那覇市立の8図書館、ウイルス攻撃でシステム障害 貸し出し停止、復旧の見通し立たず


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図書館でのシステム障害について説明する那覇市教委の小嶺理生涯学習部長(右)と島袋元治中央図書館長=14日、那覇市役所

 那覇市教育委員会は14日、会見を開き、第三者がデータを暗号化して身代金を要求するウイルス(ランサムウェア)の攻撃に伴うシステム障害で、市立図書館8館で本の貸し出しを停止していると発表した。ウイルスの侵入経路は不明で、復旧の見通しは立っていない。

 >>より詳しく 【身代金要求「応じない」 那覇市の図書館がランサム被害、19万人分のアクセスが不能に>

 那覇市によると、ウイルスへの感染は13日朝、職員が図書館システムを起動できないことに気づいたことで発覚した。外部から暗号化されたのは利用者情報や蔵書などのデータで、図書館側がアクセスできない状態になっている。利用者情報(約19万人分)は氏名のほか、住所や連絡先などを含んでいるが図書館側で既に暗号化していたため、流出の可能性は少ないという。ただ、サーバー上に暗号化されていない長期返却延滞者の約500人分の氏名・年齢のリストがあったが、流出の有無についてははっきりしない。

 現在、システム管理業者などがデータ復元に取り組んでいる。復元が不可能な場合、データを破棄して図書や利用者の情報を全て再登録する必要が生じ、数カ月の休館を強いられる可能性もある。那覇市教委生涯学習部の小嶺理部長は「市民のみなさまにご不便、ご心配をおかけしていることをおわび申し上げる」と謝罪した。

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<用語>ランサムウエア=英語で身代金を意味する「ランサム」と「ソフトウエア」を組み合わせた造語。パソコンなどの端末や、ネットワークに接続された共有フォルダーなどにあるファイルを、利用者の意図に沿わず使用不能にしたり、画面ロックなどで操作不能にしたりする。それらの解除・復旧と引き替えに「身代金」を支払うよう促す脅迫メッセージを表示する。

(塚崎昇平)

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