豊橋市議の長坂です。
安城市の工業(製造品出荷額等)、豊橋市より上でした。
さて、先日の下記ブログにて、豊橋の東(~横浜の手前)のアリーナ状況について触れましたが、
結論から申せば、新幹線駅で豊橋西隣の三河安城駅の真ん前で、新アリーナが計画されているものの、
その立地でもコンサート需要の見込みが低く、収支も厳しいことが読み取れます。
■
まずもって、この新アリーナは(今のところ)完全な民設民営で、僕が口を挟むような話でありません。
あくまで、近隣の参考事例としてのご紹介であり、シーホース三河のホームアリーナとして、新アリーナを自前で整備される、母体のアイシン(グループ)はすばらしく、チーム地元にこのような企業があること、うらやましくも思います。
新アリーナ予定地と新幹線の三河安城駅はこの距離(徒歩3分)です。
※アリーナの具体的な予定地は、最近まで公式な発表見当たりませんでしたが、2022年5月に下記で明らかになりました。
これらから読み取れることをいくつかまとめます。
1.やはりコンサートなど音楽興行は厳しそう
「120万円/日」という利用料は、市民利用などでなく、興行など営利利用などを想定した料金と思われます。これが年間40日で試算されており、別記載に「Bリーグ公式戦 年間35日程度」とあります。つまり「120万円/日」での、Bリーグ以外のその他プロスポーツや音楽興行などの利用は年5日ほどしか見込んでいないことが読み取れます。また、資料全体を通しても、コンサートや音楽興行の記載はかなり控えめ(入社式より後の記載)です。
2.整備費まで賄うのは難しそう
単年収支(支出)の3.82億円に修繕積立金は含まれているものの、整備費の償還は記載ありません。「アリーナ単体で黒字化を目指すという考え方ではなく、」「費用負担の考え方についてもグループ内で所有と運営を分担」の記載からも、アリーナ単体での黒字化(アリーナ収入で整備費まで賄う)が想定されていないことが読み取れます。
3.単年収支(黒字)も難しそう(広告収入、大き過ぎ?)
単年収支(収入)3.82億円の3分の2が、「命名権・広告収入:2.44億円」という試算になっています。2.44億円のうち命名権と広告収入の内訳はわかりませんが、施設運営で可能な広告収入は看板などの屋外広告と思われますので、億単位になることは考えにくいです。従って、命名権が2.44億円の多くを占める試算に思われます。しかしながら、命名権年額の他事例と比べると、億を超えるのはほとんどがプロ野球のホームスタジアムであり(一部、Jリーグもあり)、Bリーグのホームではよくて千万円台となっています。おそらく、このあたりも「アイシングループ全体で運営を効率化するとともに、トータルでの収益化を目指しております」に繋がると思われます。
(参考)
https://ja.wikipedia.org/wiki/日本の命名権導入施設一覧
■
安城の新アリーナは、民間企業が自身の負担とリスクで行う事業のため、現実的な見通しに基づく、硬め試算がされていると思われます。
三河安城駅徒歩3分という立地を踏まえても、音楽興行の見込みやアリーナ運営の収支が厳しいことが見て取れました。
豊橋市は市民国民から預かる税金でアリーナ整備を検討しているにも関わらず、
不誠実にも「若者が魅力に感じるコンサート興行」「エンタメで街に賑わい」などを掲げ、
現実から目を背け、目を逸した空論で、不採算まっしぐらに強行しようとしています。
建設・運営の事業者と契約し、引き返せなくなるデッドラインまで、後1年余りと推察されますが、
それまで少しでも計画の見直し・改善に資するよう、取り組んで参ります。
最後に繰り返しにはなりますが、民間事業者が、自身の負担とリスクで、
チームはもちろん、地域のためにもなる新アリーナを整備されることには、
本当に敬意が表され、頭が下がります。
また余談ですが「近郊に建設予定の商業施設と連携し、相互送客を計画(資料1 p7)」は、
おそらく先日公表された「ららぽーと(三井不動産)」に思われます。
新アリーナの運営に三井系の会社があるのが、たまたまかどうかまではわかりませんが。
では。
安城市の工業(製造品出荷額等)、豊橋市より上でした。
さて、先日の下記ブログにて、豊橋の東(~横浜の手前)のアリーナ状況について触れましたが、
浅井市長「新アリーナ5,000席を目指す」、静岡市「5,000席は音楽興行の需要難しい」今回は豊橋の西(~名古屋の手前)です。
http://nagasakanaoto.blog.jp/220620.html
結論から申せば、新幹線駅で豊橋西隣の三河安城駅の真ん前で、新アリーナが計画されているものの、
その立地でもコンサート需要の見込みが低く、収支も厳しいことが読み取れます。
■
まずもって、この新アリーナは(今のところ)完全な民設民営で、僕が口を挟むような話でありません。
あくまで、近隣の参考事例としてのご紹介であり、シーホース三河のホームアリーナとして、新アリーナを自前で整備される、母体のアイシン(グループ)はすばらしく、チーム地元にこのような企業があること、うらやましくも思います。
新アリーナ予定地と新幹線の三河安城駅はこの距離(徒歩3分)です。
※アリーナの具体的な予定地は、最近まで公式な発表見当たりませんでしたが、2022年5月に下記で明らかになりました。
11. 株式会社アイシンの所有するアイシン安城工場(安城市三河安城町1丁目11番地2)の移転跡地に立地を予定する多目的交流拠点の整備を通じたまちづくりに関することそして、スポーツ庁サイトに関連資料が公開されています。
- 株式会社アイシンとの地域活性化に関する包括連携協定
https://www.city.anjo.aichi.jp/shisei/houkatsurenkei/aisin.html
