ワンコイン・ムービ-レビュー

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パシフィック・トレジャー -大日本帝国の黄金伝説を追え!-

あらすじ

「大日本帝国要素は0」

 

 旧日本軍はアジア全域からパクってきた金塊をフィリピンのどっかの島に隠したんや!だから掘り返して金持ちになろうぜ!という設定の下、欲望を露わにするのは、オバハン、オッサン、チンピラ、マダム、議員の5勢力。なお本作は75分間の尺を持つ大長編スペクタクル巨編であり、この枠内で五角関係を描き出そうとした本作の行きついた先は戦艦武蔵と同じく大破着底であったことは想像に難くないだろう。武蔵の名誉のために申し述べておくが、本作からは武蔵の如き耐久性や獅子奮迅の対空砲火を放った形跡は認められない。

 

 5勢力の動きが次々とブツ切りで挿入される本作のテンポ。そのリズミカルさはさながらジジイの小便の切れの様であり、ならば本作に要介護認定が必要であることは言うまでもないだろう。役者の所作はプレステ2の名作『デビルメイクライ2』のアクションを彷彿とさせるモッサリ感を誇っている。結局のところ、シャベルを持った中年のホモサピエンスがジャングルの中をウォーキングする映像が大半を占めるというのが本作の馬脚である。

 

 回想シーンで登場する旧日本軍(シンパのフィリピン兵)が持つ銃の考証は秀逸である。それは三八式か九九式かといったレベルではなく、よく言えば縁日の屋台で子どもが使うコルク銃、悪く言えばそこらに落ちてる竹か何かに着色しただけのゴミである。

 

 その後もオバハンが毒ヘビに噛まれて死んだり、オッサンがボコられたり、オッサンが小便の顔射を受けたりする愉快で飽きの来ない場面が逐次投入されていると、いつの間にか画面が暗転して感動のフィナーレを迎える。ヤマもオチもない、ただカメラを回していたらそこにオッサンやオバハンがいましたという様な映像をツギハギしたらDVDができちゃった(爆笑)という神の奇跡が本作の正体である。何か月かぶりにやっと映画を観る時間ができたと思った私に、この業界の恐ろしさを再認識させたという点については、本作に感謝しなくてはならないのかもしれない。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上