プログレから現代音楽、エレクトロ、テクノまでーーTAKUMI iwaskyが2013年に創りたかった音世界

1980年にテクノ・ポップ・バンド FILMSのメンバーとしてデビューして以来、作曲、編曲家、音楽プロデューサー、歌手、パフォーマー、CM作曲家として日本の音楽に携わってきたTAKUMI iwaskyこと岩崎工が、2013年から2014年に録音したエレクトロ・ポップの楽曲シリーズを一挙ハイレゾ配信スタート。1970年代のプログレ、現代音楽、ミニマル・ミュージックの現場から、アンビエント、エレクトロ、テクノをリアルタイムで経験してきたTAKUMI iwaskyが、2013年の時点で創りたかった音世界は一言でいうならば「エレクトロ・ポップ」。本リリースにあわせ、TAKUMI iwaskyにインタヴューを敢行。彼の音楽遍歴を辿りながら、近年の活動にまで迫った。
2013年から2014年に録音された楽曲を一挙ハイレゾ配信
TAKUMI iwasky / Shake! Shake! Shake! (radio mix)
ROXY MUSIC、もしくはB.フェリー / D.Bowie へのオマージュとも言うべき、ロマンティックなエレクトロ・ダンス・チューン。80年代当時から、ニュー・ウェイヴ+テクノ + ニュー・ロマンティック・サウンドを創って来たTAKUMI iwasky自身による、2010年代のエレクトロ・サウンド。当時の英バンド、ABCを彷彿とさせる大編成のストリングス・セクションが、ゴージャスでドラマティックな雰囲気をも醸し出しているが、根底にあるのは、エレクトロ・ダンス・ポップ(ちなみに、Shake It Off /テイラー・スウィフトとは何の関係もない)。
【配信形態】24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
【配信価格】単曲 249円(税込)
TAKUMI iwasky / Gimme Some Reason
英国80's調のエレクトロ / インダストリアル傾向を感じさせ、イングランド北部の工業地帯出身のバンド達を連想させる楽曲。ミニマル的センスがの衣装を身に着けた様な? 哀愁を帯びたラヴ・ソング。あえて例えるなら、Tears For FearsやO.M.D.に通じるナニかを持った1曲。
【配信形態】24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
【配信価格】単曲 249円(税込)
TAKUMI iwasky / Shake! Shake! Shake! (electro funk remix by D.T.Construction)
D.T.Constructionによる、クラブ・プレイを意識したリミックス。オリジナルのイギリス指向サウンドに加え、アメリカン・ルーツのFUNKやハウスのテイストをミクスチャーする事で、よりグルーヴ感の強いトラックに仕上がっている。
【配信形態】24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
【配信価格】単曲 249円(税込)
TAKUMI iwasky / KICK & TURN (radio mix)
2012年頃から作曲に入った一連のエレクトロ楽曲シリーズの代表曲のひとつ。TAKUMI / TAKUMI iwasky両名義を通しても、ソロ作としては初の日本語詞。80'sテイストのエレクトロ・ダンス・ポップに回帰したモニュメント的な楽曲でもある。2010年代の今だからこその歌詞、「世界がキミを回り出す…」ちょっと聴くと単に明るいポップスでしかないように聞こえるが、必要以上に管理された現代社会への反発を、踊りながら、微笑みと共に訴えている。TAKUMI iwasky流の「励ましソング」として意図的にシンプルな構成、かつ軽いタッチで仕上げられた。
【配信形態】24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
【配信価格】単曲 249円(税込)
TAKUMI iwasky / where am i ?
サウンド的には、エレクトロ / 80'Sテクノの典型的なスタイルの1つに準じた、ミニマル / インダストリアルな楽曲。実際には、三浦半島の最南端にある自宅スタジオの自然環境の中で生まれた自然讃歌でもあり、自己の存在意義を確認したい、「自分は何者なのか?」、ディープな探究心がこの曲のテーマ。TAKUMI iwaskyが得意とするマイナー調のサビが、叙情的な美しいサウンドに聞こえるか、やや宗教的に響くかはリスナー次第。1970年代中盤当時、B.Enoのソロ作に受けた影響が色濃く反映されている。
【配信形態】24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
【配信価格】単曲 249円(税込)
TAKUMI iwasky / Qui A Tue´ Grand Maman ?
