学生の進路において大きな岐路のひとつである「文理選択」。最近では、STEM*分野と呼ばれる理系や技術系のフィールドで活躍する女性も、どんどん増えてきています。東京都では、さらなる女性活躍を推進するため、女子中高生向けオフィスツアーを開催。学生がSTEM分野で働く方々や現場に触れることで、自分がやりたいことや関心のあることを見つける機会を提供します。 *Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字をとった言葉

【目次】

革新的なエンジニア養成機関 42 Tokyoの特殊なカリキュラムに参加者たちは興味津々!
一般社団法人42 Tokyoは、完全無料のプログラミング教育が受けられるエンジニア養成機関「42」の東京校です。
「42」は2013年にパリで誕生し、現在は世界32ヵ国に56のキャンパスがあります。(2025年8月時点)グローバルレベルで活躍できる一流の人材を育てることを目的とした養成機関で、「42」の理念に賛同する企業・個人の支援によって運営されています。入学金、学費は一切かからず、18歳以上であれば学歴・資格問わず入学できます。一定のカリキュラムを修了すれば、海外のキャンパスに転入することも可能です。

「42」について説明する、42 Tokyo 田中弘昭さん
校舎は24時間365日オープン。教師不在。その特徴的な学習方法とは?
4階建ての校舎には、パソコンがずらっと並ぶ教室のほか、飲食可能なフリースペース、共有キッチン、和室の休憩スペースなど充実した設備が備わり、多くの学生が快適に学習に取り組める環境が整っています。校舎は24時間365日オープン。フリーアドレス制なので、自分の好きなスペースで自由に学べます。ずらりと並んだパソコンとモニター、実際に課題に取り組んでいる学生の姿に、参加者たちは圧倒されているようでした。

教室の様子
この42 Tokyoは、教師、授業、時間割が一切なし!”即戦力”となるエンジニアを育成するために「課題解決型学習」「ピア・ラーニング」を取り入れたカリキュラムを実践しています。課題解決型学習は、最初から課題のみが与えられ、自分で調べたり周囲の学生に質問したりしながら問題を解いていくこと。ピア・ラーニングは、学生同士で教えあい学びあう学習方法で、ディスカッションすることで理解が深まるだけでなく、仕事に必要なコミュニケーション能力も身につけられます。

学習方法について説明する、現役の学生さん
その学習方法をツアー参加者にも体験してもらうために行われたのがプログラミング体験会。多くのエンジニアが実際に利用しているプログラミング言語「Python」の基礎を、ゲーム形式で学びました。最初は一人で考えながら問題を解き、プログラミングの楽しさや難しさを実感。その後3~4名のグループに分かれ、みんなで問題に立ち向かいました。自分だけでは解けなかった問題も、仲間と一緒に協力し合いながら挑戦していくことで次々とクリア!問題を解く楽しさや大変さをみんなで分かち合っていたのが印象的でした。

個人ワーク、グループワークの様子
現役女子学生3名によるパネルディスカッションを実施
最後は、現在42 Tokyoに通っている3名の女子学生が登壇。入学を決めたきっかけや将来の夢などを語ってくれました。

左から、瀧本志帆さん、斎藤津奈実さん、本間梨花さん
- Q.
-
42 Tokyoに入学した理由や、実際に入学してよかったところは?
- A.
-
一度は日本の企業に就職しましたが、将来海外で仕事をしたいという夢を諦めきれず、エンジニアの仕事スキルがあればどこに行っても活躍できると思い、仕事を辞めて入学しました。ここでは世界各国の企業が必要としている最先端の技術を学べる点が魅力です。(本間さん)
- Q.
-
プログラミングの「これが楽しい!」ポイントって何ですか?
- A.
-
課題を解いているときに思った通りに動かないことが多いのですが、それを自分の力で解決したときにとてつもない達成感を味わえます。(瀧本さん)
- Q.
-
プログラミングの「正直ここがしんどい」ポイントって何ですか?
- A.
-
設定やエラーコードなど覚えることが多くて、それを身につけるのが大変です。次々と新しい技術が生まれるので、情報をチェックしたり調べたりするのは常に必要な作業になります。(斎藤さん)
- Q.
-
将来の夢は何ですか?
- A.
-
ゲーム製作や、エンタテインメントに繋がるプログラミングの仕事がしたいなと思っています。(瀧本さん)
私たちの生活の中で何か困ったことがあったときに、それをプログラミングで解決し、社会に貢献できるような人材になりたいです。(齋藤さん)
デザイン制作などのクリエイティブな作業が得意なので、それを活かせるようなグローバルな仕事をしたいです。(本間さん)
ツアー参加者の感想

