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文科省「高校生のための学びの基礎診断」3教科(国・数・英)測定ツール紹介

 文部科学省は義務教育段階の学習内容を含めた高校生に必要な基礎学力の定着度合いを測定する民間の試験などを「高校生のための学びの基礎診断」として認定している。この記事では2025年度認定ツールの中から、3教科(国語・数学・英語)で認定された民間試験等を紹介する。

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高校生のための学びの基礎診断
  • 高校生のための学びの基礎診断
  • 教育委員会等の方針のもとでの測定ツールの選択・活用のイメージ
  • 測定ツールの選択イメージ例

 文部科学省は義務教育段階の学習内容を含めた高校生に必要な基礎学力の定着度合いを測定する民間の試験などを「高校生のための学びの基礎診断」として認定している。この記事では2025年度認定ツールの中から、3教科(国語・数学・英語)で認定された民間試験等を紹介する。

 「高校生のための学びの基礎診断」は、高校生が身に付けるべき基礎学力の定着度合いを測定できる民間試験等を文部科学省が認定する制度。対象教科は国語・数学・英語の3教科で、2025年度は国数英の3教科セットが5ツール、国語が3ツール、英語が4ツール認定された。認定期間は2027年度までの3年間。

 文部科学省2025年度認定の「3教科(国語・数学・英語)」の民間試験等は以下のとおり。
基礎力測定診断ベーシックコース進路マップ基礎力診断テスト進路マップ実力診断テストスタディーサポートαタイプ・βタイプ・Θタイプベネッセ総合学力テストの5つある。

基礎力測定診断ベーシックコース

事業者名

Gakken

測定ツール名

基礎力測定診断ベーシックコース

おもな対象者

高校1年生~3年生

測定内容の区分

基本タイプ

測定ツールの目的・概要

中学校範囲の学習内容を含めた基礎学力の定着度を診断することが目的。

測定ツールの特長・活用例等

PDCAサイクルを回せる教材・資料を提供する(P:ワークブックで事前学習、D:テストで学力測定、C:成績資料で学力分析、A:フォローアップテストで補てん)。

実施期間

第1回:2025年4月~7月(1月から受検申込み開始予定)

第2回:2025年9月~12月(6月から受検申込み開始予定)

第3回:2026年1月~2月(2025年10月から受検申込み開始予定)

年間実施回数

高校1・2年生は年間3回、3年生は年間2回

実施方式

PBT

試験時間

60分

受検料

3教科:1,730円(税込)

2・1教科:1,530円(税込)

標準返却期間

答案着荷より、3週間前後で成績データ返却

進路マップ 基礎力診断テスト

事業者名

ベネッセコーポレーション

測定ツール名

進路マップ 基礎力診断テスト

おもな対象者

就職から専門学校を含む各種の学校・短期大学・四年制大学への進学まで幅広い進路をめざす高校1年生~高校3年生

測定内容の区分

基本タイプ

測定ツールの目的・概要

【目的】義務教育範囲から高校履修範囲までの基礎学力の定着度・学習習慣の状況を定期的に測定することで、学校としての指導改善、生徒の学習改善・学習意欲向上・基礎学力向上に役立ててもらうこと。

【概要】基礎学力の定着度を学校の進度にあわせて測定可能。高校1年生から3年生まで全9回構成。国語・数学・英語についての「マーク式」問題50分間×3教科+「記述式」問題15分間×3教科に加えて、学校採点の英語スピーキング問題5分間、アンケート30分間で構成。タイプは2種類あり、Cタイプは「教科診断+アンケート」、AタイプはCタイプに「進路適性検査」が加わったもの。「マーク式」問題ではおもに基礎学力の「知識・技能」を、「記述式」問題ではおもに「思考力・判断力・表現力」を測定する。回ごとに事前学習教材の内容とテスト問題の内容が連携している。