原曲は、1970年前後のフレンチ・ポップスのキラ星、Michel Polnareffの1971年の佳作。直訳すれば「誰がお婆さんを殺したの?」であるが、当時の日本盤では「愛のコレクション」と極意訳? されていた。ヨーロッパ特有の(キリスト教的?)ちょっとコワいお伽話の体裁で、比喩的な歌詞の内容。その意味深な歌詞と相まったメロディがゴシック&ロマンティックで、今のTAKUMI iwaskyサウンドとマッチする、という理由でカバー曲として選ばれた。単純にメロディーのよいポップスとしても聴ける点でも秀逸な楽曲。
【配信形態】24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
【配信価格】単曲 249円(税込)
TAKUMI iwasky / KICK & TURN (house remix by D.T.Construction)
D.T.Constructionによる、ハウス / ダンス・リミックス。キャッチーなフレーズが抽出 / 拡大され、4つ打ち系のダンス・ビートと相まって刺激的かつノリ易いハウス・ミュージックとして仕上がっている。
【配信形態】24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
【配信価格】単曲 249円(税込)
INTERVIEW : 岩崎工
テクノ・ポップ・バンド FILMSのキーボーディストとして1980年にデビューを果たし、CM音楽がアートとして評価を受けていた80年代から同楽曲制作を行うなど、日本の音楽にどっぷり携わってきた岩崎工。このたび、彼が2013年から2014年に録音していたエレクトロ・ポップの楽曲シリーズを、GOLDEN GUTSY RECORDSを主宰するDr.Tommyのプロデュースによりハイレゾにてリリースする。プログレにはじまり、現代音楽、アンビエント・ミュージック、テクノ、ジャズまで、ジャンルレスに機材を音楽に取り入れ活動してきた彼がなぜ、このタイミングでこれらの作品を制作したのか、これまでの歩みとともに語ってもらった。
取材&文 : 西澤裕郎
最初に違和感を覚えた音楽って、いっぺん好きになると忘れないんですよ
ーー岩崎さんがポップ・ミュージックの世界に入り込むきっかけとして、シンセサイザーとの出会いが大きなポイントとなっていると思うんですけど、どのような流れから機材を手に入れたんでしょう。
岩崎工(以下、岩崎) : 当時、プログレなどのレコードをよく聴いていたんですけど、どうやって音を出してるのか分からないものは楽器屋さんに行って学習してくる訳ですよ。もちろん、すべての楽器に触れることができるわけじゃないから、わからないものが多かったんですけど、はじめて手の届く民生機として発売されたROLAND SH3を買って、あれはこの音だったんだと思うものを多く発見していきました。
ーーSH3は、小室哲哉さんも最初に買ったシンセサイザーだと公言されていたりしていますが、かなり普及したモデルだったんでしょうか。
岩崎 : むしろ、それしか選択肢がなかったというか、74年頃には4機種のシンセサイザーが出ていたんですけど、デザイン的に一番ビビッとくるものがSH3にはあって。要するに、かなり機械的だったんですよ。自分はそこに飛びついちゃったんですよね。
