学生の進路において大きな岐路のひとつである「文理選択」。最近では、STEM*分野と呼ばれる理系や技術系のフィールドで活躍する女性も、どんどん増えてきています。東京都では、さらなる女性活躍を推進するため、女子中高生向けオフィスツアーを開催。学生がSTEM分野で働く方々や現場に触れることで、自分がやりたいことや関心のあることを見つける機会を提供します。 *Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字をとった言葉

東京都主催中高生向けオフィスツアー

サプライチェーンや社会インフラなど、現場の困りごとをテクノロジーで解決するパナソニック コネクトを訪問!

製造・物流のサプライチェーンや、公共交通機関など社会インフラ向けのソリューションを開発・提供しているパナソニック コネクト株式会社。「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」を企業理念(パーパス)として、顔認証システムや飛行機の機内エンタメシステムなど、私たちの生活のさまざまな現場を縁の下から支えるシステムを開発している会社です。「BtoB(Business to Business)といって、会社や役所が私たちのお客様なんです」というお話に、参加者たちは熱心にメモを取っていました。

オフィスツアーの様子

リラックスした雰囲気で社員と交流する参加者たち

東京湾を一望!おしゃれすぎるオフィスを見学!

まずはカスタマーエクスペリエンスセンターを見学。さまざまな展示の中でも、とりわけ参加者の注目を集めていたのが顔認証システムの入退館ゲートです。実際にいろいろな現場で取り入れられているという顔認証システムに、学生たちも興味津々!参加者の一人が代表して、顔写真を撮影し、その場で登録。端末に近づくと、少し離れた場所からでもすぐにゲートが開きました。
次は、実際に社員の皆さんが働いているオフィスへ。扉を開けると、開放的なガラスの向こうにはレインボーブリッジや東京湾などの素敵な景色が広がります。

オフィスツアーの様子

汐留にあるオフィスからはレインボーブリッジや東京湾などの絶景が見える

オフィスフロアは座席が決まっていないフリーアドレス制で、なんと社長も同じフロアで働いているとのこと!風通しがいい風土で、働いている人同士の距離も近いため、いつでも話せるのが特徴だそうです。

オフィスツアーの様子

フリーアドレス制で、好きな席に座っていいのだそう

そのほかには、カフェスペースや卓球台まで!おしゃれで機能的なオフィスに中高生たちも目を輝かせます。

オフィスツアーの様子

社員のコラボレーションを加速するためにカフェなども設置されている「COMMONS(コモンズ)」というスペース

女性技術社員4名によるトークセッション

後半は、パナソニック コネクトで働く4名の女性技術社員が登壇。進路選択のきっかけや今の仕事を選んだ理由などを語ってくれました。

オフィスツアーの様子

左から、末廣いのりさん、秋山理穂さん、八幡里穂さん、勝治歩美さん

Q.

理系を選んだきっかけや時期は?

A.

実は、中学の頃は国語や社会の方が得意で、数学の点数が一番低かったんです。でも、高校になるにつれて得意になってきたのと、信頼のおける先生に相談したところ「考え方の根本が理系では?」とアドバイスをもらい、理系を選択しました。(八幡さん)

Q.

なぜ今の仕事、今の会社を選んだのですか?

A.

中学生の頃からずっとエンジニアになりたいと思っていました。パナソニックグループがプロジェクションマッピングを手がけているということで興味を持ち、調べるとパナソニック コネクトが顔認証のシステムを作っていて、私の大学の研究室の画像処理と似通っている部分があり、縁を感じました。(末廣さん)

Q.

仕事で理系の学びは活かせていますか?

A.

論理的な考え方は、お客様に提案するときに活かされていると感じます。プログラミングの知識も、システムに関わるときに分かっていないと理解できない部分があるので、活かせていると思います。(勝治さん)

研究室でやっていたことと今やっていることは、かなり近いことなので、直接活かせていることが多いと感じます。(秋山さん)

最後に、女性技術社員と交流会が行われました。中高生たちは「会社のいいところってどんなところ?」「お客さんとの打ち合わせってどのようにやるんですか?」といった質問から、「大学院ってどのくらいキツかったですか?」「服装とか髪型に決まりはあるんですか?」まで、たくさんの質問を投げかけていました。

