Rock_ozanari’s diary

ノージャンル。音楽系はまあまあ多いです。

森田童子


俺の耳からイヤフォンを引っこ抜いて自らの耳に突っ込んだ女が「なにこの暗い歌」って笑った。
森田童子は暗くねえよ。ただ優しいだけだよ。優しさと哀しみと焦燥だけがあって、いつかの風景が網膜に張り付いて離れなくなっただけだ。だから多分いっつもサングラスをしてる。
そんな俺の主張はいつも受け入れられなくて、流し聴きの誰かに「暗い」と一蹴される。

どうして生きていいか解らぬ僕が畳の上に寝そべっている。

誰かといたって孤立無援だから、俺だったら絶望しちゃうけど、森田童子の歌詞はあまり絶望している様子がない。ただどうして生きていいのか解らなくて、畳の上に寝そべっている。その感覚はとても理解できるけど、絶望の感じ取れない穏やかな夏に絶望する。解るのは優しさと哀しみと焦燥だけ。

きっとなんともならないんだろうな、という感覚に陥った時、いつも森田童子しか聴けなくなる。そういう時期が定期的にきて、そんな時はただじっと張り付いた風景が剥がれるまで耐え忍ぶしかない。

俺は森田童子じゃないし生きてきた時代が全然違うから森田童子の事なんて全然わからないけど、それでもこんなに自分の中に落とし込める存在が過去にいたという事実。森田童子の歌詞は、全ての歌詞の中で一番好きです。俺は。
もうじき夏が終わるけど、というか多分もう終わってて、今は夏を世界が思い出してるだけなんだけど、どうしてもクーラーなんか消して、汗だくで畳に寝転がらなければいけないような気がする。俺の家は全部フローリングだけどな。それでは。