ーーもともと岩崎さんは、クラシック・ピアノを勉強されてきたわけですけど、自分が聴いてきたロック的な表現とピアノは相容れないと思っていたそうですね。
岩崎 : ピアノ自体がもっとフィーチャーされている音楽を聴いていればよかったんでしょうけど、当時のギター・ミュージックだとピアノが表に出てくるものは多くなくて。だから、ハードな音楽とピアノは合わないと思って、まずは道具を手に入れるところからスタートしたんですよね。
ーー当時はプログレ以外に、どのような音楽に感銘を受けたんでしょう。
岩崎 : 僕が大学に入ったのは75年なんですけど、現代音楽の人たちとの付き合いもできたんですよ。アンビエントを発明する前の、ロキシー・ミュージックを辞めた直後のブライアン・イーノとかを聴いていて、801の『Live』を聴いた時、ショックを受けました。クラシックに関しても、ド・ミ・ソだった和音にシが入ったり、11thが入ったり、13thが入ったり、ストラヴィンスキーとかラベルみたいな音楽は、その音が合っているのか分からなくて、ロックでそれを感じたのはイエスだったかもしれないですね。最初に違和感を覚えた音楽って、いっぺん好きになると忘れないんですよ。80年代入る頃には、XTCにもそういうものを感じました。最初に聴いたとき、本当にレコードを投げた思い出があります(笑)。それを拾ってきて、かけている内に好きになったんですけど、そういうのがあると大きなターニング・ポイントになったりしますよね。

ーー(笑)。様式美的な音楽よりも、むしろそこから逸脱していくものに違和感を覚えて、のめりこんでいったんですね。
岩崎 : かといって、それ以上探っても何も出てこないこともあって(笑)。あまり影響を受けたくないので、周りの音楽を聴かない時期もありました。その頃、現代音楽のグループにも所属していたんですけど、同時にプログレのバンドでアマチュアっぽい音楽もやっていたので、だんだんアメリカのリズムだったりグルーヴがある音楽に憧れるようになっていって。
ーー現代音楽の反動で、グルーヴのあるものみたいなものをやりたくなった、と。
岩崎 : そうですね。すごく肩が凝りそうになっていたというか(笑)。高校時代からバンドもやっていたんですけど、その時期って第1期R&Bの黄金時代でもあって、僕も一瞬グレてた時期があり、ソウル系のディスコに毎週のように行っていたんですよ。その時に、現代音楽とは似ても似つかないものを実体験で感じて、踊ってみたら楽しくて。ステップ踏んで揃って踊るような時代だったんですけどね(笑)。
ーーそういう音楽体験をされていくなかで、自身の音楽感が培われていったと。
岩崎 : ただ、当時はそれが1つに繋がるとは思っていなくて、昼間はプログレのコピーをやっていましたけど、そういうものと現代音楽やR&Bは不思議と合体しなかったんですよね。大学に入ってシンセサイザーを1個手に入れたことで、真っ白なキャンバスの上に何を描いてもいいよってなった感じです。それを具体化するためにテープ・レコーダーが必要になって、最初に買ったのが4トラックのオープンリールでした。
人を喜ばせようっていうエンターテイメントの感覚が欠けていた
ーープロフィールでは、1980年にFILMSのメンバーとしてデビューされていますが、それが表舞台に出た最初ですか?
