ひつじのにっき

mhidakaのにっきです。たまに長文、気が向いたとき更新。

Android Open Textbookプロジェクト milestone1 「出かけよう、Android!」リリースのお知らせ

かねてから取り組んできたオープンソース本「Android OpenTextbook」プロジェクトの最初のマイルストーンができました。今回はその紹介です。

記事の最後にPDFダウンロード先(無償)と書籍版(同人誌の頒布)の案内があります。興味があれば是非、読んでみてください。

Android OpenTextbook(AOTB)の概要

Android OpenTextbook(AOTB)は、GitHubと書籍制作ツールRe:VIEWを利用して開発者が欲しい技術情報を集約する試みです(TechBooster.orgの該当記事)。

Android OSは公開以来、アップデートが繰り返されてきました。Google I/O 2014で発表されたAndroid "L"のように常に新しい技術を取り込んで進化しています。

個人的にはOSの進化をワクワクしてみてます。それはAndroidのみならず未知の分野、技術に触れる楽しみがあるからですが、このあたりは、このブログに興味を持ってくれたエンジニアのみなさんはわかってもらえそうな気がしています:)

一方、新規参入するアプリ開発者としては嬉しい事ばかりではありません。参入者が覚えることは思いの外、多くなっています(こういう傾向は、何もAndroidに限った話ではないんだけども…)。

Android OpenTextbookでは、Androidアプリ開発を始めるにあたり必要な情報をオープンソース化して教科書として運用することで、常に最新の情報にアップデートをかけていこう、という試みです。そしてこの数か月の成果として最初のマイルストーン、AOTB m1ができあがりました(m1は、milestone 1の意味です)。

AOTBプロジェクトのかたち

次の図のような構成でAOTBプロジェクトは進んでいます。

赤い項目が、m1で対応した内容、赤枠に白背景の項目がm2(マイルストーン2、2014/12目標)にむけて進めている項目です。破線で囲まれた項目は、必要だと感じているが、現在着手できていないカテゴリです。

→の方向にスキルツリーが構成されており、ふつうに属しているカテゴリは、やさしいに属しているカテゴリを把握したうえで読んでほしい、という意図があります(が、そんなに厳密でもなく、分野ごとに凸凹している、目安みたいなものです)。

実際にこの内容を使って、Tech Instituteという早稲田大学さんで実施されているプログラミングスクールで利用していく予定です。プログラミング教材として運用していく中で、より良いものに改善したいです。

AOTB m1「出かけよう、Android!」の紹介とPDFの無償公開

無償版PDFのダウンロードはこちらから(入稿前版です。ところどころ校正が済んでないので、このあとの正式なリリースをお待ちください…)。

AOTB m1のメインターゲットは、開発初心者です。サブターゲットは中級者や他の分野からコンバートしてアプリ開発者になったひとが必要になった時に確認できるような副読本としての利用です。

中級者のひとであれば、上記PDFの3章センシングデバイスの項目を読んでみてください。非常に入り組んだAndroidのセンサー事情がわかりやすく書かれています。初心者のみなさんは1,2章のUIについてや、4章のネットワークプログラミングを読んでみてください。ネットワークの基本からAndroidでの使い方までとても丁寧に書かれています。

今回の「出かけよう、Android!」では、UIコンポーネントの入門やネットワークプログラミング、センサー、3Dグラフィックなど多くの分野をカバーしています。プログラミングを学ぶ際の副読本としてご利用ください。


紙の書籍の頒布についておしらせ

書籍としては、コミックマーケット86 3日目(8/17) 西か46b TechBoosterで頒布予定です。当日会場に来れないひとも多くいるとおもいますし、欲しいひと全員に届けたい、という気持ちがあり、事前予約サイトを用意しました。
デジタルでなく紙版が欲しい、という方は以下サイトよりご予約、またはコミケ当日の頒布で入手お願いします…!予約分は、一冊一冊、梱包してラベルを張って発送します…!

  • Booth.pm(予約販売サイトです)

また予約受付は入稿の関係で期間限定です。諸条件ありますので詳しくはサイトをご確認ください。今回は特にデジタル版を無償配布する(しかもコミケよりも先に)ので当日部数は、かなり少な目です。デジタルファースト、という初めての取り組みなので頒布部数が読めません。実際、予約状況をみて印刷部数を決めるので予約が集まれば集まるほど嬉しいです。

常に最新のPDFを入手できるようにCI環境を構築して、運用しています。

今回、AOTBプロジェクトでは、常に最新のビルドが提供できるようにCI環境を用意して運用してます。CIサーバから常に最新のPDFを受け取ることができます(リリースを待たずに、アップデートに追従できます)。

現在は特に作っている最中のため、m1のあともすぐに章が追加されm1_r1が出る可能性が高いです(こういう変なところはAndroidを真似なくてもいいのですが、開発初期ということで安定しだすまで許してもらえると嬉しいです…)。

安定板(m1,m2)については個別にダウンロードリンクを用意しますが、最新版がほしいよ、という方はこちらのCIサーバからダウンロードしてください。

また、このCIサーバは大変便利なのですが、動作が不安定です。突然メンテがはいったり、不具合があったりするかもしれません。あらかじめ、ご了承ください。

どんなふうに動いてるの?

CI環境について、PyCon2014で(開発担当のあめだまが)講演します。

基本的には執筆者が便利だからCIサーバーを用意したのが始まりなのですが、モリモリと機能が増えていきました。Re:VIEW記法で書かれた原稿をコンパイルして確認用PDFをつくるところまで責務です。どんなふうに動いてるの?という部分に興味がある人は、是非。

フィードバックについて

最後に、お願いです。実際のところ、AOTB m1は文字通り、マイルストーン1で、完成ではない状況です。教科書として体系だった学びを提供するには、カテゴリごとの点を体系としてならべたり、足りないカテゴリを追加したりと次のミッションがみえてきています。もしコントリビュートを考えている方がいらっしゃれば以下のようなことをしてもらえると嬉しいです。

  • 誤字脱字、日本語としておかしな箇所を見つけたらPR( https://github.com/TechBooster/AndroidOpenTextbook )を送ってもらえると助かります(マージするだけだとすごく手間が省けます)。
  • この章ならかけるよという箇所があれば、是非、@mhidakaまでご連絡ください。
  • 文章の編集や紙面のレイアウトなど編集作業を手伝ってくれる人が居たら泣いて喜びます。
  • 新人さんに勧めてみて話のネタにしつつメインターゲットとなる人の感想を教えてください。
  • 紙版が欲しい人は積極的に購入いただけるとうれしいです(配布部数によってはm2でのリリースはデジタルだけにするかもしれないので)。

品質についても「Effective Android」やその他書籍制作で培った技術をフル活用していますが、中々、手が足りていない現状です。書籍、EPUBとしてのレイアウトや編集などでも手伝ってくれるひとがいると、すごくうれしいです。