プログラミングのゲームはとても難しかったけれど、みんなと一緒に解けたときは本当に嬉しかったです。これから文理選択が行われ、進学についてもいろいろと考えていく時期に突入するので、今日参加したことで42 Tokyoへの入学も選択肢に入れたいと思いました。

“こうだったらいいのに”をカタチに - ビズリーチで働く先輩エンジニアの素顔に迫る!
株式会社ビズリーチのオフィスツアーは、南の島のような雰囲気の広々とした来客スペースで行われました。冒頭、採用部の㓛刀(くぬぎ)みのりさんが「ビズリーチは“転職したい人と企業をインターネットでつなぐ”転職サイトで、293万人以上の登録者(スカウト可能会員、2025年4月末時点)がいるITサービスです。これは京都府の人口(251万人)を上回る数なんですよ」と紹介すると参加者からは驚きの声が上がりました。

会社概要について説明する㓛刀みのりさん
続いて、ITエンジニアの実際のお仕事について紹介するべく登壇したのは、HRMOSプロダクト統括1部 採用プロダクト部でマネージャーを務める狩野咲美さんと、ビズリーチプロダクト統括部 CRSプロダクト部の井上真悠子さん。理系を選択した理由について、狩野さんは「宇宙の特性に興味があり理系を選択しました」と語り、井上さんは「数学・物理の答えにたどり着く爽快感」に惹かれたと話してくれました。中高時代の部活や“推し活”の経験を交えた自己紹介には、参加者たちも“理系の先輩像”をより身近に感じたようで興味津々!真剣にメモを取っていました。

左:採用プロダクト部 マネージャー 狩野咲美さん 右:CRSプロダクト部 井上真悠子さん
エンジニアって面白い!ビズリーチ流“チームでつくる仕事”の魅力をデモアプリで体験
その後、転職サイト「ビズリーチ」のデモアプリを実際に操作しながら、要件定義からリリース後の改善に至るアプリ開発の工程を体験。新着メッセージ通知機能など身近な機能の目的や設計の流れを学び、プログラミングにとどまらず、チームで要件を決めて進める開発プロセスの面白さが伝わりました。狩野さんは「答えが1つでないパズルを解くような感覚が楽しい」、井上さんは「ユーザーが『使いやすくなった!』と喜んでくれたときがうれしい」と、それぞれエンジニアの醍醐味を語っていました。

配られたスマートフォンを使ってデモアプリを操作する参加者たち
続いて、実際に社員が仕事をしている執務エリアを見学。清潔感と開放感のある広いフロアや、階段型のソファが印象的なユニークな会議室などに参加者は興味深そうに見入っていました。
“好き”を見つけることが出発点。先輩たちと語り合ったリアルなエンジニア像
オフィスツアー後は、座談会が開かれました。2グループに分かれた参加者たちは、学生時代の過ごし方からチーム開発の裏側まで、気になることを次々と質問。リラックスした雰囲気の中で、等身大のアドバイスが交わされました。

座談会は2テーブルに分かれ、時間を区切って社員が入れ替わり参加者たちと交流していました
- Q.
-
将来の夢は、もともとエンジニアでしたか?
- A.
-
正直なところ、はっきりした夢はありませんでした。宇宙が好きだったので理系には進みましたが、研究職は違うかなと思っていて。そんな中、大学で簡単なプログラミングをしたらすごく楽しくて、「もしかしたら向いてるかも」と思ったのが始まりでした。(狩野さん)
- Q.
-
プログラミングはどうやって学びましたか?
- A.
-
本格的に学んだのは入社してから。最初は本当に初心者でしたが、同期と相談しながら乗り越えてきました。機械やロボットをいじるのが得意じゃなくても大丈夫です。言語を覚える感覚なので、英語が得意だとちょっと有利かもしれません。(狩野さん)
- Q.
-
チームでの開発がうまくいかないときはどうしていますか?
- A.
-
文化祭などと同じで、「これをやりたい」という目標をチームで共有することが大事です。認識を合わせて、役割を補い合う関係ができればうまく進むと思います。(井上さん)
- Q.
-
理系が苦手でもエンジニアになれますか?
- A.
-
問題ないと思います!エンジニアは、理系での学びがいきるところもありますが、物事を言語化して考える仕事でもあるので、理系・文系というよりは”伝える力”が大事です。(井上さん)
オフィスツアー参加者の感想