岩崎 : デビューしたバンドがFILMSだっただけで、Rolandのコンテストには3回目くらいから出ていました。そのコンテスト4年連続で入賞したんですよ。それが76~79年とかですかね。回を重ねるうちに、だんだん腕も上がってきたんですけど、今聴き返すと絶対知られたくない音ですね(笑)。そのとき、RolandがアナログのLPを作っていて、収録曲を見るとEP-4のBananaが入っていたり、テイ・トウワくんとかも表彰式にいたので、参加していたんだと思います。
ーーそうだったんですね。お話を伺うと、シンセサイザーの影響も大きいですけど、プログレの影響も大きいんですね。
岩崎 : 大きいと思いますね。ニュー・ウェイヴの頃って、意外とすっきりした音が多かったと思うんですよ。逆にプログレは余計なものだらけというか、展開も変だし、それはそれで豊かな音楽だと思うんですよね。
ーー80年代にはFILMS、82年にはTPO、83年からはTAKUMIさんのソロ名義という形で、コンスタントに形を変えながら活動をされてくわけですよね。
岩崎 : 結構エゴイストだったので、テレコとかも手に入れて、自分の音を出し尽くしたいっていう気持ちがあったんです(笑)。なので、1人で作る多重録音と、バンドの両方を並行していました。当時はドラムに関しては、リズム・ボックスしかなくて、コンピューターでシンクする考え方が出るまでには相当時間がかかったんですよ。だから、多重録音をするときは、スナックにあるようなチャカポコいうリズム・マシーンとシーケンスを合わせて音がズレてきたら止めて、合ってるところだけ使ってループするってことをしていました(笑)。テープも自分で切って編集してましたし。そういう道具もまだ秋葉原に普通に売っていたような時代でした。

ーーその後、デジタル・サンプリング・シンセサイザー、フェアライトCMI1号機に第一人者としてかかわられたそうですが、シンセサイザーという機械自体の面白味や可能性は、ずっと追求されていたんですね。
岩崎 : そこまで考えていたわけじゃないんですけど、当時は、規格がMIDIじゃなく、GATE CVっていう規格で動いていたんですね。初期のMIDIって、キーボード的な感覚で弾くとすごい違和感があって、音が遅れて鳴るんです。それで一度シンセサイザーが嫌いになって、飽きちゃったんですよ。逆に、サンプリングの手法が出てきたんで、そっちの方に興味がいってしまって。クラフトワークとかの音楽って、MC8のような機械があったからこそだと思うんです。そういう意味で、テクノロジーによってできた音楽は多くて、最近だとダブ・ステップみたいなものも、機材がないとああいう風にはできないんですよね。ドラムン・ベースとかもそうでしょうね。
ーー岩崎さんの楽曲を聴かせていただいて、ルーツにプログレなどがあるとは想像していなくて。そこから、いまのサンプリングの話が出てきましたけど、さらにクラブ・ミュージック的な音楽に指向していったのはなぜなんでしょう。
岩崎 : 80年代っぽいテクノとか、クラブ的な音楽をいまもやっていますけど、2000年代から2010年くらいまで、あまりやる気がなくて。自分が社会とか世間に影響を受けやすいのかもしれないですけど、9.11のショックが結構大きくて。すごくへこんだっていうと言葉が軽すぎるんだけど、ショックを受けたんですよね。それで80年代とか90年代頭くらいに自分でソロとかをやっていたり、楽曲提供とかプロデュースをしたり、いろんなことをやってたんですけど、2000年代に入った時に「あ、やることない…」って感じになって。それがしばらく続いたんですけど、2000年代後半に、たまたま「The World of Golden Eggs」っていうアニメの仕事に誘われて。僕が音楽監督をしていたんですけど、24人編成で2000人クラスの会場でも演奏したんですよ。
ーー「The World of Golden Eggs」は、イラスト見ると多くの人がわかると思うんですけど、かなり有名な作品ですよね。再び音楽制作に向かっていったのは、そういう音楽以外のカルチャーとの結びつきが大きかったんでしょうか。
岩崎 : なんで音楽を作るのが嫌になっちゃったのかって言うと、人を喜ばせようっていうエンターテイメントの感覚が欠けて、自分が聴きたい音楽を作ろうと思っていたからだと思うんですよ。「The World of Golden Eggs」のようなエンターテイメントで、お客さんが喜んでいる姿を目の当たりにして、「全然違う世界だけどいいな」と、思ったんです。だから、自分がやりたいことを抑えて、音楽を作っていきました。「The World of Golden Eggs」のテーマは、カントリー・ミュージックなんですね。メインの楽器がバンジョーとフィドル、バイオリンで、それプラス普通の編成のバンド。なかにはデスメタルみたいな曲をやったりして、スタジオとは別で、ライヴでお客さんを楽しませる舞台みたいなものを考えるのも楽しくて。それは、お金がかかりすぎるので2009年くらいに終わっちゃったんですけど(笑)。