生徒向けには、基礎学力の到達状況と個別の学習課題、学習アドバイスを提供する。学校へは学年集団の特性がわかる概況データと、クラス担任・教科担任先生用に指導改善などに活用できる情報を提供する。

測定ツールの特長・活用例等

【特長】事前学習教材と教科テストの内容は4割~6割準拠。診断結果は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」別の観点、「義務教育範囲」「高校範囲」別の観点などで集計し測定する。教科テストとあわせて学習力(教科学習面・生活面・進路面)に関するアンケートがあり、学習習慣作りを含めた生徒向けアドバイスを提供。事後学習用に、結果に応じた個別問題(生徒用個人帳票に掲載)とデジタル学習教材を提供する。学力については、学力測定指標「学習到達ゾーン(GTZ)」により進路可能性と関係づけることで学力結果を生徒の進路選択につなげている。

【活用例】1年生4月入学直後に実施し、入学段階での「基礎学力」と「学習力」の初期把握を行い、その結果を学年の指導計画に反映する。個人結果をもとにしたクラス担任先生の個別面談により生徒ひとりひとりの状況を把握。1年生9月に2回目を受けることで、4月からの学力の推移と学習力の変容を把握し指導成果を検証することで、学年後半の指導改善につなげる。問題は全回各教科とも前年度と同一問題。

実施期間

高校1年生から3年生の3年間

原則、実施時期×学年回の選択は学校による自由設定

※申込締切は、実施日の15日前

実施回数

高校1年生4回、高校2年生3回、高校3年生2回の計9回

実施方式

PBT

試験時間

各教科「マーク式」50分・「記述式」15分(英語はマーク式でリーディング・リスニング、記述式でライティングを測定)

※英語のみ、学校採点のスピーキング問題5分あり

受検料

Cタイプ:学校採点の英語スピーキング問題の場合 2,400円(税込)

Aタイプ:学校採点の英語スピーキング問題の場合 3,200円(税込)

標準返却期間

1回目:「マーク式」は、答案到着後約1~2週間で返却(紙)

2回目:「記述式」は、答案到着後約3~4週間で返却(データ)

進路マップ 実力診断テスト

事業者名

ベネッセコーポレーション

測定ツール名

進路マップ 実力診断テスト

おもな対象者

四年制大学・短期大学・専門学校を含む各種の学校への進学から就職まで幅広い進路を目指す高校1年生から3年生

測定内容の区分

標準タイプ

測定ツールの目的・概要

【目的】高校履修範囲を中心(1年6月回は義務教育範囲含む)に基礎学力の定着度・学習習慣の状況を定期的に測定することで、学校としての指導改善、生徒の学習改善・基礎学力向上・学習意欲の向上に役立ててもらうこと

【概要】「記述式」問題により、義務教育範囲から高校履修範囲までの基礎学力の定着度をそれぞれの学校の進度にあわせて(回ごとの進度対応)、より客観的に測定する。高校1年生から3年生まで各学年3回構成。学校の進度によりあった実施が可能。国語・数学・英語の教科問題50分間×3教科に加えて、学校採点の英語スピーキング問題5分間、アンケート30分間の構成。回ごとに生徒用事前教材が準備し、生徒ひとりひとりが意欲的に事前学習に取り組める仕組み。生徒個人向けに、基礎学力の到達状況を全体としての学力測定指標「学習到達ゾーン(GTZ)」や「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」別の結果と学習アドバイスを提供する。学校へは学年集団の特性がわかる概況データと、クラス担任・教科担任先生用に指導改善などに活用できる情報を提供する。また生徒の学力だけでなく、高校での多様な取組みおよび大切にしている意識等が進学先での学びとつなげて考えられる診断(以下、志望校等に関する診断)を提供する。

