Esther Derby, Diana Larsen『アジャイルレトロスペクティブズ』

『アジャイルプラクティス』について書いたときに、ついでに言及しようと思って記録を探したら書いてなかったよ。たしか10月のどこかで読んだのですがちょうど忙しくてこの日記には書いていなかったようです。あとで書くとすら書いていない。日付がわかんないので年内のここに置いておくよ。
よくイベントが終わったときに、壁とかホワイトボードにKeep, Problem, Tryと3分割して反省会みたいなのをやってる(Rails勉強会とかで毎回見るね)、あれが実は「レトロスペクティブ」の一形態で、日本ではたぶん平鍋さんが流行らせて懸田さんにより「ふりかえり」という訳語があたえられた。
で、本書はその「レトロスペクティブ(ふりかえり)」について、その意義や様々な手法、具体的な実施の仕方やヒントその他諸々をプラクティスとしてまとめて解説したという、1冊の本になっているのがほとんど奇跡のような書物です。原書はPragmatic Bookshelfから出ている。
それで、その奇特な本の翻訳をされたのがbliki_jaで知られる(という説明でいいのだろうか)角征典さん。大変だっただろうなあ。各プラクティスの項目名などは標語的な短い英語で日本語にしにくいのが山盛り。"Retrospectives"が「ふりかえり」になるまでには相当な時間や経験の蓄積があった気がするんですが、それに匹敵する時間を各プラクティス名それぞれにかけることは無理なので、非常に苦労のあとがしのばれます。でもおかげで本文はとても読みやすい。
私自身の感想としては、こういうのは実践しながら体現しながら読まないとよくわからないしちゃんと読めた実感もつかめないなー、という感じです。本から引用すると:

ファシリテーションには、ソフトウェア開発とは異なるスキルや観点が必要だ。新しいスキルを手に馴染ませるには、時間をかけて練習を重ねることだ。

そうだろうと思う。でも日々のプロジェクトでは、こういったことが有用なのは知りつつもつい後まわし、みたいなデンタルフロス状態になってしまって、というかうちではなってます。反省。来年からちゃんとフロスも使いますよ、あうあう。