内外の信頼を踏みにじった朝日への落胆を隠さなかった。
 朝日に同情的な韓国メディアの報道ぶりに関しては「韓国にしてみれば日本を批判する大きな論拠が朝日の記事だった。それが『間違いでした』といわれ、一種のびっくり状態になっている」と話した。
 今後の対応については「国権の最高機関で議論が行われるのは当たり前だ。報道機関への弾圧という話でとらえてはならない」と述べ、国会で検証を行う可能性にも言及した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140809/plc14080907000002-n1.htm

日本では未成年女性に「営業委託契約」なるものを結ばせ違約金で脅してAV撮影を強いる行為が、与党自民党や著名な論者によって容認されているわけです。
もしこの件で海外から非難されたら、こう反論することになるでしょう。

「我が国の立場や努力をしっかり受け止めてほしい」と。

*1:ハーグ条約・片親疎外関連ではおかしな主張をする伊藤弁護士ですが、この件や他の人権事案では納得できる主張をしています。