アリオン

アリオン Blu-ray

「ケ」

 

やで。

と、お兄ちゃん。

 

嘘やん。

 

「クナ」

 

やで。

と、ボク。

 

何の話かって。

時は1985年に遡る。

 

あるアニメ映画公開。

その名は、

 

「アリオン」

 

そのテレビCMでのセリフだ。

 

ホザケ　アリオン　ヒトノコノブンザイデ

 

なのか、

 

ホザクナ　アリオン　以下同

 

なのか、言い合いをした記憶が朧げ乍ら残っていた。

 

たまたま今現在、Amazonプライムに加入しており、ぼんやりどんな映画があるのか探す訳でもなく画面を見ていた私。

 

そこで、この映画を見つけたのだ。

 

そうだ。どっちが正解か見てやろう。

 

と、私の好奇心が静かに動き出し、それはiPadの向きを90度回転させた。

 

初めに徳間書店の文字。

ファミマガやん。

そして、

安彦良和様。

ガンダムやん。

音楽、

久石譲様。

ジブリやん。

 

知ってる有名どころの名前ばかりが登場し、否応無くテンションが上がった。

 

後で調べてみると丁度ゼータガンダムが終わり、ダブルゼータガンダムが始まった頃の映画のようで。

 

主人公のアリオンが、まんまカミーユに見えましたよ。

喋るセリフもまんまそんな感じ。

 

さあ、どっちなんだい。

 

ケかクナか。

 

劇の内容はそっちのけでセリフのみを、全集中で聞いていた。

 

そして、結果は。

 

「ケ」

 

だった。

 

ええぇ。

 

そうだったのか。

 

という事は、私の負けか。

 

代償は勿論払わないし、兄へ結果の連絡もする必要も無いのだが、何故だかとても、私は落胆してしまった。

記憶が捏造されていたと言う事実だけが、そこにはあった。

 

—絶対に、「クナ」なんだあ。

 

カミーユばりに、拳を振り上げ虚空に向かい叫ぶ私の心。

 

やっぱり、釈然としない。

 

うん。そうだ。

ひょっとしたら。

 

YouTubeでCMを検索した。

 

ほらぁ。

 

「クナ」

 

やんか。

 

記憶が捏造でない事が分かり、ほっと胸を撫で下ろす。

 

ただし、劇中では、

 

「ケ」

 

だから、

 

この勝負。

 

引き分け、で宜しいか。

 

ねえ、兄者。