測定ツールの特長・活用例等

【特長】診断結果は「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」の観点で評価。学習力(教科学習面・生活面・進路面)に関するアンケートでは、学力と学習力(学習状況)の両面から、生徒向けにアドバイスコメントを返却する。結果を振り返る中で「振り返り問題」を提示し、事後の学習行動を具体的にアドバイスするほか、志望校等に関する診断で学力だけではない観点での進路選び方や進路へのこだわりといった意識面を醸成する。志望校等に関する診断は学校の希望により、商品申込時に非表示を選択可能。

【活用例】高校1年生の6月に実施し、入学後1学期段階での「基礎学力」と「学習力」の初期把握を行い、その結果を学年の指導計画に反映。個人票をもとにしたクラス担任先生の個別面談により生徒ひとりひとりの状況把握ができる。高校1年生の9月に2回目を、高校1年生の1月に3回目を受検することで、4月からの学力の推移と学習力の変容を定期的に測定・把握し、指導改善のPDCAサイクルを回し、次学年の指導計画立案につなげる。

実施期間

高校1年生から3年生まで3年間

実施回数

高校1年生(6月・10月・1月)、高校2年生(6月・10月・1月)、高校3年生(4月・6月・9月)の計9回

※2年生10月より「基礎・活用」、3年生4月より「理科」「地歴・公民」が付く

実施方式

PBT

試験時間

各教科「記述式」問題50分

※英語のみ、学校採点のスピーキング問題5分あり

受検料

高校1年生6月~2年生6月まで:1,900円(税込)

高校2年生10月以降:2,200円(税込)

標準返却期間

答案到着後約4週間で返却

スタディーサポートαタイプ・βタイプ・θタイプ

事業者名

ベネッセコーポレーション

測定ツール名

スタディーサポートαタイプ・βタイプ・θタイプ

おもな対象者

おもに四年制大学・短期大学等への進学を目指す生徒が多い高校の高校1年生から3年生

測定内容の区分

標準タイプ

測定ツールの目的・概要

【目的】大学進学に向けた国語・数学・英語の基礎学力の定着度と学習力(学習習慣・学習方略等)について把握することで学校の指導改善、生徒の学習改善・基礎学力の定着・向上に役立てること。

【概要】生徒個人向けに、基礎学力の到達状況とその状況に基づいた個別の学習課題を結果として提供するとともに、課題克服に向けた教材や学習アドバイスを提供することで、受検結果を次の学習改善につなげる。学校へは学年集団の特性がわかる概況データと、クラス担任・教科担任先生用に指導改善などに活用できる情報を提供する。難易度は3タイプ。3学年5回(1・2年は2回、3年は1回)の各回で履修進度に応じた出題範囲を設定している。各教科の問題は「マーク解答式」と「記述式」に分かれており、おもに「マーク式」問題では基礎学力の「知識・技能」を、「記述式」問題では「思考力・判断力・表現力」を測定する。

測定ツールの特長・活用例等

【特長】事前にドリル問題と目標設定ワーク付き冊子を提供する。この冊子には、診断結果を見て取り組める事後ワークシートやアドバイスも付属しており生徒個々人が振り返りをすることで次の学習改善を促す。学力診断については、その結果に応じた復習問題を生徒個別に結果データとあわせて提供し、自身の改善点を自覚し復習に取り組む仕組み。また、問題演習だけでなく学習の仕方や工夫にも具体的なアドバイスを提供する。出題内容は実施時期にあわせた進度対応となり、各回で異なる。問題難易は3タイプ(難度順にβ、α、θ)。「マーク式」問題は、β・αタイプが過年度比較用の同一問題(毎年同じ問題)、または新作問題の選択が可能。θタイプは、前年度同一問題のみとなる。

【活用例】高校1年生4月入学直後に実施し、入学段階での「基礎学力」と「学習力」の初期把握を行い、その結果を学年の指導計画に反映する。また、個人結果をもとにしたクラス担任先生の個別面談により生徒ひとりひとりの状況把握ができる。高校1年生9月に第2回を受けることで、4月からの学力の推移と学習力の変容を把握し、4月からの指導成果を検証することで、学年後半の指導改善につなげる。