オフィスツアー参加者の感想

参加者

顔認証の技術は便利だなと思いました。オフィスもみんな自由に席に座っていて、イメージとちょっと違いました。算数が数学になったことで難しくて理系に進むか悩んでいましたが、今日参加してみてやっぱり理系に魅力を感じました。実際に働いている人の話を聞いてみると、意外と高校生ぐらいに理系を選択している人もいて安心しました。

社会インフラを、クラウドやAIで支えるIT企業オラクル

日本オラクル株式会社は、米国テキサス州オースティンに本社を置くグローバルなIT企業、オラクル・コーポレーションの日本法人として、クラウドサービスやAIソリューション、ビジネス・ソフトウェアをはじめとする幅広いITソリューションを提供しています。銀行や大学、病院、鉄道など、私たちの生活を支える社会インフラで、オラクルのクラウドやAI技術が活用されています。今回のオフィスツアーでは、オラクルがテクノロジーを通じて社会やビジネスの未来をどのように支えているのかを知るヒントがたくさん見つかりました。

天空の茶室に参加者もびっくり

まずは小グループに分かれて、オフィス見学へ出発。グローバル企業の日本法人ということで、近代的なオフィス空間のいたるところに「和」を意識したしつらえが見られます。ビルの中に突然現れる本格的な茶室「聚想庵(しゅうそうあん)」や、巨大な墨絵とガラス張りの床下に枯山水の砂紋がある執務エリア、木材がふんだんに使われた、まるでホテルのラウンジのように高級感のある食堂など、参加者は、都会のオフィスに設けられた安らぎと癒しの空間に驚いていました。

オフィスツアーの様子

茶室には、茶道の専門家が常駐していて、訪れた人に本格的なお点前を提供しています

カフェスペースや会議室など、ゆっくりと話せる場所で、女性社員からオラクルの会社説明や働き方について説明を受けました。新卒で配属された後の研修内容や、社員それぞれの1日の過ごし方を教えてもらうことで、オラクルで働く人のイメージが湧いてきました。オフィスに展示されているサーバーの模型の大きさに驚いたり、執務エリアで働いている社員の様子を間近に見たりすることで、さらにイメージが具体化されていきます。

オフィスツアーの様子

高性能データベース・マシン「Oracle Exadata(オラクル エクサデータ)」の模型

社会課題って難しそう?テクノロジーを持ち出す前に“何を解決したいか”を大事にする

続いて行われたグループワークのテーマは「社会課題をどうやってテクノロジーで解決するかを考える」。5つのグループに分かれ「新国立競技場、もしくはその周辺の社会課題」を探して、解決策を発表しました。広げた模造紙を何枚も使い、アイデアを付箋で張りながら議論は進行。

オフィスツアーの様子

意見が活発に飛び交い、白熱している様子でした

答えよりもまず「何を解決したいのか」という問いを立てることで、より革新的なイノベーションを生み出せるということを学んでいきます。国立競技場の最寄り駅の混雑を解決するために「そもそも行かなくて良い方法を考えよう」という切り口が提示されるなど、斬新なアイデアが散見されました。

大切なのは失敗を恐れないこと

少人数に分かれて行われた質疑応答では、女性社員が参加者からの疑問に答えました。

オフィスツアーの様子

ソーシャルインフラカスタマー本部の浦部綾子さん

Q.

なぜこのオラクルを選んだのですか?

A.

性別や国籍、年齢に関係なく、自分がやりたい仕事をやらせてもらえるという点が魅力的でした。入社面接のとき「2歳の子どもがいるのですが、入社しても上手に働いていけますか?」と質問したところ「責任の重さは変わらないけれど、働き続けられるように配慮をしていくから心配しないで」と言われ、入社を決めました。

Q.

仕事の上で一番大事だと思うスキルはなんですか?

A.

失敗を恐れないことですね。働いていると失敗することがたくさんあります。そこで「私ってダメなんだ」と思い詰めずに、同じことを繰り返さなければいいんだと考えることが大切。チャレンジを続けていくことで成長できると思って、頑張っています。

Q.

IT以外の仕事をされたことはありますか?

A.

