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一括データ復旧システムを開発しました

※こちらの記事は過去のブログから転載したものです。
CREグループのjinです。CRE (Customer Reliability Engineer) グループは「サービスに対するユーザーの信頼性向上を技術面からサポートする」ということをミッションとして日々業務に取り組んでいます。

今回はそんなCREの取り組みの中から、一括データ復旧システムを開発してデータ復旧対応を改善したお話について書きたいと思います。

データ復旧対応について

一括データ復旧システムについて書く前に、データ復旧対応についてと既存のデータ復旧システムの課題について少しふれたいと思います。

データ復旧対応は機種変更や端末の故障といった理由により、ユーザーが自身でプレイデータを復旧できなかった場合に、問い合わせを受けたCSスタッフがユーザーに代わってプレイデータを復旧する対応です。

スマホアプリ「モンスターストライク」ではデータ復旧のお問い合わせがお問い合わせ件数の半分を占めています。 データ復旧対応では手違いや事故を防ぐために慎重に本人確認をする必要があります。そのため、対応フローはとても複雑で一括データ復旧システム導入前はお問い合わせをいただいてから対応完了通知までに2営業日以上かかっている状況でした。

既存のデータ復旧システムの課題

既存のデータ復旧システムの課題は以下です。

CSスタッフが1件1件対応している
既存のデータ復旧システムはユーザーごとに1件ずつしか対応することができませんでした。さらに、本人確認項目がとても多く複雑で1件1件にとても時間がかかっていました。

確認ではZendeskとCSツール両方を見なければならない
データ復旧対応を含むCS対応では主にZendeskというCRMと、CSツールと呼ばれているユーザー情報確認用の内製ツールを使用して対応をしています。

お問い合わせに記載された内容とユーザー情報を照合するために、両方のツールを行ったり来たりする必要がありました。

業務分担ができない
確認からデータ復旧までを1人のスタッフが一貫して行う必要があり業務分担ができませんでした。また、一連の対応には業務に対する高い理解度が求められることから習熟度の低いスタッフを担当にすることができないといった課題もありました。

上記の課題を解決することを目的として一括データ復旧システムの開発を進めました。 (余談ですが、毎年周年イベント時にデータ復旧のお問い合わせが大きく増加する傾向があり、昨年10月の4周年イベントに間に合うようにフロント、バックエンドに分担し2名で1ヶ月で開発しました。)

一括データ復旧システムについて

主な機能と仕組み

一括データ復旧システムの仕組みを図にしました。

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振り分け (手動)
CSスタッフがデータ復旧に関するお問い合わせを確認し、一括データ復旧の対象かどうかを判断して振り分けます。(ここはまだ手動です...)

API経由で取得
Zendesk API経由で一括データ復旧対象のお問い合わせを取得します。 お問い合わせ取得時にZendeskにおける問い合わせの管理単位であるチケット(Zendesk Ticket)を「取得済み」へ変更し重複して取得が行われないようにしています。 詳細については図2 Zendesk Ticket取得時の仕組みをご参照ください。

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事前検証、直前検証
本人確認やデータ復旧が可能な状態のアカウントかどうかなど、データ復旧に必要な確認を自動で行います。

スタッフによる目視検証 目視で確認が必要な項目については一覧形式のUIで表示し一括で確認を行います。 目視で確認する項目はCSツールだけで確認が完結する内容です。

データ復旧
全ての確認が完了しデータ復旧可能なお問い合わせの場合は自動でデータ復旧を行います。

API経由で更新
確認が完了したお問い合わせに対しZendesk Ticketを更新します。お問い合わせのステータスを「対応完了」もしくは「検証NG」へ変更し、各確認項目の結果をコメントへ記載します。

完了通知
データ復旧が完了したお問い合わせについてはZendeskの自動化機能を使用して対応完了通知を送信します。

データ復旧から対応完了通知までの詳細については図3 データ復旧時の仕組みをご参照ください。

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一括データ復旧システム導入による効果

一括データ復旧システム導入により課題を解決するとともに大きな効果をあげることができました。

課題の解決

一覧形式のUI + 自動化により一括での対応が可能になった
目視で確認が必要な項目を一覧形式のUIで表示することで一括で確認が行えるようになりました。また、その他の本人確認、データ復旧処理、完了通知をすべて自動化することで一括で対応が行えるようになりました。

ZendeskとCSツールそれぞれで業務が完結するようになった
業務の分担が可能になった ZendeskとCSツールそれぞれで業務が完結するようになったことにより業務分担が可能になりました。業務分担が可能になったことで、人員配置の自由度も増しました。

数値で見る効果

1件あたりの平均対応時間(導入前との比較): 1/36
お問い合わせの入信から対応完了(返信)までの時間: 24時間以内
システムによる自動移行率: 40~50%


先日、XFLAG PARK2018でルシファー獣神化の発表があった影響でデータ復旧のお問い合わせが通常時の3倍に跳ね上がりましたが、CSスタッフの増席なしに大幅な遅延なく対応することができました。 また、システム導入後の実績を参考にして増席は必要ないと事前に判断できたことから、ルシファー獣神化の情報共有を必要最低限に抑えられたという効果もありました。 業務効率化だけではなく、間接的にではありますがユーザーサプライズファーストに貢献できたことを嬉しく感じます。

終わりに

一括データ復旧システムは仕組みはシンプルですが大きな効果を上げています。

ここ最近ではCSにAIを導入する動きが多く見られますが、AIには導入コストが高いという課題もあります。 一括データ復旧システム導入を通して課題を解決する際に始めからAIの使用を前提とするのではなく、AIとそれ以外の方法でどちらがより効果が見込めるのかをきちんと判断することが必要だということを実感しました。

とは言え、CSにはAIを活用して解決できる課題も大いにあると考えています。 CREグループではこれからAIによる課題解決にも取り組んでいこうとしています。 今はまだ試行錯誤の段階ですが、取り組みの成果をまた別の記事でご紹介できればと思います!

CSスタッフたちが人でしかできないサポートに注力できるように、CREは業務効率化を進めてサポートしていきたいと考えています。