ミニ特集:高齢者犯罪とダニング=クルーガー効果

【高齢者の運転とダニング=クルーガー効果】
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2017年8月18日
画像(アイキャッチ)を作ってみたhttps://t.co/u2b244gFfj
▶「自信過剰」は、脳機能の低下によっても発生する
▶「自分はどのくらいの自信をもっていていいのか」のチェック機能が、高齢期には逝ってしまいやすい pic.twitter.com/fuELMAtfZ9
”高齢者犯罪の増加は、日本では高齢になると生活の基盤が壊れやすい状況になっているということである。1990年代の後半以降、こうした現象が顕著となった。”https://t.co/kWle0Yh9Ix
— 科学に佇む読書心 (@endBooks) 2017年6月9日
『罪を犯した人を排除しないイタリアの挑戦 隔離から地域での自立支援へ』浜井浩一
”なかでも「ストーカー」は60代以上の行為者の増加が目立ち、13年度の認知件数が10年前の約4倍と、他の世代と比べても伸び率が著しい。” https://t.co/fC3u31s9SG
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2016年2月29日
🚓『老人たちの裏社会 万引き、暴行、ストーカー、売春…他人事ではない長寿社会のリアル』新郷由起
【受刑者 1300人に認知症傾向 60歳以上の13% 法務省推計】
■2016年1月 毎日新聞
2014年に刑務所に入所した2万1866人のうち65歳以上の高齢者は2283人(10・4%)。統計を取り始めた1991年は1・3%だったが初めて1割を超えた。
2014年末時点の受刑者に占める60歳以上の割合は10年前の1・60倍で、日本の総人口に占める60歳以上の割合の増加率(1・23倍)より高い。
「社会的要因」と「脳の故障」だ。
● ひとつめの「社会的要因」は、経済的な逆境感の強まり(貧窮)と、それにともなう絆(きずな 人間関係)の劣化。
経済的逆境感(貧しさ)が強まると、同時に、人々とのつながりも心理的に薄れていきやすく、いきおい、孤立スパイラルに陥りがちになる。
● もうひとつの、「脳の故障」の影響がどのくらい出てくるのかは、高齢期の認知症の増加割合を考えてもらえば、わかりやすいと思う。
”わが国における認知症の高齢者は、2012年には300万人を超えました。300万人ということは、65歳以上の1割が認知症を患っている計算になります。” https://t.co/CEPxnLr5z4 『完全図解 新しい認知症ケア 介護編』三好春樹
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2016年6月25日
■2013年5月 読売新聞
【認知症、高齢者の15%に 厚労省調査、85年から倍増】
■2014年4月 NHKニュース
【認知症で「はいかい」不明 1年で1万人】
国内の認知症の高齢者はおととしの時点で462万人、高齢者の15%に達すると推計
● 明らかな認知症とまではいかない、軽度の「脳の故障」を抱える高齢者の割合は、認知症の割合よりはるかに多くなる。故障した脳がしでかす不適切な判断の結果、犯罪行為をおかしてしまう事例も増えてくる。
※ 壊れていない脳の、健常な高齢者も多くいることは忘れないでね。
● さて、どんな脳の故障が、犯罪を増加させてしまうのか。
芦刈伊世子”前頭葉の中にある抑制系の神経細胞は加齢により自然死していきます。このため『キレる』というよりは『止められない』状態に近いのです。”📖 https://t.co/fC3u31s9SG
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2016年3月4日
🚓『老人たちの裏社会 万引き、暴行、ストーカー、売春…他人事ではない長寿社会のリアル』
”年齢とともに脳組織は失われていくが、それが始まるのは男性のほうが早いし失う量も多い。特に男性は思考や感覚をつかさどる前頭葉と側頭葉の減りかたが激しく、怒りっぽくなるなど人格が変わることがある” http://t.co/yijFIrMVAI 『脳と心の地形図』リタ・カーター
— 科学に佇む読書心 (@endBooks) 2013年8月30日
つまり、「こらえ性がなくなる」。
※ 壊れていない脳の、健常な高齢者も多くいることは忘れないでね。
● 脳の不具合を抱えた高齢者がしでかす暴走は、「我慢できない」系の細かい犯罪だけではない。
.。o O( ちなみに、数日前の某番組によれば、「自分は交通事故にあわない」という自信も60代を超えると急増するとのことでした。