最初はエンジニアって、理系の人がPCに向かってずっとプログラミングしている仕事だと思っていました。でも今回、文系でも全然大丈夫だと知って驚きましたし、いろいろな働き方があることも学べました。エンジニアという仕事への興味はもともとあったけど、話を聞いてさらに深まりました。職場の雰囲気もよくて、“ここで働いてみたい”って思いました。

「21世紀を代表する会社」を目指すサイバーエージェント
国内有数のインターネット企業として知られる株式会社サイバーエージェント。渋谷駅にあるAbema Towers(アベマタワーズ)でオフィスツアーが開催されました。
広い会議室に参加者が集まると、エンジニア採用担当の横井さんによる会社紹介からスタート!

サイバーエージェントの事業内容を説明する横井さん
「サイバーエージェントで働く社員は約8,000人で、メガベンチャーと呼ばれる規模です。事業の柱はメディア&IP(知的財産)、ゲーム、ネット広告。動画配信のABEMAで知られていますが、スマホゲームにも力を入れていて、アプリを提供するパブリッシャーとして世界で注目されています」(横井さん)
投影されたスライドに馴染みのあるサービスやコンテンツを見つけて、仕事内容により興味をひかれた学生も多くいるようでした。
同社が創業以来掲げるのが「21世紀を代表する会社を創る」というビジョン。そのために職場環境を充実させており、社員からも『働きやすい』という声があがっているそうです。

「『macalon(マカロン)』と呼ばれる女性活躍推進のための福利厚生には、卵子凍結の費用補助のほか、用途を明らかにせずに取得できるエフ休という制度があり、女性社員の7割が利用しています」(横井さん)
「エンジニアの仕事はチームワークが重要」
エンジニア職の社員によるトークセッションでは、入社5年目の縣(あがた)さんが、ソフトウェアエンジニアになったきっかけを話してくれました。

学生時代の話をする縣さん
「学生時代にデータサイエンスの授業で、RとPythonを扱ったのがプログラミングとの出会いです。授業では難しそうだなと思っていましたが、アプリ開発に挑戦して自分でコードを書いたアプリがiPhoneで動くのを見てハマりました。そこで、たくさんの人に使ってもらえるアプリを作りたいと思ったんです」(縣さん)
また、参加者から「エンジニアの仕事で大切なこと」を聞かれると、「チームワークが重要です。一人でPCと向き合って仕事する姿を想像されがちですが、会話している時間のほうが長いくらいです。ユーザーが使いやすい機能にするためにどうしようかと、みんなで頭を悩ませながら仕事をしています」(縣さん)と意外な回答が。参加者たちは縣さんの回答を聞いて、驚きの表情を見せていました。

積極的に手をあげて質問する参加者たちから、熱量が伝わってきます
W杯配信の裏側で社員が奮闘!?
続いて、若手エンジニアの浜谷さんも加わって事前に募集した質問に答えてくれました。

左から、縣美早さん、浜谷巴菜さん
- Q.
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大学や進路はどうやって決めましたか?
- A.
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出身が富山なんですが、「(日本は)食料自給率が低いと聞いていたのに、耕作放棄地があるのはなぜだろう」と疑問を感じたことがきっかけで農学部に入りました。(浜谷さん)
- Q.
-
仕事でやりがいを感じることはなんですか?
- A.
-
サービスを使って楽しんでもらえたときです。「FIFA ワールドカップ カタール 2022」(以下、W杯)をABEMAで全64試合生中継したのですが、大会期間中、友達がABEMAで観戦している様子をInstagramに投稿していました。そのときはとても嬉しかったですね。(縣さん)
- Q.
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仕事で苦労したことはなんですか?
- A.
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システムの不具合があれば、すぐに対応しないといけないことです。イレギュラーなケースですが、W杯の時期は時差の関係で深夜帯に監視する必要があり、チームで昼夜交代で対応したときは生活リズムが崩れて大変と言っているメンバーもいました。(縣さん)
- Q.
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エンジニアとして働くおすすめポイントはなんですか?
- A.
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いろいろな業界のアプリケーションを製作できるのはおもしろいですね。知的好奇心も満たされます。(浜谷さん)
- Q.
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学生時代の経験で役立っていることはありますか?
- A.
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社会人は自分で仕事を取りに行くことが大事です。そのため、いろいろなコミュニティに所属して、自分の強みやポジションを知っておくと、どんなチームに入っても活躍できると思います。(浜谷さん)
オフィスツアー参加者の感想