新卒で入社したのはIT企業でしたが、「まったく違うことがしたい!」と思い、1年間整体師として働いたことがあります。その後、今後の人生を考えたときに「将来は週末に家族と過ごしたい」という思いが芽生え、再びITの世界に戻ってきました。
自分の思い通りにならないことがあっても、頑張った経験はあとで自分を支えてくれることが多いです。困難があっても、まずはやってみる。その頑張りは無駄にならないはずです。

オフィスツアー参加者の感想

参加者

自分の視野が広がったと思います。初めて会った人と話すのが好きなので、とても楽しかったです。グループワークでは、アイデアをシェアするときに自分なりに貢献できたな、という手応えがありました。イノベーションを身近に感じたというか、未来の自分がイノベーションに参加している姿をリアルに想像することができた気がします。

日本のインターネットの先駆者 IIJ(インターネットイニシアティブ)の先進テクノロジーを見た!

今では誰もが日常的に利用しているインターネット。その将来性に着目し、日本でいち早くインターネット分野を切り拓いてきたのが、株式会社インターネットイニシアティブ(以下IIJ)です。

今回のオフィスツアーでは、さまざまな施設を見学しながらインターネットを使ったシステムや仕組みについて学びました。

「IIJが創業した1992年当時、日本には誰でも気軽に利用できるインターネットは存在しませんでした。今の“ネットワーク社会”と呼ばれる仕組みにいち早く着目し、インターネットのフィールドをゼロから構築していったのがIIJなのです」という広報の小河さんからの会社説明に、生まれたときからインターネット環境が身近にある参加者たちは驚きながら聴き入っていました。

オフィスツアーの様子

インターネットの成り立ちについての説明に、参加者たちは興味津々

本格的なスタジオや施設に一同ビックリ!

続いて参加者たちは、オフィス見学に出発。
まるで本物のテレビスタジオのような撮影スタジオでは、グリーンバックの前に座ってニュース制作を体験。迫力のサウンドを体感できる試写室と、逆に雑音がすべて遮断されるアナウンスブースなども見学しました。

オフィスツアーの様子

スムーズに原稿を読み進める参加者に「皆さん普段から配信してますか!?」と社員さんも大絶賛

続いて見学した、24時間365日休まず稼働している「セキュリティオペレーションセンター(SOC)」では、大勢の人がモニターと対峙し、サイバー攻撃などの危険をいち早く察知するため、インターネット上のさまざまな情報を監視していました。

日々使っているインターネットの仕組みを体験

ひと通りオフィスを見学したら、ソフトウェアコースとハードウェアコースに分かれ、体験型のワークショップへ。

ソフトウェアコースでは、普段何気なく使っているスマホやパソコンのWebサイトが、どうやって作られているのかを体験。自分の好きなデザインでWebページを作る体験をしました。

ハードウェアコースでは、サーバやスマートフォンの実物を扱い、起動させたり、分解されたモデルを見たりしながら、作りを学びました。インターネットの仕組みについて内部と外部から知る、という新しい体験に、参加者も興味津々でした。

オフィスツアーの様子

左:ソフトウェアコースの様子、右:ハードウェアコースの様子

先輩社員の体験談を介して「今やるべきこと」を考える

最後は先輩社員が登場し、自身の体験談を語りながら参加者からの質問に答えていきました。

オフィスツアーの様子

モバイルサービス事業本部の山本眞実さん、人事部の菊地優貴乃さん、グローバル事業本部の田川優衣さん

Q.

学生時代に一番時間を割いたことは何ですか?

A.

ミュージカルの勉強でしょうか。今もそうですが、私は好きなことしかできないタイプ。ミュージカルが好きで、大学でも社会では役に立たないかもしれないと思いつつ、没頭していました。(田川さん)

Q.

仕事をする上で大変なことは何ですか?

A.

セキュリティ部門は夜中や休日に仕事が発生することが多いので、自分に合った働き方と生活のバランスを見つけるまでは大変でした。今では、代わりに平日に休んで好きなパン屋さん巡りをしたりと、楽しく働けています。(菊地さん)

今は子どもが幼く、働く時間に制限ができてしまったことです。でも周りのサポートもあり、そこまで窮屈に感じることなく働けています。(山本さん)

オフィスツアー参加者の感想

参加者

学校のポスターを見てツアーに応募しました。「会社って何だろうな」という無知な状態から参加したので、すべてが驚きの連続でした。先輩社員の方も若い頃はいろいろ悩んでいたと聞いて、私も今やれることを一生懸命頑張りたいと思いました。

お客様と従業員の笑顔をつくる会社 SUBARUを見学!

