リアル『国民ニ非ズ』扱いされる社会

現代ヨーロッパという野蛮で腐敗した世界。How do I live on such a field?

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前回の通常日記で書いたネタをもう少しだけ。

イギリスのサジド・ジャヴィド内相は個別案件にはコメントしないとしながらも、ベガムさんの息子はなおイギリス国民となる可能性があると話した。

ジャヴィド氏は議会で、「子どもが権利を損なわれることはあってはならない。親がイギリスの市民権を奪われても、子どもの権利には影響しない」と述べた。

その上で、市民権はく奪は「非常事態」でしか発動しない権限だと述べ、一例として「個人が（イギリスの）基本的な価値観に背を向け、テロを支持した場合」と話した。

ジャヴィド氏はITVの番組に出演した際にも、個人を「無国籍」にして放っておくことはしないと語った。

「個人について言及はしないが、その時点で個人を無国籍状態にするような決定は下さないし、私以前の内相もそういった決定は下していないはずだ」

しかし最大野党・労働党のダイアン・アボット影の内相は、ジャヴィド氏が「何人も独断的に国籍を奪われてはならない」と定めた世界人権宣言に違反したと非難している。

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（二重国籍という建前はあるにしても）起こした行為に対しての『市民権剥奪』ってすごいよねえ。
日頃ジンケンコウシンコクと罵られる日本ですらここまでやりませんよ。
ただの戦争相手の「兵士」だったらこうはならなかったことを考えると、現代世界において「テロリスト」視することの絶対性がよく解るお話ではあるかもしれない。それこそ以前から参加した数千人について、できることなら帰ってきてほしくないし、戦死してくれる方がありがたいなんて身も蓋もない発言もあったりしましたけども。
『イスラム国』は国ではなく、故にそれは兵士ではなくテロリストであり、つまりジュネーブ条約な人道的扱いなどは適応されないのだ。
だからこそ『非国民』扱いだなんて、さすが人権意識に敏感な欧州の先進国市民は違うよねえ。
でもしかたないよね。テロリストは殲滅しなくちゃ他の人たちの人権が守られないんだもん！

本邦でも『イスラム国』ニュース真っ盛りの頃に、「彼らは国ではない故にそのネーミングを使うこと自体に誤解が生じる」なんて言説があったりしましよね。個人的にもその理屈には概ね同意するところではあったんですが、こうして相手をその対等『国』扱いしないという覚悟の表裏一体の一面があった、という所までは想像が及ばなかったなあと。

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少し前にまたお発言をなさってプチ炎上していた安田さんの人質事件などでも言われていましたけど、たとえ政治信条がどうであろうが政府がそれを守るのが義務でもあるわけですよ。反アベだろうが、政府は彼らを保護そして救出に全力で取り組む義務があるわけで。むしろそうしないのであれば国家の存在意義などない。
国には当該国民を保護する義務がある。
ところが『イスラム国』を信奉し参加した人たちは（例え一時の過ちであろうが）その範囲に含まれない――どころか最早同じ国民ですらないとイギリス政府は考えている。
同様に他のオランダやフランスの世論の反発を見る限り、少なくとも半数に近い欧州市民は『イスラム国』に参加した輩は「国民ニ非ズ」と考えている。

国籍が新たない生じないはずの国ではないイスラム国に参加した彼らは、ところがイスラム国が国ではないテロリスト集団故に真っ当な手続きをすっ飛ばして元の本国から追放されそうになっている。
いやあ愉快なお話だよね。
一つの未来像として語られるヨーロッパの都市国家化を考えると、そうした犯罪人を外へ「追放」するのは理に適っているのかもしれないね。

本邦でもしばしば右側な人から「非国民」などという愉快な言説が使われることはありますけども、まさか世界人権宣言というレベルでの越えちゃいけないライン考えろよ的光景を見せられることになるとは。
市民権剥奪について。死刑などの最高刑よりもある意味でレアな状況で、むしろそれよりもずっと重い判断とすら言えるかもしれない。
このまま市民権剥奪が進むのかあるいは裁判による揺り戻しがあるかはわかりませんが、どちらにしても上記ヨーロッパではその難題に真面目に取り組む必要性に迫られている現状。
『イスラム国』に参加するような非国民の扱いについて。

私たちが属する市民社会において、『イスラム国』に参加することの罪の重さと均衡するだけの刑の重さはどれくらい？
そして、その社会において『市民権』が剥奪されうるハードルはどれくらい？

みなさんはいかがお考えでしょうか？