> (仮称)シーホースアリーナ 2021年3月 シーホース三河株式会社 (PDF:1.5MB) - 令和2年度スタジアム・アリーナ先進事例成果物(長坂注:以下、資料1)豊橋でも参考になりそうな要点は、次の通りです。
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop02/list/detail/1371873_00003.htm
> アイシンアリーナ(仮称)(PDF:1.8MB) - 令和2年度「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」選定の結果について(長坂注:以下、資料2)
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop02/list/detail/1411943_00004.htm
- 整備費:約130億円 -資料2 p1
- 単年収支:3.82億円 -資料1 p6
- うち、命名権・広告収入:2.44億円 -資料1 p6
- うち、利用料収入:4800万円(120万円/日) -資料1 p6 ⇒ 年40日
- 「Bリーグ公式戦 年間35日程度」 -資料2 p1
- 「西三河は、モノづくりの盛んな地域の為各種メーカーが集約して立地する地域のため、中型集客施設が不足していることを鑑み、イベント興行によるアリーナ収益増ではなく、企業製品展示会や入社式等の場所としての利用提案を行うことで収益増を目指す」 -資料1 p7
- 「シーホース三河のホームアリーナとして使用とともに、アイシングループの福利厚生施設として、アイシングループの利用(入社式での利用等)が見込まれている。」「 国際大会、ニュースポーツ大会、興行スポーツ大会、各種市民利用(地域スポーツ大会、住民交流会等)、コンベンション等の誘致を検討している。」 -資料2 p2
- 「アリーナ単体で黒字化を目指すという考え方ではなく、ハードとソフトの一体経営により、アイシングループ全体で運営を効率化するとともに、トータルでの収益化を目指しております」 -資料1 p6
- 「費用負担の考え方についてもグループ内で所有と運営を分担することで、アリーナ事業はCFベースでバランスが取れる形を想定しております」 -資料1 p6
- 施主:アイシン精機株式会社、建設:アイシン開発株式会社、運営:シーホース三河株式会社(三井物産フォーサイト㈱等知見ある法人のサポートを受けて運用する) -資料2 p1
これらから読み取れることをいくつかまとめます。
1.やはりコンサートなど音楽興行は厳しそう
「120万円/日」という利用料は、市民利用などでなく、興行など営利利用などを想定した料金と思われます。これが年間40日で試算されており、別記載に「Bリーグ公式戦 年間35日程度」とあります。つまり「120万円/日」での、Bリーグ以外のその他プロスポーツや音楽興行などの利用は年5日ほどしか見込んでいないことが読み取れます。また、資料全体を通しても、コンサートや音楽興行の記載はかなり控えめ(入社式より後の記載)です。
2.整備費まで賄うのは難しそう
単年収支(支出)の3.82億円に修繕積立金は含まれているものの、整備費の償還は記載ありません。「アリーナ単体で黒字化を目指すという考え方ではなく、」「費用負担の考え方についてもグループ内で所有と運営を分担」の記載からも、アリーナ単体での黒字化(アリーナ収入で整備費まで賄う)が想定されていないことが読み取れます。
3.単年収支(黒字)も難しそう(広告収入、大き過ぎ?)
単年収支(収入)3.82億円の3分の2が、「命名権・広告収入:2.44億円」という試算になっています。2.44億円のうち命名権と広告収入の内訳はわかりませんが、施設運営で可能な広告収入は看板などの屋外広告と思われますので、億単位になることは考えにくいです。従って、命名権が2.44億円の多くを占める試算に思われます。しかしながら、命名権年額の他事例と比べると、億を超えるのはほとんどがプロ野球のホームスタジアムであり(一部、Jリーグもあり)、Bリーグのホームではよくて千万円台となっています。おそらく、このあたりも「アイシングループ全体で運営を効率化するとともに、トータルでの収益化を目指しております」に繋がると思われます。
(参考)
https://ja.wikipedia.org/wiki/日本の命名権導入施設一覧
■
安城の新アリーナは、民間企業が自身の負担とリスクで行う事業のため、現実的な見通しに基づく、硬め試算がされていると思われます。
三河安城駅徒歩3分という立地を踏まえても、音楽興行の見込みやアリーナ運営の収支が厳しいことが見て取れました。
豊橋市は市民国民から預かる税金でアリーナ整備を検討しているにも関わらず、
不誠実にも「若者が魅力に感じるコンサート興行」「エンタメで街に賑わい」などを掲げ、
現実から目を背け、目を逸した空論で、不採算まっしぐらに強行しようとしています。
建設・運営の事業者と契約し、引き返せなくなるデッドラインまで、後1年余りと推察されますが、
それまで少しでも計画の見直し・改善に資するよう、取り組んで参ります。
最後に繰り返しにはなりますが、民間事業者が、自身の負担とリスクで、
チームはもちろん、地域のためにもなる新アリーナを整備されることには、
本当に敬意が表され、頭が下がります。
また余談ですが「近郊に建設予定の商業施設と連携し、相互送客を計画(資料1 p7)」は、
おそらく先日公表された「ららぽーと(三井不動産)」に思われます。
新アリーナの運営に三井系の会社があるのが、たまたまかどうかまではわかりませんが。
では。