ーーあははは。そうした気づきもあり、岩崎さん自身の創作も活発になっていったと。
岩崎 : これまでの話で言ってなかったんですけど、僕はずっとCMの音楽も書いていたんですね。当時は広告主よりもクリエイターの方が偉いっていう珍しい時代で、いわゆるクリエイターで影響力ある人が「これはいい!」って言うと、任せてみようっていう緩くも美しくもある時代だったんです。当時は、これはアートでしょ? って言っても恥ずかしくない空気がありましたね。
小さくまとまろうとしていると、膝かっくんしたくなっちゃう
ーー今回、OTOTOYで近年の作品をまとめたアルバムを配信させていただくのは、岩崎さんとしても時代がまた良くなってきていると感じたからなんでしょうか。
岩崎 : 何が1番良くなったかっていうと、自分が飽きてる場合じゃないってことに気付いたんですよ(笑)。いろいろな音楽が出てくるなかで、若い子たちが作ってる作品に対して、好きなものもあれば、どうしても理解できないものもある。そんななか、自分がいいと思うものを作っておかないといけないと思ったんですよね。あと、80年代にCM音楽をやっていた時期って、オンエアされる2、3週間前にレコーディングすることがけっこうあったんですよ。そうすると、作ってすぐ公開されるから、すぐ結果がわかるんですね。いいとか、悪いとかっていう批評があったり、世間でも話題になったり、そういうフィード・バックが楽しかった。もちろん、フィード・バックがあったからだけじゃないんだけど、やっている意味を感じられたというか。
ーーそれこそ、いまはYouTubeにあげたりすれば、すぐ反応を見ることができますし、そういう時代感も岩崎さんに合っているのかもしれないですね。今回の配信アルバムは、2013~14年に録音された楽曲シリーズということで、岩崎さんご自身の解説では「エレクトロ・ポップ」と書かれていますね。
岩崎 : 自分でも、これをエレクトロ・ポップって呼んでいいのか、なんて言ったらいいのか分からなくて、それで誰かに聞いたんですよね。エレクトリックミュージックなの? って(笑)。僕はジャンル名はほんと言うとよく知らなくて、一番大雑把でエレクトロ・ポップでいいんじゃないかなってことで、そう説明しているんです。
ーーはじめての日本語詞の楽曲も収録されています。
岩崎 : 下手なことを日本語で言うと馬鹿にされちゃうんで、日本語の歌詞は難しいんですけどね(笑)。「KICK&TURN」も、とりあえずできる範囲内で書いています。僕の音楽を聴いてきてくれた人たちって、僕と同世代から15歳下くらいが多くて、もちろん直接のファンになってくれている人もいると思うんですけど、彼らは時代を共有してきた同志みたいなものなんですよ。そういう人たちを裏切ることはできないというか、その人たちを最優先に喜ばせたい。それでいて、いまの若い子たちは表現することにすごく臆病なんで、その壁を蹴飛ばしたいみたいな苛立ちもあって。だから、わざとらしく親父っぽいことも言ってたりするし、理想をいえば、同じ土俵で一対一でお話するような感じでにできたらいいなと思っていて。潔さだったり、元気さだったり、若者からエネルギーを感じる音楽を聴くのが好きなんで、自分もそういう手応えがある音を作りたいなと思ってできたのが最近の曲なんですよ。僕はいろいろ経験しちゃってるから、アバンギャルトだったり、乱暴なものにはならないっていうか、どうしても少し丸い世界が出てきちゃうのはしょうがないなとは思うんだけど。

ーー岩崎さんのファンの方を最優先に喜ばせたい気持ちと、エッジで最先端なサウンドを同居させるっていう部分が、岩崎さんの楽曲の違和感に繋がっていて、おやっ、もう一回聴いてみようと思う部分がすごく多かったです。
岩崎 : だといいなって思いますけど。これまでは日本語で作るのが難しすぎて諦めていて、せめてカヴァーでやろうと思って、この間亡くなっちゃったデビット・ボウイの「All The Young Dudes」をやったんですけど、あれは歌詞がよくて。邦題が「すべての若き野郎ども」だからずっと若いつもりなんでしょうね。それは僕自身もで、そういう意味ではその時の気持ちはたぶん変わらないっていうか、変わりたくないのか。小さくまとまろうとしていると、膝かっくんしたくなっちゃう(笑)。そういう意味ではいまも青いんですよね。次どうなるか分からないんですけど、今作の収録曲は、ほぼ同時期にわっとできた曲たちですね。
ーーちなみに、今もハードウェアを使って作られるんですか?