実施期間

高校1年生から3年生まで3年間

実施回数

計5回、申込時期は2月~実施日の15日前まで

第1回:3月~5月末(高校1~3年生)

第2回:8月~10月末(高校1~2年生)

実施方式

PBT

試験時間

【国語】「マーク式」問題:40分、50分、60分、70分、80分の設定あり(学年回および、現/現古/現古漢と難易度タイプで異なる)、「記述式」問題:20分

【数学】「マーク式」問題:50分、60分、80分、100分、120分の設定あり(学年回および難易度タイプで異なる。)、「記述式」問題:15分

【英語】「マーク式」問題(リーディング・リスニング):50分、70分、80分、90分、100分の設定あり(学年回および難易度タイプで異なる。)、「記述式」問題(ライティング):15分、学校採点のスピーキング問題:5分

受検料

1回分:3,300円(税込)

標準返却期間

1回目:「マーク式」結果は、答案到着後約1週間~10日間で返却(紙)

2回目:「記述式」結果は、答案到着後約3~4週間で返却(データ)

ベネッセ総合学力テスト

事業者名

ベネッセコーポレーション

測定ツール名

ベネッセ総合学力テスト

おもな対象者

おもに四年制大学・短期大学等への進学をめざす高校1年生・2年生

測定内容の区分

標準タイプ

測定ツールの目的・概要

【目的・概要】国語・数学・英語各教科についての、学校の授業内容の定着度把握が目的。学校の履修進度に沿った出題により、履修内容にあった学力の定着度確認と苦手分野の把握を客観的に行う。各教科とも、記述式問題により「知識・技能」から「思考力・判断力・表現力」まで幅広い学力の測定が可能。紙媒体とWebサービスを複合的に利用することができ、生徒ひとりひとりが目標設定~自己採点~結果の振り返り・事後学習のプロセスを自発的に取り組める仕組みとなっている。

測定ツールの特長・活用例等

【特長】授業進度にあった弁別性の高い問題で、学力測定指標「学習到達ゾーン(GTZ)」を利用して教科学力を的確に把握可能。学校生活や学習面に関するアンケートを行い、その変化とともに学力の変化を確認できる。生徒が自身の力で事前の目標設定~受検直後の自己採点~結果返却後の振り返りと事後学習に取り組める仕掛けを、紙媒体およびWebサービス(無料)の組み合わせで用意する。先生向けには、受検後の教師用資料として学年視点での概況データ、教科視点での分野別データ等を提供。Webサービス(無料)として、先生が生徒の各時点での取り組み状況を確認できるため、総合的に事後の指導改善に役立てることができる。

【活用例】高校1年生7月に実施し1学期段階での「教科学力」の初期把握を行うことで、その結果を2学期以降の学年の指導計画に反映する。また11月・1月と継続的に受検することで学年全体・生徒ひとりひとりの学力変化を把握し、学年集会や個人面談の際などに生徒の自発的な学習意欲を喚起することができる。

実施期間

高校1年生~2年生の2年間 

実施回数

高校1年生(7月・11月・1月)、高校2年生(7月・11月・1月)の計6回

※各回とも統一実施日を設け、その前後1週間程度が実施可能期間

※申込締切日は統一実施日の15~20日前

実施方式

PBT

試験時間

【国語】高校1年生(7月60分・11月80分・1月80分)、高校2年生(7月80分・11月80分・1月90分)

【数学】高校1年生(7月80分・11月100分・1月100分)、高校2年生(7月100分・11月100分・1月120分)

【英語(リスニング・リーディング・ライティング)】高校1年生(7月60分・11月80分・1月80分)、高校2年生(7月80分・11月80分・1月90分)※学校採点のスピーキング問題5分

受検料

高校1年生:全回3,000円(税込)

高校2年生:7月3,100円(税込)、11・1月3,300円(税込)

標準返却期間

答案到着後約4~5週間で返却

《川端珠紀》

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