自動車メーカーとして有名な株式会社SUBARUですが、その歴史をたどると、原点は1917年に設立された「飛行機研究所」、後の「中島飛行機」という航空機メーカーにさかのぼります。戦後、中島飛行機は12社に分割され、そのうちの5社が共同で「富士重工業株式会社」を設立しました。その2年後に富士重工業と5社が合併してひとつの会社となり、自動車などをつくってきたという歴史があります。

「2017年には社名が『富士重工業』から『SUBARU』に変わりました。SUBARUという名称は、プレアデス星団の和名です。星が集まっている様子を、”5社が集まってひとつの会社になった”という歴史的背景と重ねて表しています」と、司会を務める人事部DE&I推進室の冨田奈緒美さんが説明してくれました。

オフィスツアーの様子

「SUBARU」の歴史を話す冨田さん

現在、北米での販売台数が7割を超えるグローバルブランドとしての地位を確立していますが、自動車と並ぶ柱の事業として航空宇宙カンパニー部門も国内外から注目されているそうです。

衝突を回避する“アイサイト”や、氷点下の環境を実際に体験

今回訪れた東京事業所は、エンジンやモーターなど車の動力を生み出すパワーユニットの開発拠点です。オフィスツアーでは、SUBARU独自の安全技術“アイサイト”の試乗体験も行われました。

ターゲットに向かって時速25kmで走行し、ブレーキを踏まなくても停車できることを確認しました。参加者は「思ったよりグンってきた!」「本当にブレーキ踏んでいなかった!」と口々に止まった瞬間の驚きを語ってくれました。

オフィスツアーの様子

実際に乗車して、アイサイトを体験します

次に足を運んだのは環境室。技術管理部の藤井忠則さんからは「現地テストは卒業試験のようなもの。どんな状況でも安心して運転できるように、ふだんは環境室でマイナス40度から50度まで温度設定や空気の状態を調整して、試験を行っています」と説明がありました。

特別にマイナス10度の実験室へ入らせてもらうと、そこは凍えるほどの寒さ。この日は最高気温36度の猛暑日だったため、寒暖差に驚く声も。過酷な環境に耐えることのできるクルマづくりを体感しました。

オフィスツアーの様子

「車の燃料は気温によって粘度や固さが変化するので、そういう変化もチェックします」(藤井さん)

最後に訪れたのはパワートレイン設計部。参加者は、コンピュータを使った設計に興味津々で「設計をやったことがない人でもできようになりますか?」と積極的に質問する姿も見られました。

社員が語る進路選択、女性の働きやすさと大切にしていることは?

本イベントをしめくくるのは先輩社員とのトーク。技術職で働く6名の女性社員が登壇し、働きやすさや理系の進路選択などを語ってくれました。

オフィスツアーの様子

左から、矢田堀真友さん、岡本迪さん、山本絢香さん、三橋舞花さん、清水紗英里さん、福澤柚香さん

Q.

学生の頃、将来の夢はありましたか?また自動車業界で働くことを考えていましたか?

A.

中高生の頃はやりたいことは決まっておらず、大学3年生のときに就職活動を始めて考えるようになりました。そのとき、生活に身近なものに携わりたいと思い、自動車業界などメーカーをメインに受けてSUBARUに入社を決めました。(岡本さん)

Q.

大学と就職先はどうやって決めましたか?

A.

たくさんの人と関わる仕事に就きたいという思いから工学部に進学し、医療機器の会社で働くことを考えていました。さまざまな業界の採用試験を受ける中で、会社の雰囲気に惹かれ、最終的にはSUBARUに決めました。(清水さん)

各テーブル分かれての座談会では社員の方を囲んで参加者が質問し、「文系と理系をどのように選択しましたか?」「働く上で大切にしていることはありますか?」と、より距離を縮めて積極的に質問していました。

オフィスツアー参加者の感想

参加者

身近に感じられる企業に行ってみたくてSUBARUのツアーに参加しました。将来の夢はまだ決まっていませんが、大学や就職先は自分の興味があるものを選びたいです。SUBARUはオフィスも働きやすそうで、自由な雰囲気がいいなと思いました。

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