岩崎 : ソフトウェア・シンセも試しつつあるんですけど、プル・ダウン・メニューで項目がいっぱい出てくると何番目までスクロールしたのか分からなくなっちゃうので、すごく気に入ったものは使ってるんですけど、ほぼ使ってないですね。ネット上に情報が多すぎるとの一緒で、楽器もやれることが多すぎるんで、そこに振り回されるのはちょっとイヤだなって思いもあります。音はいいに越したことないし、どうしても打ち込みのものが多いときは使いますけど。ただ、ディープ・パープルやグランド・ファンクが好きだったので、そろそろエレキ・ギターも恋しくなってきています(笑)。次のシリーズではそういう音も入れたいなと思っているんですけど、今作に入れていない曲もまだあるので、それをすませてからなのかなと思っています。
ーー生楽器が入った楽曲を、今後作っていかれる可能性があると。他にはどういう動きを考えられているんでしょう。
岩崎 : 今年はFLIMSですね。いま、赤城忠治がいろいろ頑張っていて。2000年に1度だけ新宿LOFTで再結成ライヴがあって出ましたけど、それ以外の企画には僕は出てないんですよ。再結成って言うのはイヤだなと思っていたんですけど、忠治ってアイデアが面白いんですよ。FILMSは、基本的に全部日本語で、寓話というかお伽話みたいなものを歌うんですけど、それは僕が真似できない部分でもあるし。じゃあそろそろ作品を作るから、ちょっと手伝ってよって言われて、2000年くらいまではやだよって言っていたんですけど、もういいよと思って(笑)。あと、3月19日には、今回のリリースをプロデュースしてくれたDr.Tommyがセッティングしたライヴがあるので、まずはそこに来てもらえたら嬉しいですね。
TAKUMI iwaskyの過去作もハイレゾ配信中!!
TAKUMI iwasky / Beyond Nights & Days
【配信形態】
24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
【配信価格】
単曲 249円(税込) / まとめ購入 1,200円(税込)
【収録曲】
1. MUST BE A SWEET SURRENDER
2. LET'S LIGHT THE FIRE
3. SOME FANTASY
4. SO FAR AWAY
5. DAYDREAMER
6. LIFE BEHIND
7. ALL THE YOUNG DUDES
TAKUMI iwasky / g
【配信形態】
24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
【配信価格】
単曲 249円(税込) / まとめ購入 800円(税込)