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2016年2月29日
「自分の状態を客観的に把握する能力」が低下することと関係がありそうです。(ダニング=クルーガー効果)
.。o O( この某番組は確か朝のNHKだったと思うのですが、NHKのクローズアップ現代で2年前に同じグラフが紹介されていたようです。
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2016年2月29日
60代以上の「自信過剰の伸び具合」がすごいグラフをご覧いただけます。https://t.co/yuwF3kbCmW
┗ この『クローズアップ現代』は、「どうやって高齢者に運転免許を返上していただくか」の問題。運転し続けたい 〜高齢ドライバー事故の対策最前線〜
NHK クローズアップ現代 2014年7月8日放送
「自分は交通事故にあわない」と考える人の割合が 70代では50%を超える という異様なグラフがご覧いただける。(若い世代では20%もいかない)
自分の能力を過大評価して、運転を続けたがる高齢者。これはまさに文字通りの「暴走老人問題」なのであって。
その3年後、50%超どころではない数値の報告も相次ぐ。
特殊詐欺調査:「被害に遭わない」8割 高齢者ほど強く - 毎日新聞 https://t.co/Hzpub9UTZi
— カイト(左党靖) (@ryuryu444) 2017年3月27日
運転もそうだけど、年齢を経るほど自信に満ちるのは何故だろう?自分はまだ若いと思いながら、経験も豊かと良いとこ取りで考えがちなのか
【2017年8月 西日本新聞】
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2017年8月18日
75歳以上の高齢者に限れば「交通事故を起こさない自信がある」と回答した人が8割超https://t.co/quyx1QtRoP
人身事故件数が全国ワーストの佐賀県で調査
「以前の自分にはできた経験があるから、という感覚のままでいる」
というレベルのものだとみなしていると、事態を把握し損ねることになる。
● 「自信過剰」は、脳機能の劣化によっても発生するのだ。
wikipedia: 『ダニング=クルーガー効果とは、未熟あるいは能力の低い個人が、自らの容姿や発言・行動などを実際よりも高く評価してしまう認知バイアス。自己の「愚かしさ」を認識することのメタ認知(公正かつ冷静な振り返り)ができないことによって生じる』
— みゃー@ペンギン㌠ (@hinaichigo) 2016年1月25日
【できない脳ほど自信過剰】運転歴が長いほど運転への自信は高まります(実際に上手になるので当然です)が、初心者はかなり過信気味で、しかも他人の能力を見下す傾向があるそうです。今朝の『プロス1』誌より→ https://t.co/OBGPdz1cuF
— 池谷裕二 (@yuji_ikegaya) 2021年5月13日

「以前の自分にはできた経験がなくても」自分にはできると思い込みはじめる。
ここ重要。
● どんな「異常な自信過剰」が発生するのか。
▶ これまで一度も社会的に成功したことがなくても「まだ自分は社長になれる、あいつらとは器が違う」と周囲をさげすむ元ホームレスの70代男性。
▶ どこの現場も歓迎していないのに、無理して雇用してくれている恩人を「クソな仕事ばかりよこしやがって。いくらでも転職先はある」とディスる高次脳機能障害男性。
(どちらの事例もendBooksの身内に実在し、手に余る)
● そこまで、「事態を把握する機能」が逝ってしまう。
壊れた脳ってのはそういうことだ。
だからこそ、70代では「自分は交通事故にあわない」が50%を超えるという異様なグラフとなって現れる。
2016年12月 産経新聞 なぜ?自信過剰の高齢ドライバー 衝撃データ…老いるほど強気「自分は大丈夫」
加齢で上昇する幸福度 〜アメリカ
2016年12月 LiveScience Golden Years: Americans Get Happier in Older Age
「特に高齢者に過信傾向が強い理由は何だろうか。
理由の一つは、加齢のパラドックスとか幸福(ウェルビーイング) の逆説と呼ばれる、高齢者特有の心理状態である。
これは加齢に伴い老いが進行すると、能力や健康などが損なわれるにもかかわらず、高齢者の心理的、身体的な幸福感は維持されたり、かえって上昇したりするという現象のことをいう。」
松浦常夫『高齢ドライバーの安全心理学』
2016-03 BBC News Rise in wellbeing found in late 60s
