ミクシィの総合職向け技術研修について
こんにちは。梅雨ということで猫達を洗ってさっぱりした技術部技術支援グループの高井です。
ちなみに、洗った直後の猫からは恨みがこもった目で睨まれておりましたが、乾いたらフワフワになりまんざらでもなさそうです。
今回はミクシィで12年度新卒の総合職向けに実施した技術研修についてご紹介します。新卒のエンジニア職向け技術研修については前回書いた記事にてご紹介していますのでそちらをご参照下さい。
大事なこと
総合職向け技術研修のコンセプトはWeb業界で働くための基礎教育
です。
このコンセプトを考えるに至るまでに以下3点の課題がありました。
- 職種の幅が広い
- Webサービスの基礎が漠然としている
- 「ミクシィでしか使えないこと」の教育は最小限に抑える
各課題を細かく見ていきます。
職種の幅が広い
ミクシィで言うところの総合職とはミクシィのサービス企画や広告企画を考えたり、広告商品周りのセールスプランナーだったり、SAPを始めとするアライアンス系のプランナーだったり...とにかくエンジニア職以外全体を指しています。含まれる職種が幅広いことから、いかに研修のターゲットを絞るかが難しく、研修のゴールをまず決めなければいけません。Webサービスの基礎が漠然としている
また総合職で入社された方は基本非エンジニアの方々が多く、Webサービスの基礎知識の理解が漠然としていました。エンジニアとてWebアプリケーションの開発経験がないとなかなか難しいところがありますが、まだ共通言語の Programming を通して会話が出来ます。この「基礎を教えなければいけない」ということがハッキリしたことで大体の方向性が見えてきました。「ミクシィでしか使えないこと」の教育は最小限に抑える
こちらは新卒エンジニア研修でもテーマにしていたもので、出来るだけ普遍的な知識を教育できるようにと努めました。これら課題を引っ括めて考えだしたコンセプトが
Web業界で働くための基礎教育
です。これであれば職種幅の広さもカバーできますし、Webサービスの基礎も伝えられます。また、基礎教育の為普遍的な知識をまず教えないといけないですしね。
ということで次はこのコンセプトを基に新卒総合職向けに考えた技術研修についてご紹介します。
総合職向け技術研修
ということで何とかコンセプトは決定したのですが広範囲の知識をカバーしなければいけません。期間などの時間的な制約がありますし、もちろん研修実施は内製でをモットーとしているので(前回の記事参照)実施出来ることは限られています。その結果考えられた総合職向け技術研修の科目は以下5科目になります。前半はジャンルで後半が科目名になります。
- Web基礎:Webアプリケーション基礎
- Webビジネス:知財管理
- Webビジネス:データ分析
- Web制作:Web開発基礎
- Web制作:UXD研修
Webサービスの制作に必要なスキルをいくつか仮定し、そちらに上記スキルを当てはめたものが下記になります。
それでは各科目について説明します。
Web基礎:Webアプリケーション基礎
Web制作の基礎ですのでWebそのものの特徴を知らないとお話になりません。ここではインターネットの仕組みから始まりWebの基礎やWebアプリケーションの仕組みについて学んでいきます。Webの基礎ですのでインターネットを始めWebサーバやアプリケーションサーバなどの解説もしていきますし、HTTPのお話(リクエストとレスポンス、GETとPOSTの違いなど)についてもお話をします。ただあまりに細かく説明してしまうととても時間が足りません。なのでここではエンジニアと会話するときに必要な最低限の共通言語を知っていただきます。Webビジネス:データ分析
Webサービスを作るPDCAの過程の中でWebサービスを作ろうと考えるとき(Plan)や作ったサービスの効果を確かめるとき(Check)に必要なデータ分析について学んでいきます。こちらの講義ではデータ分析の基礎について学ぶことができます。データ分析の基本的な流れから定量データ、定性データの特徴を比較したりなどWebサービスを利用する側の意図や気持ちをいかに汲み取るか?について説明します。さらに定性データの取得方法については実際にグループワークを実施し、コツや難しさについて実体験をしていただきます。中の人による講義です
グループワークの様子です
Webビジネス:知財管理
新しいサービスを考えた際のサービス名称などは商標に関わってきます。著作権はコンテンツを扱う際に欠かせない知識ですし、特許はサービスを企画する段階でも気になる要素ではないでしょうか。新しい機能やサービスのアイディアを考えついたとき、知財面でも適切な保護や評価がされたほうがいいですよね?ということで、この研修では知的財産(知財)の全体像を始め、商標・著作権・特許の3種類について学んでいきます。3種類の知財について特徴と想定されるリスク、実際の事例などを交えている構成なので実践的な知識を身に付けることが出来ます。Web制作:Web開発基礎
総合職は実際にプログラミングなどはしませんが開発に関連する技術の知識は必要です。プログラミングの中心となるPerl、JavaScript。そしてDBやSQLなどの基礎各種名称について学んでいきます。さらにWebサービスを安定して運用するためのアクセスやデータ処理、データーベースの負荷分散や、安全に利用していただくための情報セキュリティについても紹介しています。またこの講義内ではミクシィのプロジェクトや開発の流れ、プロジェクトの登場人物など実業務に必要な知識も修得していきます。Web制作:UXD研修
より良いサービスを作ろうと考えるとき、そのサービスがユーザにどう捉えられ、使われるか?といったユーザ体験を考えていくことが必要となってきます。このUXD研修では、良いユーザー体験を実現させてサービスを成功させるためのアプローチであるHCD(人間中心設計)を学びます。まずはHCDの基本的なプロセスについて学んでいただき、その後はユーザへのインタビューと利用状況の観察を通して実際にユーザ体験を提案していきます。UXD研修はカテゴリをWeb制作としていますが、データ分析同様にサービスの効果を確かめる段階でも活用できます。操作方法を観察します
ポストイットを使って分析している様子です
おわりに
前述していますようにこれらの講義はほぼ内製(一部、外部講師にコンサルティングをお願いしています。)です。データ分析はミクシィのリサーチグループにお願いしていますし、知財管理は知財グループ、UXD研修はデザイングループにご担当いただきました。内製することにより技術研修同様、カスタマイズが容易ですし、何より新卒以外への研修実施が容易になります。また、新卒の皆さんにもこれらの知識についての相談先をご紹介できる機会にもなります。
今後は新卒だけでなく既存社員へ研修を実施していったり、必要に応じて講義科目の拡充などを考えていきたいと思います。
Web制作全般に必要な知識はまだまだ他にも沢山ありますが、少しでもWeb業界未経験の方が仕事しやすいようにお手伝いが出来ればうれしいなと考えております。
こんなミクシィの技術研修を受けてみたいと思ったアナタ!ぜひこちらからエントリーしてみてくださいね。