私は推しがいるんですが、そのグッズの発売元がサイバーエージェントだったので今回参加しました。スマホゲームも名前を聞いたことがあるものが多くてびっくりしました。将来、人を楽しませる仕事をしたいと思っていたので、今日のお話を聞いて楽しさを作る理系の仕事に興味が湧きました。

ゲームづくりって理系の人だけ?そう思う前にセガの世界をのぞいてみて!
さまざまなゲームコンテンツを全世界に向けて提供しているエンタテインメント企業・株式会社セガ。『ソニック』や『龍が如く』『ぷよぷよ』など、ヒットコンテンツを多く手掛けています。今回のオフィスツアーは、人事部の清水祐奈さんの挨拶からスタート。「弊社は、今年で設立65周年の歴史を持つゲームの企画開発販売を行う会社です。本日はプログラマの中でもゲームプログラマというお仕事に触れてもらい、その楽しさや魅力を感じていただきたいと思います!」と参加者に笑顔で語りかけました。

今回のオフィスツアー概要にて説明する清水祐奈さん
イメージは波止場の酒場、そして世界の港町!?セガサミーのオフィスが楽しすぎる!
最初は、オフィスの見学に出発!セガサミーの本社オフィスは「壮大な船旅」をテーマに設計されており、遊び心と創造性に富んだ空間に参加者からは歓声が上がっていました。
食堂エリアには、フードコートのように広々とした社員食堂や、「波止場の酒場」をイメージしたバー、バカラ、ビリヤード、ダーツといった遊技台などが。そんな執務以外の空間にも遊び心とこだわりを感じるオフィスに参加者も大興奮!
客船をイメージした総合受付エリアには、セガの人気キャラクターのスタチューのほか、アーケードゲームの実機なども置いてあります。設置物の合間にはところどころ隠れキャラが忍ばせてあり、わくわくするような空間になっていました。

受付にあったオブジェを横から見ると、隠れソニックが……!
来客用会議室の各部屋には世界の港町や都市名がつけてあり、内装も港町ごとに異なります。まるで社内で世界旅行をしているかのようでした。
体験ワークでは、大人気ゲーム『ぷよぷよ』を使ってプログラミングに挑戦!
オフィス見学のあとは、日本eスポーツ連合に所属しぷよぷよ部門でプロ選手として活躍する、やまたけプロを講師に迎えた体験ワーク!女性プログラマ社員によるサポートのもと、『ぷよぷよ』のプログラムを使用して空白になっているソースコードを完成させてゲームの動きを再現します。参加者はほぼ全員『ぷよぷよ』の経験者ということで、ワクワクしながら参加していました。後半では「連鎖に応じて背景画面が切り替わる」といった高度なプログラミング仕様にも挑戦しました。

プログラムについて解説するやまたけプロ
理系進学のきっかけは?ゲーム開発の楽しさとは?女性社員とのQ&Aセッション
最後に、女性プログラマのみなさんが参加者からの質問に答えていきました。最初は文系だったという体験談や、プログラムの面白さ、難しさなどをリアルな目線で話していただきました。

ワークショップからQ&Aセッションまで担当してくださった女性プログラマの方々
- Q.
-
理系に進学した理由は何ですか?
- A.
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実は高校の文理選択では文系を選びました。プログラマではなく、企画を考えるゲームプランナーになりたかったからです。高校卒業後にゲームづくりの専門学校に入って初めてプログラミングに触れ、「あれ、楽しいかも!」と思い、そこから本格的にプログラマを目指しました。急に理系に進んだので大変でしたが、今は楽しく働いています。(後藤さん)
- Q.
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ゲームプログラムの魅力を教えてください。
- A.
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プランナーが考えた概要や計画、デザイナーがつくったリソースを実際にゲームに落とし込めるのはプログラマだけです。落とし込むだけではなく、「もっとこうしたほうがいいんじゃないか」というアイデアをチームのメンバーに共有して、実際にそれがゲームに反映されることもあります。そして、一番初めに成果物を見るのもプログラマですよね。このようにチーム全体のアイデアを形にすることができることが魅力だと思っています。(五反田さん)
オフィスツアー参加者の感想

参加者はゲーム好きで来ている子が多く、全く知らない子同士でも打ち解けることができました。また、社員の方ともアニメやゲームの話で盛り上がり、イベント内容も楽しかったです。社内はどこを見ても遊び心満載で、何かしら面白い点があるのが素敵だなと思いました。
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