イギリスの全国調査: 70代に近づくと、60代だったときより人生の満足度が増大すると出た。
高梨成子”風水害では50歳代以上の男性で、警報が出る中、田畑や川の見回りに出たり屋根補修中に転落・転倒する等の死亡例が多い。女性に比べ、警報等の情報を入手してから体力を過信したような状況判断や行動をするらしい。” http://t.co/WhyGZcWBul 『災害社会学入門』
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2015年9月9日
あと、これも関係あるかもしれない。
”見たことのある顔を「見たことがある」と正しく判断する能力は、成人と高齢者の能力はほとんど変わらなかったが、見たことのない顔を「見たことがある」と間違ってしまう例が高齢者に多く生じていた。”
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2016年9月19日
📋 https://t.co/azkue2vo9a
🚓『ケースで学ぶ犯罪心理学』越智啓太
【2024年2月 ノートルダム大学】
— 科学に佇む 当面積読📚 (@endBooks) 2024年2月15日
加齢で増えるお花畑記憶https://t.co/28ZhQ5C41L
高齢者の記憶に残りやすいのは「悪い知らせ」より「良い知らせ」
人間は若いうちはネガティブな情報に反応しやすいのだが、中年期から変わり始めるぞ
そうか政治家の記憶に残らないのは(ry https://t.co/KdmIBSt3Kg


● その高次な脳機能は、機能が繊細であるだけに、高齢期には逝ってしまいやすいのだ。
● とはいえ、学習能力が完全に逝っているわけではないので、周囲からのツッコミがそれなりにあれば、なんぼか事態は緩和される。
周囲からのツッコミがないと…
浜井浩一”最近では、高齢者が加害者にも被害者にもなっている。その背景にあるのは高齢者の孤立です。社会的に孤立することで、危険な判断や逸脱行動への抑制が働かなくなるのではないか。” https://t.co/ry5TgCLJbd
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2016年2月18日
『新・犯罪論 「犯罪減少社会」でこれからすべきこと』
このへんを踏まえない(孤立を放置する)設計の社会では、高齢者の暴走は顕在化するばかりとなる。
「走行距離あたりの事故は75歳を境に急上昇する。」
松浦常夫『高齢ドライバーの安全心理学』
キレているのは大人,とくに高齢者なんですな。 pic.twitter.com/qCx4ZsQzJ2
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2016年6月24日
【本川・社会実情データ図録】高齢化率の国際比較https://t.co/8IHDxafoUM
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2016年4月1日
▶194か国中、日本の高齢化率は圧倒的に世界一
▶ヨーロッパのイタリア、ドイツが2位、3位
いきなり仕事の話するね。
— BadApple!! (@BadApple_plus) 2017年11月7日
今勉強会で高齢者の危険運転対策で高齢者は保険料ドバッと上げますみたいな話聞いてるんだけど、これをやった先にあるのって保険料払えなくなった貧乏老人の無保険運転という最悪の最悪の最悪では?
以上、資料メモ置き場です。
※ この稿の骨子は2016年に記したもの。
当時はようやく「高齢者ドライバーの事故が多いぞ」と騒がれはじめた頃で、メディア上では「年をとっても昔の頃のままだと思ってしまうんですよね」という(実態調査無視の)解釈で沙汰されていたため、事態を確認させるべく【ダニング=クルーガー効果】を掲げて稿をまとめたしだい。
その後、2018年半ばに至ってようやくメディア上でも「高齢者の異常な自信グラフ」が共有されるようになった。
※ 壊れていない脳の、健常な高齢者も多くいることは忘れないでね。
定期的に思い出すコレ。できる限り抗いたいものです。 pic.twitter.com/dvFE1WlQTC
— 主夫まぬか (@syufumanuka) 2023年12月18日
”70歳(古希 こき)で一種の生き仏とみなされてから以降、人間から徐々に解放され始める。その際、老衰や物忘れは、人が神仏の世界に少しずつ再入していく印なのだとされた。” https://t.co/EiXn0ISQNt 『水子 中絶をめぐる日本文化の底流』ウィリアム・ラフルーア
— 科学に佇む一行読書心 (@endBooks) 2015年11月30日