【収録曲】
1. Swimming Bullets (extended ver.)
2. Spain
3. -394m Altitude
4. Light of The World
LIVE SCHEDULE
TAKUMI iwasky -岩崎 工- LIVE "DOWN TO THE FLOOR"
-High Resolution Audio Singles & Albums Release LIVE-

2016年3月19日(土)Cafe & Livespot FJ’s(エフジェイズ)
時間 : 開場 18:00 / 開演 19:00
料金 : 予約 3,000円 / 当日 3,500円
出演 : Vocal & Keyboads : TAKUMI iwasky -岩崎 工-
Bass : Nobuo Nakahara -中原信雄-
Drums : Atsunobu Yakabe - 矢壁アツノブ-
E.Guiter : Tomohimi Suzuki -鈴木智文-
Guest Act : 赤城忠治
DJ : Dr.Tommy(D.T.Construction / Ecstasy Boys / ex.Vibrastone)
Cafe & Livespot FJ’s(エフジェイズ) : 東京都目黒区中目黒5-1-20
TEL : 03-3760-2825
e-mail : [email protected]
web : http://www.fjs-cafe-live.com/
PROFILE
岩崎工
1955年、東京生まれ。
日本人の作曲、編曲家、音楽プロデューサー、歌手、パフォーマー、CM作曲家。
最近の仕事としてはCGアニメーション「The world of GOLDEN EGGS」の音楽監督、作編曲家(Pierrot Molinier = ピエーロ・モリニエ名義)として知られる。
1980年テクノ・ポップ・バンド FILMS(日本コロンビア)のメンバー(Key.)としてプロ・デビュー。日比谷野外音楽堂、ラフォーレ原宿、六本木 CLIMAX、渋谷クロコダイルなどでライヴ活動。以降、フェアライトC.M.I.の日本初ユーザーとして知られるT.P.O.(SonyRecords)1982での活動を経て、1983年TAKUMI名義でソロ・デビュー。『Meat The Beat』(Sound Design Records)、『Fragments Of Time』(1984)の2枚のアルバム・リリース。O.M.D.来日コンサートのオープニング・アクト、PARCO Part 3「モダン・コレクション」「森英恵スペース」、六本木ピットインなどでライヴ活動。
同時期(1981年以来)より、CM作曲家として700曲以上のTV-CFを作曲。ヨーロッパの映画音楽の様なテイストから、インダストリアルなアート的作風、時にはキッチュで過激なビート・ポップス、現代音楽をベースにしたコラージュ、ブラス・セクションを多用したアヴァンギャルドJAZZなど、あらゆるジャンルを独自に再解釈したサウンドを特徴とし、80年代以降のCM音楽界において時代の寵児となった。広告がアートである事を許されていた時代、80's発~の典型的な作曲家であったといわれる。
1987年からは、多国籍ユニット"Tokyo Faces"を結成し、不定期に活動。アルバム・リリースは、1992年『Tokyo Faces』(ワーナー・ジャパン)、1989-91年には、S.E.X.(東芝EMI)のサブ・メンバーとして、主にライヴ活動。渋谷クラブ・クワトロ、川崎クラブ・チッタ、下北沢シェルターなど。サンプリング奏者としてアルバム、シングル制作にも参画。ジャワティーCMタイアップ・シングル「Flower's Note」では作編曲も担当。
1994年、CX系TVドラマ「この愛に生きて」の音楽担当。サントラ盤が岩崎工名義でリリースされた。TV-CM作曲、メジャー系歌手「Nokko、井上睦、岡崎葉」らのプロデュース業のかたわら、1994年には佐久間正英氏「v.f.v.」を共同プロデューサに迎え、自主レーベルより1000枚限定アルバム『Beyond Nights & Days / TAKUMI』をリリース。ネットが無い時代のインディーズ作。
1998年、S.M.E.の管理下に新レーベル"Swimming Bullets"を立ち上げ、: ginette :、SAYAKAの2アーティストをプロデュース。ここでは、自らエンジニアも担当。本人としては、会心の作。
2000年以降の数年は、もっぱら : ginette : の創作とCM作曲に専念。着うたサイトSuper☆Hits! 用に、洋楽カバー曲200曲を制作し、「ソックリさん」作りに職人魂を発揮。主に80'sエレクトロ / エレクトリックJAZZを担当。家にあった、アナログ・レコードを片っ端からコピーし、高品位贋作を量産した。1日1曲カンパケまで、日記を書くごとく。
2005年当初から音楽を担当していた「ゆるキュートな」CGアニメーション作品「The World of GOLDEN EGGS」が、2007年の日産自動車Noteノテ!? のタイアップを期にブレイクし、ホール級のライヴ・ツアーを行うまでに成長した。Pierrot Molinier名義にてゲスト含め24人編成のTurkey Paradise OrchestraのLive Showを率いた。踊るバンマス+構成&交通整理!?
2013年、ソロ・パフォーマンス活動を再開。70's 後半のアート・ロックのテイストから、ややレトロな80's エレクトロ・ミュージックを現代の解釈で展開する。