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晴れ着、着られないの… 「二十歳の集い」目前、困惑や怒り広がる 袴や振り袖の衣装業者トラブル 代金払うも連絡途絶え 沖縄


晴れ着、着られないの… 「二十歳の集い」目前、困惑や怒り広がる 袴や振り袖の衣装業者トラブル 代金払うも連絡途絶え 沖縄 「二十歳の集い」の式典のために着用する袴を注文した男性(右)と、振り袖を注文した女性。11月に業者との連絡が途絶えた=11日、名護市
この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報社

 「仲間に申し訳ない」「楽しみにしていたのに許せない」―。来年1月に控える「二十歳の集い」の式典で着用する袴(はかま)や振り袖を購入したり、レンタル予約した、新たに20歳になる男女からは無念や怒りの声があふれ出る。

 代金は1人あたり5万~15万円程度。業者が管理する口座への振り込みや手渡しで代金の大半を支払っているが、契約書や領収書の発行はなく、11月初旬ごろから連絡が途絶えている。1月4日には伊江村で「二十歳を祝う集い」が予定されるなど、各地で式典の開催が迫る中、衣装を着られないのではと懸念が高まっている。 

 出身中学の同級生16人分の代金をまとめて支払う「幹事」役を担う名護市出身の男性(20)は、10月までに約70万円を振り込んだ。だが11月上旬ごろ、集い参加者の間で「袴が着られない」との情報が回ったという。

 業者にLINE(ライン)で確認したところ、「すぐには説明できないが、絶対に大丈夫」などと返信があったが、その後音信不通となった。男性は「みんなに心配をかけたくなくて」と同級生の多くには事情を伝えられず、「仲間に申し訳ない」と自責の念に駆られている。

11月で途絶えた新たに20歳になる男性と業者とのラインのトーク画面(画像の一部を加工しています)

 4月からホテル業に就いた宜野座村出身の女性(20)は15万円台の振り袖を注文し、8月から月々約4万円を支払ってきた。業者にはラインでヘアメークの相談もしていたが、11月上旬に突如、連絡が途絶えた。「支払いは結構きつい。楽しみにしていたのに、着られないのは残念。許せない」と怒りをにじませる。

 中学の同級生7人で袴を注文していた県外の短期大に通う伊江村出身の男性(20)は、家族から援助を受け9月までに約6万円を振り込んだ。「このまま着られなかったら親も残念がる。人生で一度だけの、地元の仲間との思い出なのに」とやり場のない表情を浮かべる。それでも「とにかく袴が着られれば何でもいい」と、「二十歳を祝う集い」が開催される1月4日まで諦めない構えだ。

 各地での二十歳の集いまで1カ月を切り、新たに20歳になる男女に焦燥感も募る中、業者に集客などを委託していた貸衣装会社「スマイリー」(那覇市)は対応を模索している。

 新たに20歳になる男女を対象とした「成人の日」の貸衣装を巡るトラブルでは、2018年、振り袖の販売・レンタル業「はれのひ」(横浜市、破産)が式典の直前に店舗を閉鎖し、式典に参加できない新成人が相次いだ。その後、同社の代表が詐欺罪で実刑判決を受ける事態に発展した。 

(西田悠、名嘉一心)